岡田斗司夫が行うアニメ考察のレベルについて

漫画・アニメ
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以前書いた『千と千尋の神隠しのハク・千尋兄妹説を全力で否定してみた』の記事は未だにアクセス数が多くコメントが来ることもあります。
そのコメントに返信をしようと思ったのですが、長くなりそうなので1つの記事にすることにしました。

上記の記事は漫画・アニメあるいは特撮やSFなどといったオタク文化に詳しいとされる岡田斗司夫氏が主張した『千と千尋の神隠し』に関する仮説を否定した記事で

岡田さんは他のジブリ、宮崎駿アニメの知識や裏話、裏設定なんかも俺らとは比較にならん程の知識やし。信憑性は限りなく高い。

とのコメントが届きます。
岡田氏がアニメなどに対して詳しいことは間違いないでしょうが、実は裏話や裏設定を絡めてアニメ考察することは彼の1番ダメな部分と言えます。

アニメ作品を一から作ろうとした場合、考えたが実際は採用しなかったなんて話が山のようにあるはずです。(これはアニメ作品に限った話ではないが)
例えば『機動戦士ガンダム』のモビルスーツには没になったロボットのデザインが多数あり、これらの没デザインは後に試作機として採用されます。
ただ、これは機動戦士ガンダムの人気が高まったため起きた現象で、本来ならただの没デザインとして表に出てくることはありませんでした。
ストーリーでも同じように没にしている話は多数あるわけで、それも原作者が考えただけのもの、脚本まで書いたもの、動画撮影まで行って編集でカットしたものなど、様々なパターンが存在していることでしょう。
そういったものが、設定資料集などで公開され裏話や裏設定になるわけです。

岡田氏はこういった類のものを、すべて作中で描かれていることと同じレベルで扱い考察しています。
しかし、これはアニメや漫画の考察で1番やってはいけないことなのです。
アニメや漫画の考察は、実際に描かれていることから考察を進めることが基本中の基本であり、設定資料集などを使った考察はただの設定資料集で書かれていたことを発表である可能性すらあります。
設定資料集を持っていない多くの人は知らない話なので関心を示すのでしょうが、作品に対する知識レベルが高い人にとっては知っている話を聞かされるに過ぎません。
裏設定的な話でも、絵コンテの横に説明書きがあったようなものはスタッフ間で共有できるでしょうが、監督や脚本家が考えただけの話では実際に描かれたストーリーと辻褄が合っていないようなものも多々あるはずです。

さらに岡田氏の場合は、関係者がインタビューで話したことまでも作品における事実として扱うことすらあるので始末が悪いと言えます。
正直、作者がインタビューで答えた話などは、アニメの考察をする際にまったく無視していいレベルなのです。
作者は物語を作る際に頭の中で様々な考えを巡らせているので、インタビューで同様のことを聞かれても違うことを答える可能性もあり、かえって作中で描かれている本筋とズレた話をしている可能性もあります。
実際に鳥山明に『ドラゴンボール』のことを聞いても、本人は原作の出来事をほとんど理解していないので、とんちんかんな答えしか期待できません。

ドラゴンボールの原作者である鳥山明は、桃白白のことを覚えていなかったり、フリーザのデザインを忘れていたりとドラゴンボールに対する知識が乏しいことで知られている。

では、少し具体的な話をしましょう。
スタジオジブリの宮崎駿が監督をした『もののけ姫』で、モロ(山犬たちの母親)役の美輪明宏が乙事主(猪神の長)との会話のアテレコをしていた際、宮崎監督はこの2人(2柱?2匹?)の関係について『昔、良い仲だった』と説明しているシーンがドキュメンタリー番組で放送されました。
この映像を見た岡田氏は、当然のようにモロと乙事主がかつて恋人だったとして話を進めていきます。
しかし宮崎監督は『良い仲』としか言ってないし、声優に対して説明しているのだから『そういう感覚で声を当ててほしい』という意味なのだと思われます。
にも関わらず岡田氏は、モロと乙事主が恋人だったことがあたかも事実かのように話を進め考察をしていくのです。

モロと乙事主をすぐに恋人だと決めつけたこともそうですが、岡田氏は作中の出来事を性的な行動と結びつける傾向が極めて強いことでも知られています。
岡田氏と言えば、従業員と不倫をしたことで仲間から省かれ自身が社長をする会社を追い出され、また過去に80人の女性と同時に付き合っていたと告白した人物としても知られています。
つまり岡田氏はまともな恋愛観や性認識を有しているとは思えない人物であり、当然、そんな人が行う考察もまともではないわけです。
宮崎駿と鈴木敏夫のBL(ボーイズラブ)もの同人誌がなぜないのか本気で不思議がるレベルの人ですから、この部分について岡田氏の考察はまったく信用するに値しません。

以上のように、岡田氏がするアニメ考察はレベルが低いと言わざるを得ず、知ってる人が少ない裏話をしているだけのケースもあります。(稀にレベルの高い考察もあるが)
それを証拠に、スタジオジブリからもかつての仲間である庵野秀明からも岡田氏の作品考察は迷惑であると批判されているのです。
考察が的を射ていたらそこまで批判はされないはずですから、よほど的外れな考察をしているのでしょう。

こんな状況にも関わらず、岡田氏を支持する人が一定数いるのはなぜか?
それは、岡田氏の話が面白いからです。
現在、元プロ野球選手がこぞってYouTuberになっており、引退したばかりの人から80歳近い人までがプロ野球界の昔話や内情を語っています。
こういった業界裏話的なことはかなり需要があるようで、昔に活躍した芸能人を集めて裏話を語るようなテレビ番組もよく作られています。
当然、アニメ業界にも裏話はあり、アニメファンの興味がそそられる話も多数あるわけです。
そしてアニメ業界の裏話的なことを動画として公開している人は、現状、岡田斗司夫ただ1人と言っていい状況で、注目を集めるのは自然の流れなのです。
岡田氏は、スタジオジブリとも多少の関わりがありますし、新世紀エヴァンゲリオンの庵野秀明はアマチュア時代からの盟友、機動戦士ガンダムの富野由悠季とも仕事をしたことがあります。
このようなアニメ界の大御所の裏話を知る人は相当限られるわけで、岡田氏の話にアニメファンが興味をもつことは当然ですし、一般人が真似することは到底不可能です。
このことは、レベルの低いアニメの考察を補って余りあるのです。

業界の裏話を絡めて話を面白くすることで、到底ありえないような仮説に信憑性があるかのような錯覚を生じさせることが岡田斗司夫によるアニメ考察の正体であると私は思います。

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