前回の記事で大相撲界が開かれていないという問題を取り上げましたが、今回は同じ日本の伝統文化である将棋界(プロ将棋界)について、全く逆の観点で問題提起をしたいと思います。
ここ最近、将棋のプロ棋士がYou Tubeチャンネルを続々と開設し、プロ棋士Youtuberが多数誕生しています。
かつての将棋棋士は、SNS(ブログ含む)などもあまり行う人が少なかったのですが、今ではTwitterを中心としたSNSを行うこと人がとても多く、ここ1、2年でYou Tube活動を始めるプロ棋士も一気に増えてきました。
こういった状況に、今までいなかった新しいファン層を獲得できるのではないかと期待する声もあり、比較的好意的に見ている将棋ファンや関係者も多いようです。
しかし私は、現在のこの状況に対し強い危機感を感じています。
ハッキリ言うと、プロ棋士はすぐにYou Tubeでの活動を辞めるべきです。
何ならYou Tube活動をしているプロ棋士は、日本将棋連盟からの退会処分でいいとすら思います。
近年、プロ棋士の対局がネット配信されるようになってきたとはいえ、配信業者から日本将棋連盟に入るお金は決して多くはなく、今現在も将棋界を経済的に支ええいるの新聞社が中心です。
では、なぜ新聞社が将棋界を支えているのか?
現実的に考えて、将棋の棋戦を開催したところで新聞の発行部数が著しく増えるようなことはあり得ません。
いくら観戦記が読めるからと言っても、各新聞社で基本的に1つの棋戦しか実施していないのですから、全ての棋戦情報を知りたいであろう将棋ファンは、新聞以外の媒体で将棋の情報を得ようとするはずです。
また、大手新聞社は全社が棋戦を開催しているため、どの一般紙を選んでも大抵1つの観戦記を読むことができ、将棋観戦記の有無が新聞の売り上げに大きく影響するようなことはないのです。
竜王戦(読売新聞社主催)は好きだが棋聖戦(産経新聞社主催)は嫌いなどという将棋ファンがいれば話は別ですが、そんな将棋ファンはまずいないでしょう。
にもかかわらず、新聞社が将棋界に多額のお金を払い棋戦を開催する理由は何か?
それは『将棋という日本の伝統文化を応援している』という既成事実がほしいのです。
これは新聞社の格に繋がる話で、他の新聞社と比較する際のメンツに関わる部分でもあります。
逆に言うと、日本将棋連盟は日本の伝統をしっかり守り格式のある団体でなければなりません。
このように、将棋界は勝負の結果や中身云々では語れない、不思議に構図により支えられているのです。
そういった不思議な構図によって支えられた将棋界の代表たるプロ棋士が、You Tubeでコスプレしたり『〇〇をやってみた』なんて動画でオチャラケていたら、日本将棋連盟のメインスポンサーである新聞社は離れていってしまう可能性があります。
同じ日本の伝統文化を守る立場である大相撲界は、テレビ放映権を含め一般の観客によって支えられているわけですが、将棋は観客からのチケット収入のようなものはほとんどないわけですから、一般層に対し強くアピールする必要はないのです。
もちろん、将棋の普及活動は粛々と行う必要があり、そういった部分でYou Tubeなどの動画サイトを活用することは何ら否定するものではありません。
しかしそれ以外の部分に於いて、プロ棋士があまり派手に活動する必要はないと思います。
むしろ、将棋界は一般層にあまり開かれていないほうがプラスとも思えます。
将棋界は昔から一般人にはよくわからない閉ざされた世界で発展してきたものですし、実態がわからないミステリアスに部分にこそ将棋界の魅力はあるような気がするのです。
今でこそ将棋棋戦のネット中継が当たり前になっていますが、昔は本当にプロ棋士の実態などが一般人にはわかりませんでした。
しかし、そういった状況下でも将棋界は十分に発展していました。
このように、将棋界はあまり開かれずに格式高い存在でなければならないわけです。
これは将棋界に限ったことではなく、歌舞伎や能などといった伝統芸能の世界、または茶道や神社などという伝統文化の世界にも共通する概念です。
普通に考えて、茶道の師範や神社の神主などがYou Tubeでゲーム配信をしていたら、業界全体のイメージをすら崩しかねないでしょう。
以上のことから、私はプロ棋士がYou Tubeで活動することに強く反対します。
もし新聞社が将棋のスポンサーから降りていくような状況になったらプロ棋士も様々ま活動が求められるでしょうが、今はそんな段階ではないと思います。
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