スラムダンクから感じてONE PIECEからは感じられないものとは?

漫画・アニメ
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今年の夏は、アニメ『ONE PIECE』の映画(ONE PIECE FILM RED)が公開され、シリーズにおける過去最高の興行収入を得ました。
さらに本編漫画のほうも最終章に突入し、ONE PIECEが大きな盛り上がりを見せています。

一方、同じ週刊少年ジャンプに連載され、ドラゴンボールと共にジャンプ黄金期を築いたバスケットボール漫画『スラムダンク』も今冬にアニメ映画化が決定し、こちらはこちらで盛り上がっているようです。
こういった背景からか、アニメ版のスラムダンクが今夏から1日1話ずつYou Tubeで期間限定公開され、スラムダンクの名シーンである不良となってしまった三井寿というキャラクターが高校のバスケ部に戻る名シーンも先日放送されました。
私は、このスラムダンクからONE PIECEにない熱いものを感じてなりません。

今年の冬に発表されたスラムダンクの名言ランキングで、1位は主人公たちが通う高校のバスケ部顧問である安西先生が言った

『あきらめたらそこで試合終了ですよ』

で、2位は上記した三井寿がバスケ部に戻ることとなる

『安西先生……バスケがしたいです』

でした。

『スラムダンク』の名言集ランキング! 感動の名シーン&やる気が出る台詞一覧
漫画『SLAM DUNK(スラムダンク)』の名言ランキングを紹介します。井上雄彦氏による同作は、アニメ化や映画化もされた人気バスケットボール漫画です。今回は、マイナビニュース会員を対象にアンケートを実施。作品中に登場したやる気がでる言葉や感動の名セリフをランキング形式で紹介しつつ、マニアックな名言などもまとめています。

この2つの台詞は、両方とも三井寿がバスケ部に復帰するエピソードの際に出てきた言葉で、三井寿の高い人気がうかがい知れます。
しかし、この三井寿は元々ただの不良役で終わるキャラクターだったのです。
三井寿は主人公が所属するバスケ部を廃部に追い込むため学校の体育館を襲撃し喧嘩を始めるのですが、この喧嘩をしている最中に作者の井上正彦さんが三井寿に感情移入し、三井寿を元バスケ部と設定を急遽変更したそうです。
そのため、三井寿に関しては以下のように矛盾が多数存在しています。

・三井が中学時代に県下で有名な選手だったのに、バスケ部3年の赤木と小暮以外は誰も三井のことを知らない
・元バスケ部の三井が体育館に入ってきたのに小暮が一切反応していない
・元の所属であるバスケ部を襲撃することに対して周りの人の反応が薄い
・ライバルチームの陵南との練習試合で三井のことを誰も言及していない

こんな矛盾だらけの三井寿ですが、スラムダンクの中ではとても人気のあるキャラクターで、あるランキングサイトでは作中の人気1位を獲得しています。

【人気投票 1~42位】SLAM DUNKキャラクターランキング!最も愛されたスラムダンクの登場人物は?

ONE PIECEに代表される現在の漫画は先に設定やストーリーを十分作り、物語の序盤からストーリー上の謎を提示して、そういった伏線を回収しながら物語を進めていくことが多くなっています。
読む側は謎めいたストーリーを考察しながら楽しむことができ、インターネットが普及し、個人が気軽に自分の考えを発表したりSNSで知らない人と議論することが当たり前になった現在では、こういった漫画のほうがネット上で盛り上がるため人気を得やすいようです。

一方、スラムダンク連載当時の週刊少年ジャンプの漫画は、その場のノリで描かれる作品がほとんどでした。
さらに前の時代に描かれた『キン肉マン』に至っては、先週に示された設定や覆しようのない科学的な事象を平気で無視することが横行し、ファンからは(愛をこめて)『ゆで理論』と揶揄されています。
ただ、これはキン肉マンに限った話ではなく、同じ時代に描かれた『キャプテン翼』も『北斗の拳』も『魁!!男塾』も、作中の出来事はめちゃくちゃで矛盾だらけなのです。
ONE PIECEなどの現在の漫画しか読んでいない人にとっては、これらの漫画はギャグマンガにしか思えないかもしれません。

しかしこういった古い漫画からは、説明のしようがない得体の知れない熱いものを感じます。

スラムダンクも同時代に人気となった『幽☆遊☆白書』も、途中で作者のモチベーションが低下してしまったらしく、想定したものが描かれきれずに中途半端な形で終わっています。
これは決して褒められたことではないのでしょうが、逆に言えば作者が崩壊してしまうほど連載期間中の熱量は高かったわけです。
ONE PIECEや現在の漫画はストーリーを上手く描きすぎていて、こういった熱いものをあまり感じないのです。(現在の漫画で熱いものを感じるのは原作版のワンパンマン程度)

昔みたいにストーリー上の矛盾があっても勢いで乗り切ってしまうような漫画と、現在のように最初に設定やストーリーを十分練って描かれる漫画のどちらがいいかはわかりませんが、少なくとも今の時代に合っているのは後者なのでしょう。
というよりも、今は日本自体に昔のような熱いものがなく、漫画もそういった時代を反映しているのかもしれません。
スラムダンクの連載が始まって以降、あるいはONE PIECEの連載が始まって以降、日本経済が低迷していることは誰の目から見ても明らかで、多少おかしいところがあっても勢いで乗り切るような文化そのものが現在の日本からは消えているように感じ、それ自体も良いことなのか悪いことなのかよくわからない状況となっています。

以上、スラムダンクとONE PIECEという週刊少年ジャンプが誇る人気漫画から、日本社会の変化を考えてみました。

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