海外の反応サイトで、日本では逮捕されたらほぼ100%有罪になり司法制度が崩壊していると、今年の1月に話題になっていました。
なぜ今年の1月にこのことが話題になったかというと、日産自動車の元会長であるカルロス・ゴーン氏が昨年末に日本から逃亡したからです。
世界的に著名な実業家の逮捕・逃亡劇は世界的な関心事となり、またゴーン氏自体が日本の司法制度を批判したため、海外から日本の司法制度に対し批判の声が広がったというわけです。
しかし、この考えは明確に間違っています。
海外の人が日本の司法制度を批判する理由は、99.9%にのぼる日本の刑事裁判有罪率にあります。
確かにこの数値を見れば日本の刑事裁判は機能していないように思え、司法制度が崩壊しているように感じることでしょう。
しかしこれは、“逮捕”されて有罪になった人の割合でなく、“起訴”されて有罪になった人の割合です。
では日本の起訴率はどうなっているかというと、一般刑法犯(交通事故関連の犯罪者を除いた刑事事件犯罪者)のおよそ40%しか起訴されていません。
ヨーロッパでは刑事事件で起訴されても数%~数十%の割合で無罪になりますが、その分、起訴率も高いので全体的な有罪率は日本と変わりはありません。(アメリカや韓国の有罪率はおよそ99.5%)
つまり、日本では裁判の前段階で検察官が実質的に有罪(起訴)か無罪(不起訴)かを決めているところがあるわけです。
これがヨーロッパなどと違うわけですが、ほとんどの人はそれを理解せずに日本の司法制度を批判しています。
中には日本の起訴率なども理解しながら批判している人もいることでしょう。
確かに罪の判断は裁判官にゆだねられるべきで、検察官に本来そんな権限はありません。
しかし実態は少し違います。
日本において不起訴になるケースは、犯行が認められないとか証拠が見つからないとかではなく、明確に犯罪行為が認められても、犯罪が軽微であったり反省しているなどといったことを理由に、起訴が猶予され裁判に持ち込まれないケースが多くなっています。
これは『温情』という日本人らしい感覚が背景にあるものと想定されるのです。
日本には『罪を憎んで人を憎まず』という言葉があるくらいで、犯罪者に対しても一定の温情をもって接します。
そのため軽微な犯罪やしっかりと反省をしている逮捕者には、前科も付かない不起訴という処分にするしているわけです。
こういった方式に問題がないわけではありませんが、日本人の感覚に合った制度であるとも思えます。
そもそも犯罪率の低い日本では、他国と同じような司法制度である必要性もないでしょう。
更に日本では不起訴率の高さの他に、裁判になったとしてもかなりの割合で執行猶付きの判決が下されます。
執行猶付きの判決は有罪ではありますが、刑務所には入らないので早い段階で社会復帰することが可能です。
このように、日本では逮捕者を根こそぎに刑務所に入れているようなことはなく、むしろ逮捕されても刑務所にまでいくケースは少ないと言えます。
以上、『日本で逮捕=刑務所行き』ということには繋がらないので、外国人の方はくれぐれも間違わないでほしいと思います。
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