なぜ日本は野球が強いのか?

日本の高校球児たちスポーツ
この記事は約5分で読めます。
<スポンサーリンク>

WBC(2023 ワールド・ベースボール・クラシック)で日本が優勝しました。
これで、WBCの過去5大会中3回で日本が優勝したことになります。
野球の日本代表は、2021年のオリンピックや2019年のプレミア12などといった国際大会でも優勝しており、国際大会で抜群の成績を残しているわけですが、その理由はどこにあるのでしょうか?

まず、日本で野球の人気が高いという影響が考えられます。
サッカーや他のスポーツに押され昔よりも人気を落としているとは言え、現在でも野球は日本でもっとも人気のあるスポーツとみなされています。
一方のアメリカは日本以上に野球の人気が落ちており、イギリスの調査会社が2019年に調べたところ、アメリカ人の91%がNBA(バスケットボールのプロリーグ)の第一人者であるレブロン・ジェームズの名前を聞いたことがあるのに対し、メジャーリーグの第一人者であるマイク・トラウトは43%しか名前を聞いたことがないという結果が示されているのです。
そのため、二刀流という特異な存在である大谷翔平ですら、アメリカでは知らない人が多いと言われています。
普通に考えて、日本で大谷翔平の名前を聞いたことがあるかという調査をすれば、90%以上の人は確実に聞いたことがあると答えるはずです。(ほぼ100%に近いと思われる)
佐々木朗希や村上宗隆もほとんどの人が名前くらいは聞いたことがあるでしょう。
以上のように、アメリカは日本以上に野球離れが激しいということです。

そもそもアメリカによる野球(メジャーリーグ)の人気低下はかなり前から起こっており、1970年代にはアメリカンフットボール(NFL)に抜かれ、1990年代にはバスケットボール(NBA)に抜かれたと言われています。
最近ではサッカーにすら追いつかれつつあるという調査結果もあり、特に若者の野球離れが著しいと言われています。(これは日本も同様だが)
現在のメジャーリーグは、中南米の国(メキシコ、カリブ海諸国、中央アメリカ、南米北部の国)から大量に選手を集めることで成り立っており、今回のWBCもアメリカと中南米の試合ではアメリカで行われているのに中南米諸国のほうがホームのような状態だったそうです。
そのため、『アメリカ=野球が圧倒的に強い国』というかつてのイメージは完全に崩れ去っているわけです。
かといって、中南米の国は小さくて人口が少なく(ドミニカ共和国:1112万人、パナマ:435万人)、また経済状態も決して良くなく国内リーグは脆弱なため、突出した選手が現れることがあっても全体的な野球のレベルはアメリカや日本に比べ、まだまだ低いと言えます。

以上のことから、野球の発祥地で世界最高のリーグがあり、人口も多く経済力も高いアメリカがもっとも野球が強い国であるという事実は変わっていません。
しかし、アメリカではWBCよりもメジャーリーグのほうが大切でチームがWBCに有力選手を派遣しないという問題が発生しています。
この問題は年々解消されていますが、今回のWBCもアメリカ代表は最強のメンバーが揃っているとは言えない状態です。
アメリカにとってはメジャーリーグこそが至高の存在なのです。
この感覚は日本人には理解し難いのですが、野球を相撲にメジャーリーグを大相撲に入れ替えると理解しやすいかもしれません。
もし相撲の国際大会に大相撲の力士が参加できるようになっても、国際大会よりも大相撲のほうが競技としてのレベルが上で、伝統や格式なども踏まえて大相撲のほうが大切だと考える人はそれなりの数出てくることでしょう。

野球の国際大会で結果を残している代表チームは、メジャーリーグとその下部リーグに位置するマイナーリーグの選手を中心に構成する国ばかりですが、日本の場合は国内リーグの選手を中心に構成し大きな結果を残していることも重要となります。
メジャーリーグ傘下の選手ばかりだと先述した所属チームが選手を派遣しないという問題もありますし、選手としても年俸を貰っている所属チームの試合を重要視することは当前の話です。
ましてやメジャーリーグのトップ選手は年俸10億円以上が当たり前ですから、WBCなどの国際大会で怪我をしてメジャーリーグのシーズンを棒に振るリスクは高くなってしまうのです。
こういった意識が国内リーグ中心の代表チームでは低くなるため、日本の代表チームはオールスター(国内リーグのオールスター)のチームを組んで大会に挑めます。
日本の国内リーグはメジャーリーグに次いでレベルが高く、世界で唯一メジャーリーガーに対抗できる選手が揃っているので、国際大会で良い成績を残しやすい状況が揃っているわけです。

もう1つ、日本が野球の国際大会で活躍できる特異な理由があります。
日本にはプロ野球と同じレベルに人気の高い野球の大会があることを、皆さんもご存知のことかと思います。
その大会は、説明するまでもなく全国高校野球選手権(通称:甲子園)です。
特に部員さえ揃っていれば参加できる夏の甲子園は、完全トーナメント形式の一発勝負であるため、青春をかける若者という意味合いも重なって感動を呼ぶ人気の大会となっています。
年間100戦以上の試合をするプロ野球のリーグ戦では、どうしても1試合の重みが低くなるという問題が発生してしまいます。
WBCなどの国際大会は1試合で勝負が決まることがほとんどですが、日本以外の国では学生時代でここまで大規模で盛り上がる大会はなく、また野球の本格的な国際大会はまだ始まったばかりなので、重みのある一発勝負に慣れていない選手が多いのです。
一方、日本のプロ野球選手は基本的に全員が予選も含め全国高校野球選手権に参加しているので、一発勝負での気の持ちようや、負けたときの悔しさを身にしみて経験しているわけです。
この経験は、国際大会で戦う日本野球の大きな強みとなっています。

まとめると、

・アメリカで野球の人気低下が著しい
・中南米では野球の人気が上がってるが、人口や経済状況などに問題がある
・WBCよりもメジャーリーグのほうが大切という考えがアメリカには根強い
・日本代表の選手は大半が国内リーグの選手で構成されている
・日本の野球選手は一発勝負のトーナメントに慣れている

ということです。

以上、日本が野球の国際大会で結果を残す理由を考えましたが、今は理屈っぽいことを考えずに日本代表のWBC制覇を喜びたいと思います。\(^o^)/

<スポンサーリンク>
ブログランキング

↑ ↑ ↑
更新励みになりますので、毎日の応援よろしくお願いします。

コメント

Translate »