黒川検事長の辞任騒動にみる日本の検察組織

政治
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安倍内閣が法解釈を変えてまで定年を延期した黒川弘務東京高等検察庁検事長が、賭け麻雀をしていたことが発覚し検事長を辞任しました。
このことから見える日本の検察制度の問題点を考えてみたいと思います。

国家公務員における官僚組織のトップが、『事務次官』であることは説明するまでもありません。
外務省なら外務事務次官、総務省なら総務事務次官が官僚組織(事務方)のトップになるわけです。
しかし法務省においては、この原則がそのまま適用されるわけではないようです。
法務省でも組織的には法務事務次官が事務方のトップであることには変わりありませんが、現実的には、

検事総長(最高検察庁の長)
東京高検検事長
大阪高検検事長
次長検事(最高検察庁の次長)

という、法務事務次官よりも明確に上位に位置する検察庁の4つのポストが存在しています。

こういった組織上のあやふやな部分は、他の省庁にもないわけではありません。
例えば、防衛省事務方のトップである防衛事務次官と、自衛官のトップである統合幕僚長はどっちが偉いのかという疑問や、国家公安委員会、警察庁、都道府県公安委員会、警視庁および道府県警といった警察組織とその管理組織の複雑な関係性などがそれに当たります。
ただし、防衛省の場合は事務方(防衛省職員)と現場(自衛官)とで仕事が上手く分かれているだけですし、警察組織は一定の独立性を保ちながらそれなりの組織形成がなされています。

一方、法務省と検察庁の場合は、事務次官よりもポスト上明らかに上位の役職が存在するといった組織上の逆転現象が起きているのです。
更に現在の法務大臣である森まさこ議員などは、法曹界の世界では上記したようなエリートよりだいぶ下に観られているとの指摘もあります。
つまり、組織的には『法務大臣>法務事務次官>検事総長』であっても、現実的には『検事総長>法務事務次官>法務大臣』という真逆の関係性ができているわけです。
だったら検察庁を法務省から独立させればいいと思う人もいるでしょうが、この問題はそんな簡単な話ではありません。

昨年に韓国の法務部長官(日本でいう法務大臣)である曹国氏が、様々な不正疑惑を取り沙汰され、長官辞任後に起訴されるという事件が起こったことを覚えている方も多いことでしょう。
これを日本の組織に言い換えると、法務大臣が検察の捜査によって起訴されたということです。
韓国では、大統領経験者のほとんどが逮捕されているということは有名な話ですが、こういった逮捕劇の背景に検察が力を持ちすぎているという問題があるのです。
日本の場合は検察組織と警察組織は完全に別組織ですが、韓国の検察は警察の上位組織のようになっていてあまりに大きな権力を有しているため、政治によるコントロールが効かず暴走しているのではないかとまで指摘する人もいます。
韓国は1987年まで軍事政権だったこともあり、政治の暴走を抑えるという意味で大きな権力を持った検察組織が上手く機能していたこともあったでしょうが、民主化が進んだ近年では、この権力集中が逆に問題化しているわけです。

このように検察という組織は、極めて扱いの難しい存在なのです。
三権分立の一旦である司法に関わりながら、同じく三権分立の1つである行政組織の一員でもあるという検察の立場は、強すぎても弱すぎてもいけません。
だからこそ日本では国家公務員法とは別枠で検察庁法が定められており、検察の独立性が一定の割合で担保されているわけです。
特に日本の場合は、刑事事件の有罪率が99.9%と裁判官ではなく検察官が実質的に犯罪者の有罪無罪を決めているという問題があるため、検察の独立性はとても重要になります。
こういった取り扱いの難しい検察組織を安易に障ることは危険な行為であり、今回、黒川検事長の件がこのような結末で終わったことも、おそらくは単純に賭け麻雀の問題だけだったのではないものと思われます。

以上、黒川検事長の賭け麻雀問題から、日本の検察組織の問題を考えてみました。

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