野球賭博問題で日本相撲協会を退職した貴闘力さんが、2020年9月25日にYouTubeチャンネル『貴闘力部屋~相撲再生計画~』を開設しておよそ3年になります。
このチャンネルは、貴闘力さんが大相撲界の闇の部分を明らかにして日本相撲協会の改革を促すことを目的としており、開設当初はそれなりに話題になって当ブログでも1度取り上げたことがあります。

そんな貴闘力さんのYouTubeチャンネルですが、私は特に理由もなくいつの間にか見なくなっていました。
しかし先日オススメに出たことをきっかけに一気にまとめて動画を見たので、少し感想を述べたいと思います。
貴闘力さんのYouTubeが話題になっていた当初は、大相撲界の改革案を考え何回かに渡って記事にしようとしたこともあるのですが、今回、貴闘力さんのYouTube動画を見ていて、私は大相撲界に改革の必要性があるのか疑問を感じるようになってきました。
前回の記事でも軽く触れましたが、現在、YouTubeで活動する元プロ野球選手が山のように存在しています。
昔は多くの地域で巨人戦がほぼ毎試合ゴールデンタイムに放送されていたので、プロ野球に関する昔話を聞きたい人が相当数いるのだと思われます。
大相撲も昔は国民的な人気があり元力士は多数いるわけですが、不思議なことにYouTubeで活動する元力士は貴闘力さん以外にジョージア人の臥牙丸さんがいる程度です。
かつては琴富士さんもYouTubeで活動をしていましたが、アクセス数が伸びないまま動画投稿が停止してしまいました。
元力士ではないですが、大相撲を担当していたNHKの藤井康生元アナウンサーも相撲ネタでYouTube動画を挙げていましたが、こちらのチェンネルも再生数は余り伸びておらず、現在は大相撲中継があるときにLIVE配信をする程度となっています。
こういった状況を鑑みて、YouTubeに参入する元力士は増えていかないのだと思われます。
結局、YouTube活動をした日本人の元力士は、野球賭博を行い日本相撲協会から退職を迫られた貴闘力さんと、結婚詐欺で逮捕された琴富士さんだけという結果です。(大相撲からプロレスなどの別の業界に行った人は除く)
このことが何を意味するかというと、日本人は思ったよりも相撲に関心がないということです。
貴闘力さんもそうなのですが、中学校に相撲部がないので仕方なく柔道部に入っていたという力士は多く存在しています。
自分の中学校も高校も相撲部はありませんでしたし、周囲の学校に相撲部があったという話すら聞いた覚えがありません。
一方、柔道部と剣道部はどの学校にもありました。
つまり相撲は日本国内においても超マイナーなスポーツということです。(もちろん海外ではさらにマイナー)
貴闘力さんは、大谷翔平、大坂なおみ、井上尚弥などの他のアスリートと比べ、大相撲力士の収入が少ないと言っているのですが、私から言わせてもらえば大相撲力士の適正な年収は0円です。
柔道や剣道の競技だけの収入で食べていけるなんて人は皆無に等しいのですから、それよりも遥かにマイナーな相撲は本来なら収入を得られるような競技なわけがありません。
相撲と比較するべきは野球やテニスやボクシングではなく、柔道や剣道よりもマイナーな合気道や少林寺拳法、あるいは韓国の相撲であるシルムなどかと思われます。
いずれも純粋な競技で収入を得ることは難しいものばかりです。
にも関わらず、なぜ大相撲は一定数の人が十分生活していけるほどのお金を稼ぐことができるのか?
それは相撲が日本の伝統文化であり、大相撲が伝統文化である相撲を色濃く残す存在だからです。
日本国内において将棋や囲碁にはプロ棋士が多数いるのに、チェスやオセロにはプロのプレイヤーがいないことと同様です。
歌舞伎はまだしも能や狂言を観に行った人なんて自分はおろか自分の周りにもまったくいないに等しいのですが、それでも現在まで残っているのは伝統文化として守られているからに他なりません。
華道や神社なども、普段から意識するものではないものの、なくなっては困るような感覚が日本人にはあるはずです。
こういったものは存在すること自体に意味があるようなもので、国民は深く思いを巡らせないのです。
伝統文化は言うなれば過去の継承であるため、現状を変える改革とは逆の発想となります。
そのため、相撲に限らず伝統文化と呼ばれるものには現在の感覚ではおかしな部分もあるだろうし、下手をするとまともになってはダメな部分すらあるのかもしれません。
貴闘力さんは大相撲を公営ギャンブル化すれば一気に改革が進むと主張しているのですが、こういった伝統文化とかけ離れた考えを採用すれば、大相撲は国民からあっという間に見放されてしまう可能性があります。
貴闘力さんのYouTubeにゲスト出演していた小錦さんは相撲が海外で高い評価を得ていると指摘し、これを受けて貴闘力さんは海外のスポーツチャンネルで大相撲を中継し海外展開をすれば、日本相撲協会にもっとお金が入るとの意見を述べていました。
しかし、そうなれば大相撲の競技としておかしい点は是正していかなければならないでしょう。
大相撲にはおかしな作法が多数あり、ちょんまげを結うこともそうですし、横綱が取り組み前にわざわざ土俵入りをすることもスポーツとしてみればおかしな話と言えます。
女性が土俵に上がれないなんて問題は、現在の国際社会では絶対に是正しなければならない問題です。
そういったものを是正していけば、相撲は純粋なスポーツ(アマチュア相撲のような感じ)になるわけですが、相撲が海外で評価されているところはそんな部分ではないはずです。
大相撲が日本の伝統文化であるという事実と、それ故の奇っ怪さが海外で相撲が受ける理由であり、日本以外の国で中継しても大きな収益を得られるとは思えません。
このように考えると、大相撲に大きな改革は必要ないし、そもそも国民もそんなことを望んでいないと考えられるわけです。
日本相撲協会の親方衆や一般の人はもちろん、大相撲ファンや元力士ですら大相撲界の改革を望むものは少ないように感じます。
それを証拠に、大相撲改革の声は貴闘力以外のところにはまるで広がってはいません。
ジャニー喜多川氏の問題がBBCで報道され、半年ほどの時間を要しましたが日本では大きな問題となりました。
貴闘力がYouTubeにチャンネルを開設して昨日で3年が経過しましたが、大相撲改革の声は広がるどころかしぼんでいるようにすら見えます。
貴闘力さん自体も大相撲改革に対する熱量が低下し、今ではただのYouTuberのようになってきています。
大相撲界には問題もあり変えなければならない点もあるでしょうが、いずれにせよ急激な改革は必要がないのかもしれません。
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