ただ今、韓国の防弾少年団というグループが世界的に流行しているそうで、アジア初の快挙となるアメリカのビルボード・アルバムチャートで1位を獲得するなど、海外の反応サイトでも度々話題になっています。
韓国アーティストは、以前にPSYの『江南スタイル』は世界的に流行しましたが、このときは一風変わった人という扱いだったのに対し、今回の防弾少年団は正当に評価でヒットしている模様です。(少なくとも変わった人という扱いではない)
一方、日本のアーティストが世界的なヒットを出した例は、1963年に坂本九が発売した『SUKIYAKI』(日本名:上を向いて歩こう)まで遡らなければなりません。
なぜ、日本のアーティストは世界(主に英語圏)でなかなかヒットを出せないのか?
今回はその理由にを考えていきたいと思います。
まず、Global Music Report 2018で発表されたレポートを用い、2017年における世界の音楽市場の様子を見ていきます。
【2017年の音楽販売種類別売り上げ】
CD等の販売:52億ドル
ダウンロード:28億ドル
ストリーミング:66億ドル
演奏著作権:24億ドル
映画や広告などでの使用:3億ドル
現在の楽曲売り上げは、定額制のストリーミング配信が伸びていて、CDなどの物理メディアやダウンロード販売は下降気味となっています。
次に音楽市場の国別のランキングをご覧ください。
【2017年の国別音楽市場ランキング】
1位:アメリカ(59億1610万ドル)
2位:日本(27億2750万ドル)
3位:ドイツ(13億2310万ドル)
4位:イギリス(13億1070万ドル)
5位:フランス(9億2510万ドル)
6位:韓国(4億9440万ドル)
7位:カナダ(4億3720万ドル)
8位:オーストラリア(4億1290万ドル)
9位:ブラジル(2億9580万ドル)
10位:中国(2億9230万ドル)
ランキングを見ればわかるように、日本の音楽市場はとても大きく世界第2位となっています。
アメリカの人口が3億2570万人、日本の人口が1億2680万人であることを考えれば、人口比当たりの音楽市場はおそらく日本が世界最大になるでしょう。
日本はアメリカ以上に高齢化していて音楽を聴く世代が少なくなっているにもかかわらずにです。
しかも日本の音楽市場は、世界中のアーティストが集まるアメリカの音楽市場と違って、大半は国内アーティストが稼ぎ出しているのですから、日本のアーティストは相当額のお金を稼いでいるということになります。
そのため日本のアーティストは、無理をしてまで海外市場(アメリカを中心とした英語圏への市場)に出ていこうとは思わないのです。
では、続いて2017年における日本、アメリカ、韓国の音楽販売種類別売り上げも見ていきましょう。
【アメリカ】
CD等の販売:15%
デジタルコンテンツ:75%
演奏著作権:7%
映画や広告などの使用料:3%
【韓国】
CD等の販売:37%
デジタルコンテンツ:59%
演奏著作権:4%
映画や広告などの使用料:0%
【日本】
CD等の販売:72%
デジタルコンテンツ:21%
演奏著作権:5%
映画や広告などの使用料:1%
以上のように、日本は異常なまでにCDが売れる国として有名です。
シングルCDで毎回100万枚以上売り上げるようなアーティストは、現在日本にしか存在しません。
テイラー・スウィフトですらCD売り上げだけで100万枚を超えることはほとんどなく、ストリーミング配信を禁止していた時代の2017年に、アルバムがCDだけで100万枚売れて大きなニュースとなっていたぐらいです。
日本のCDが売れる実態は、アイドルの握手会が主な要因で、同じCDを同じ人が大量に買う異常な状態にあり問題もあるのですが、事実としてストリーミング配信やダウンロード販売よりも多くのお金がアーティスト側に入るCDが売れ、多額なお金がアーティスト側に流れています。(握手会をしているアイドルはアーティストとは言えないが)
いずれにせよ、現在の日本の音楽市場を考えれば、海外の音楽市場はさほど魅力がないのです。
もう1つ、日本のアーティストが海外に進出しづらい理由があります。
今年の日本の音楽界でもっとも話題となった楽曲は、日本のアーティストとして18曲目かつ14組目(内1組はコラボアーティストとして半分重複している)にYou Tubeの動画再生数が1億回を超えたDA PUMPの『U.S.A.』でしょう。
この『U.S.A.』何が話題になったかというと、歌やダンスが『ダサい』ことです。
マスコミなどでは、制作者やアーティストへの手前『ダサかっこいい』ということになっていますが、実際はダサいことが口コミで広がって話題になりました。
普通ならダサいものは流行らないはずですが、日本ではダサいことすら好意的に受け取りヒットに繋がります。
このように日本人は、普通のカッコよさをもはや望まなくなってきているのです。
これは以前『日本のアイドルと韓国のアイドルは、どちらがレベルが上なのか?』の記事で指摘しましたが、日本人は本当に変わったものを好む傾向があり、そのもっともわかりやすい例は、2016年に世界的に流行したピコ太郎の『PPAP』でしょう。

では、ここで先述したYou Tubeで1億再生を超えた日本のアーティストの楽曲を全て紹介します。
ヘビーローテーション:AKB48
恋するフォーチュンクッキー:AKB48
海の声:浦島太郎(桐谷健太)
PONPONPON:きゃりーぱみゅぱみゅ
サイレントマジョリティー:欅坂46
R.Y.U.S.E.I:三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE
RPG:SEKAI NO OWARI
打上花火:DAOKO×米津玄師
U.S.A.:DA PUMP
ようかい体操第一:Dream5
PPAP:ピコ太郎
恋:星野源
アイネクライネ:米津玄師
LOSER:米津玄師
ピースサイン:米津玄師
Lemon:米津玄師
前前前世:RADWIMPS
The Beginning:ONE OK ROCK
※2018年11月9日現在、以上の他に、和楽器バンドの千本桜とBABYMETALのギミチョコ!!が後少しで1億再生になりそうな勢いです。また、韓国の少女時代が日本語バージョンで歌ったMR.TAXIも1億再生を超えています。
以上の楽曲を見ると『PPAP』や『ようかい体操第一』はもちろん、きゃりーぱみゅぱみゅの楽曲も相当変わっている部類に入りますし、中にはおとぎ話の登場人物(CMキャラクター)が歌っている楽曲すらあります。(笑)
それ以外にも3曲は日本型のアイドル曲で、日本人は音楽について、音楽そのものだけではなく変わった付加価値の部分を評価する傾向が強いようです。
あやまんJAPANの『ぽいぽいぽいぽぽいぽいぽぴー』や、エアーバンドであるゴールデンボンバーの『女々しくて』など、日本では海外の人には説明のしようのないような変わった楽曲がヒットすることも多々あります。
そもそも日本のシングル曲の売り上げTOP5が、
1位:およげ!たいやきくん(子門真人)
2位:女のみち(宮史郎とぴんからトリオ)
3位:TSUNAMI(サザンオールスターズ)
4位:だんご3兄弟(速水けんたろう×茂森あゆみ)
5位:君がいるだけで(米米CLUB)
であることを考えても、日本人は相当変わった楽曲が好きな民族であることがわかります。
こういった日本人の変わったもの好きは音楽界以外でも見受けられ、ドラマ・映画・お笑いなどの芸能分野はもちろん、その他あらゆるところでも見受けられます。(例:ドラマ『おっさんずラブ』の流行など)
日本人がなぜ変わったものを好むのかはわかりませんが、非現実な世界である漫画やアニメによる影響があるのかもしれません。
今になって振り返ってみると1980年代の歌番組の演出も意味不明なレベルで、これも日本人の変わったものを望む傾向が影響していたのでしょうか?
いずれにせよ、日本はただでさえ独自性が強い国なのに、その国民ですらイマイチ理解しづらい独特の世界観を海外の人に提供しても、大きなヒットに繋がることは難しいでしょう。(マニア受けはするため軽いヒットぐらいはあるかもしれないが)
当然、PPAPのような例外もあるのでしょうが、こういった例外が何度も起きるとは思えません。
以上のような日本特有の現象が、日本のアーティストが海外で活躍できない要因の1つになっているものと思われるのです。
今後、もし日本人アーティストの楽曲が世界的にヒットする可能性があるとしたら、それはアニメ映画の主題歌が比較的高い可能性を秘めていると思われますが、『千と千尋の神隠し』や『君の名は。』の楽曲が世界中で大ヒットしたような事実ながないことを考えれば、少なくともアメリカを中心とした英語圏あるいは西洋文化圏で『君の名は。』以上の興行成績をあげないと主題歌がヒットすることも無理と思われます。
ただ私は、そもそもの話として日本の音楽界は今のままでいいと考える1人です。
国内の市場規模が大きいのだから無理に外に出る必要はありませんし、そして何よりも今回日本人アーティストの楽曲をまとめてみて、きゃりーぱみゅぱみゅの『PONPONPON』が楽しくていい曲だなと思ったのです。
やはり私も日本人なので、変わったものが好きなのかもしれません。(^_^;)
以上、日本人アーティストはどんどん独自路線を歩んでいってほしいと思います!!
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コメント
最後にはっぱ隊を持ってくるあたり、ここの管理人はわかってるなーww
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