日本時間の本日早朝、ラグビーワールドカップの日本-サモア戦が行われ日本が勝利しました。
この試合の終盤で、サモア側の反則に対して日本はトライを狙わずにペナルティーキックを選んだのですが、SNSを見るとこの選択に疑問を感じる人が多いようで、私も正直かなり疑問を感じています。
ラグビーワールドカップは、5チーム制のグループリーグで総当たり戦を行い、上位2チームが決勝トーナメントに勝ち進むことになっています。
この順位の決め方に特徴があり、まず以下のように
勝ち :4ポイント
引き分け:2ポイント
負け :0ポイント
の勝敗に対する勝ち点が入り、このことは他の競技などと同じなのですが、ラグビーワールドカップのグループリーグでは『4トライ以上入れた場合』と『7点差以内での負け』には1ポイントのボーナスポイントが加算されるのです。
このボーナスポイントの存在により、グループリーグの順位争いが複雑になることで知られています。
冒頭で書いたサモア戦に対する違和感も、このボーナスポイントの存在が絡んでいます。
日本は、あの場面で既に3トライしていたので、あと1トライでボーナスポイントの1点入る状況でした。
試合時間は73分(後半33分)で、25-15で日本の10点リードです。
ラグビーの得点は、トライが5点、トライ後のコンバージョンキックによるゴールが2点、ペナルティーキックによるゴールが3点ですので、短い時間で10点差を逆転または追いつくには、現実的に
2トライ+1回以上のコンバージョンキック(逆転)
1トライ+ペナルティーキック(引き分け)
が必要となります。
これがペナルティーキックを入れて13点差になれば、
2トライ+2コンバージョンキック(逆転)
が必要となるので、逆転の確率はかなり低下するわけです。
いずれにせよ、サモアが日本に引き分け以上まで巻き返すには、最低でも2回の攻撃機会が必要になります。
しかし、あの場面は残り時間が少ないので状況が少し違っていました。
もし日本がペナルティーキックを選ばずにトライを狙いに行けば、たとえトライに失敗しても数分は自軍の攻撃で時間を消費することができます。
ラグビーは40分ハーフですから、あの時間帯で数分消費できれば、サモアの攻撃機会はおそらく1回しかなくなり逆転はほとんど不可能となるのです。
ですので、トライを狙いに行ったほうがペナルティーキックを入れて13点差にするよりも逆転される確率が低くなった可能性すら考えられるわけです。
勝敗に対してペナルティーキックを入れることとトライを狙うことの効果が同じぐらいなら、ボーナスポイントが狙えるトライを選択したほうが良いに決まっています。
万が一サモアがすぐにボールを奪ったとしても、それでも逆転の確率はかなり低いのですから、リスク対効果を考えれば、あの場面はトライを狙う以外に選択肢はなかったように思います。
サモアに7点差以内負けのボーナスポイントが入る確率を下げるためにペナルティーキックを選んだ可能性もありますが、仮にサモアに7点差以内の1ポイントが入っても、2敗している時点でサモアが決勝トーナメントに進出する可能性はほとんどありません。
最終戦で2勝同士の日本とアルゼンチンが戦う公算が高いので、このどちらかが決勝トーナメントに進むことがほぼ確実な状況です。
サモアに入る1ポイント(7点差以内)を防ぐことに意味がないのですから、自分たちに1ポイント(4トライ)が入ることを狙うことを優先することは明らかと言えます。
サモアが2勝2敗で日本とアルゼンチンが2勝1敗1分けとなり、ボーナスポイントの関係でポイントが並ぶ可能性はありますが、ポイントが並んだ場合は直接対決の結果が第1に優先されるので、日本がサモアに勝ってる時点で日本がサモアの下になることはありません。
いずれにせよ、サモアに入るかもしれない1ポイントは気にすることはないわけです。
アルゼンチンと引き分けた際の得失点差勝負のことを考え、トライよりも確実性のあるペナルティーキックを選んだ可能性もありますが、ラグビーで引き分けは稀ですし、2勝1敗1分けで並ぶことを想定するなら尚のこと4トライの1ポイントはほしいところです。
以上のように、あらゆる角度から考えて、あの場面はトライを狙う以外の選択肢はなかったと私は思います。
格闘技などを除けばラグビーは最高レベルに肉体的なスポーツですが、日本代表チームはもっと頭を使うべきだったと感じてしまいました。
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