最近、元スポーツ選手がYou Tubeを始める例が増え、大相撲の元力士も少数ながらYou Tubeに動画を上げている人がいます。
そんな元力士Youtuberの中で現在注目を浴びているのが貴闘力氏です。
貴闘力氏は自身のYou Tube動画で日本相撲協会の改革案や告発などを行っており、現在の日本相撲協会に不満を持つ層に支持されているようです。
私も貴闘力氏の言ってることは基本的に正しいと思うのですが、お金をどうやったら儲けられるかに終止しすぎている気もします。
もちろん、日本相撲協会や相撲部屋を運営していくにはお金が必要ですし、現役力士の収入が増えることも良いことでしょう。
しかしそれを主張している人が、本職に影響がでるほどギャンブルにハマっていた貴闘力氏というのは何とも説得力に相当欠け、大手を振って応援しきれないところもあります。
今世紀に入って以降、日本相撲協会にはいくつもの不祥事があり様々な改革が行われましたが、この年寄名跡に関しては抜本的な改革ができていません。
年寄名跡は年寄株や親方株などと呼ばれ、かつては実際に株式証券のように取引され、その値段は3億円以上した時期もあったそうです。
こういった年寄名跡の売買を問題視し、2014年に年寄名跡は日本相撲協会が一括で管理し売買も禁止にしなったはずなのですが、現在も年寄名跡の継承は前任者の意向が反映され、売買も実質的に行われているのが現状です。(生活支援などといった名目で、前任者への金銭授受などが行われている)
そもそも年寄名跡の何が問題なのかと言うと、それは数が105に限られているということになります。
この限られた年寄名跡は力士の間で激しい奪い合いをすることになるわけですが、その争いは現役時代から始まっています。
引退の近い親方にうまく取り入ったり、力士同士で牽制しあったりと、力士は年寄名跡を獲得するためあらゆる画策を巡らすこととなるのです。
このように現役力士は、取組み以外のところで目に見えない一種の派閥争いや政治争いのようなことを日夜繰り広げているわけで、こんなことを現役時代から行っていたら、開かれた大相撲界などといった改革は望めないのも当たり前に話です。
そしてこの年寄名跡に関わる問題が、日本相撲協会が様々な問題に直面しても内輪で済まそうとする根本的な原因になっていると思われます。
一層のこと年寄名跡なんてなくしたらいいのではないかと思う人もいるかもしれませんが、そうすると親方になりたい人が溢れて日本相撲協会が破綻してしまい、年寄名跡の改革はそんな簡単な話ではないようです。
現在、年寄名跡を継承(襲名)する条件は以下のようになっています。
相撲部屋を新設する場合
大関以上の経験者
三役通算25場所以上
幕内通算60場所以上
単純に年寄名跡を継承する場合
小結以上の経験者
幕内在位通算20場所以上
十両以上の在位通算30場所以上
相撲部屋継承者として承認された場合
幕内在位通算12場所以上
十両以上の在位を通算20場所以上
親方になる人を絞るのであれば、この条件をもっと厳しくする必要があるでしょう。
個人的には1番上の『相撲部屋を新設する場合』の条件だけで十分だと思います。
正直、最高番付が十両の人が親方になることには違和感がありますし、実際に番付の低かった親方に指導力の問題が発生した事例もあります。(白鵬の問題行動など)
これに加え、Jリーグの監督に対して行っているような弟子の指導に関する講習を行ったり、試験などを実施してもいいかもしれません。
いずれにせよ、親方候補を絞ることは可能と思われます。
年寄名跡の継承問題がある以上、現役力士は取組みに集中できないわけですし、下手をすると八百長問題などにも影響を与えている可能性もあるので、日本相撲協会は1日も早く年寄名跡の問題を解決するべきです。
そもそもの話として、政治力や派閥争いに強い人が親方になるより、現役時代に活躍し基本的な指導法の熟知した人が親方になったほうが良いに決まっています。
そしてこの年寄名跡に関する改革ができれば、日本相撲協会は自ずと開かれた組織へと変わっていくことでしょう。
もちろん、親方の制度を変える以上、その他の部分でも変えなければならないところが多々出てきます。
特に各相撲部屋に配られる収益金の分配などは根本的に変えなければいけない部分で、相撲部屋の運営がうまくいかなくなることもあるかもしれません。
しかし熱心な相撲ファンですらおかしいと感じている年寄名跡は、大相撲改革の一丁目一番地だと私は思います。
そしてこの年寄名跡の改革ができたのなら、いずれ親方衆(年寄)は日本相撲協会の運営から外れるべきです。
現在は大相撲は、野球で例えると監督が審判もリーグ運営も全て行っている状態で、それが原因でいろいろな問題が出ているのです。
親方が組織運営や審判を行えば、自分の部屋や自分の部屋所属の力士に有利になるように考えるのは当たり前で、これもまた開かれない日本相撲協会の原因になっていると思われます。
親方が大相撲の運営に深く関わるようになったことは歴史的にも浅いので、伝統を重んじ改革を嫌う大相撲界にあってもこの改革は絶対必要になってくるはずです。
以上、貴闘力のYou Tubeから大相撲界(日本相撲協会)の改革について考えてみました。
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