山本圭壱の『めちゃイケ』復帰にみる日本社会における犯罪感の変化

社会
この記事は約5分で読めます。

皆さん、尾崎豊という歌手をご存知でしょうか?
尾崎豊とは、『15の夜』、『卒業』、『I LOVE YOU』、『OH MY LITTLE GIRL』などのヒット曲を持つ80年代に10代のカリスマと呼ばれた歌手で、26歳の若さで亡くなった伝説的なロックシンガーです。

そんな彼は、生前1回しかテレビ番組に出演しませんでした。
その出演は1988年6月22日放送の『夜のヒットスタジオ』で、彼が覚せい剤で逮捕されてからちょうど半年、判決が下されてからちょうど4ヶ月の日でした。
今の犯罪感に照らし合わせると、逮捕から半年後のテレビ出演というのには大きな違和感を感じると思います。

以下に、尾崎豊と同じ薬物関連で逮捕されたことのある芸能人を列挙します。

井上陽水(1977年)
岩城滉一(1977年)
美川憲一(1977年)
錦野旦(1977年)
萩原健一(1983年)
長渕剛(1995年)
槇原敬之(1999年)
※()内は逮捕年

ここに挙げた人たちは、逮捕後も芸能界で活躍し今でもテレビ出演を続けています。
では、次の挙げる人たちはどうでしょう?

加勢大周(2008年)
酒井法子(2009年)
ASKA(2014年)
※()内は逮捕年

彼らも薬物関連で逮捕された人たちですが、上記した人たちとは違い芸能界復帰は難しい状況で、テレビで姿を見ることはまずありません。
その原因は、薬物犯罪に対して社会の目が近年厳しくなったからです。
現在は、薬物犯罪を犯したら芸能界、特にテレビ界への復帰は難しい状況で、犯罪ではない不倫ですら年単位の芸能活動休止に追い込まれます。

さて、本日2016年7月30日にある1人のお笑い芸人がテレビ界に復帰しました。
それは、お笑いコンビ『極楽とんぼ』の山本圭壱さんです。
彼は、かつて17歳の女性に飲酒を勧め、性的暴行を行った容疑で書類送検されました。
当時所属していた芸能事務所の吉本興業は、事件発覚直後に彼との契約解除し、それ以降『山本圭壱』の名はテレビ(ニュースを除く)から消えることとなります。

この事実が発覚したのは2006年7月17日のことでしたので、彼のテレビ復帰には約10年の月日がかかったということです。
もちろん、上記で挙げた薬物関連の犯罪と比べ、彼の行ったことは明確に被害者がいるもので許すまじき行為です。
しかし被害者とは示談が成立し被害届も取り下げられているため、不起訴処分になっていることも事実です。(つまり山本圭壱さんは犯罪者ではない)
山本圭壱さんのテレビ復帰までの期間が長かったのか短かったのかの判断は、各々の立場や考え方によって変わってくることでしょう。
私自身は彼の謹慎期間が長かったとも短かったとも思いませんが、ただ、時代が違えば山本圭壱さんの謹慎期間がもっと短かったであろうことは想像がつきます。

かつての日本では、飲酒運転に対する社会の目も甘く、お酒を飲んでも車を運転する人が跡を絶ちませんでした。
しかし現在は、法的にも社会的にもとても厳しく制裁が課せられます。
犯罪にもよりますが、基本的に現在は犯罪に対する社会の目が厳しくなってきているのです。
このことは基本的に良いことです。
しかし社会全体を見ると、必ずしも良いこととは言い切れないところもあります。

例えば、自動車の1km/hのスピード違反すら許されず、1度でも犯せばまともに社会復帰も不可能となれば、それはそれで怖い世の中です。
例えば、飲酒運転による交通事故をなくすために、酒類の販売を全面禁止にするとしたら、納得行かない人も多く出てくることでしょう。
犯罪に対する厳しい目は、良いことのように見えますし、実際良いことでもあるでしょう。
しかしそれが行き過ぎると、自由のないとても生きづらい社会になってしまいます。

そして現在の日本を見ると、実際犯罪に対する社会の目が行き過ぎている傾向にはあると思います。
ネットなどを見ていると、軽微な犯罪に対しても『死刑にしろ』などと言う人もいて、日本の現社会の異様性を感じてしまいます。(軽微の犯罪で死刑になる社会なら、『死刑にしろ』と発言するだけでも逮捕される社会だと思うのですが・・・)
おそらくこのことは、日本だけの問題ではないでしょう。
例えば、EUを離脱したイギリス、暴言を繰り返すトランプを支持するアメリカ、国家による反日教育を信じこむ中国・韓国、これらの国々も極端な主張が信じ込まれ、排斥的な考えが支持されている傾向が見えます。

何と言われようが、犯罪に対する社会の目が厳しくなることは良いことだと疑わない人も多いと思います。
『暴力団は危険なので全員逮捕しよう』
この考えに賛同する人は多いかもしれません。
同様に、

『暴走族は迷惑だから全員逮捕しよう』
『極端な左翼主義者は危険なので全員逮捕しよう』
『極端な右翼主義者は危険なので全員逮捕しよう』
『おかしな教えを説く宗教法人は全員逮捕しよう』

この考えにも賛同する人は多いかもしれません。
これらの例は一般の人には関係性が薄く、1つ1つで見ればそうしたほうが良いようにも思えます。
しかし、このような事柄を何十も何百も挙げていき、その全員逮捕するなると、もはや逮捕対象者は国民の大多数になってしまいます。
このように、1つ1つの問題で見れば正しそうなことでも、その正しいことを合わせた結果が必ずしも正しくなるとは限らないのです。

『Twitterでつぶやいた言葉が何らかの著作権を犯していた。』
『ネット上での会話で親しみを込めてバカと発言したら侮辱罪になった。』

犯罪に対する目が厳しくなりすぎれば、このようなことでも逮捕されかねない恐ろしい社会になってしまいます。
将来、日本がこのような社会にならないよう、国民は社会の変化を敏感に感じる必要があるかと思います。

スポンサーリンク
『とある日本人の社会問題批評』の最新記事
スポンサーリンク

コメント

  1. 尾崎豊が覚醒剤で逮捕された時は、彼の名が初めて全国区の新聞やテレビで大きく取り上げられたこともあり、
    レコード、CD、関連書籍の売り上げが跳ね上がった記憶があります。
    今では考えられないことですが、クスリで一度失敗したぐらい許してやろうと思わせるだけの
    絶対的なカリスマ性が彼にはあった。
    一方、山本圭壱は事件以前からロリコン趣味を匂わせる発言があり、もともと印象が良くなかったことが災いしてか、
    彼に犯罪性がないことを証明し復帰を後押しするような大物芸人も、ファンもいませんでした。
    でも、10年前に謝罪会見を開くなり、被害者へのお詫びの言葉を述べるなりしていれば、
    ここまで謹慎は長引かなかったんじゃないかなと思いますね。

  2. rikasaku より:

    事件や事故…明日は我が身。 裁きは司法に委ねて、静かに自らを振り返りたいと思います。安心感を覚えます。ありがとうございましたm(__)m

  3. かみかわ より:

    権力者 無数の者を 傷付けて 名士で通る 世の中の常

Translate »
タイトルとURLをコピーしました