前回の『女系天皇を認めるべきか?男系男子の継承を続けるべきか? 天皇の継承問題について』の記事に多少反響があったので、継続記事を書きたいと思います。
前回の記事でも書いたように、男系男子による天皇継承は現在極めて危ない状況にあります。
現実的に男系の血筋を繋げることが可能な男性皇族は悠仁親王しかおらず、もし悠仁親王と御成婚された方が子供を産めなかったら、その時点で現皇族における男系の血筋は途絶えてしまうのです。(悠仁親王と結婚される女性は妊娠できるかどうかなどの医学的な調査などが入るのかもしれませんが)
男系男子による天皇継承の危機を分かりやすくするため、もし悠仁親王の子供に男子が生まれなかったらと仮定して、以下で問題を探っていきたいと思います。
悠仁親王に男子の子供が生まれなかった場合の天皇継承は、3つのパターンが考えられます。
1、旧宮家を復活させる
2、現行天皇からできるだけ近い男系男子を探す
3、女系天皇を認める
この3つのパターンについて、1つ1つ問題を見ていきます。
1、旧宮家を復活させる
第二次世界大戦終時点で日本には14の宮家が存在していましたが、1947年に11の宮家が皇籍を離脱することとなりました。
このとき離脱した宮家を俗に旧宮家と呼びます。
この旧宮家は全て伏見宮家という宮家から派生した家系で、遡れば今上天皇から22世代前の北朝3代崇光天皇へと至る家系です。
この旧宮家へ天皇継承がされた場合、まず問題となるのが天皇(崇光天皇)と家系的に離れすぎているという点です。
旧宮家にいる男系男子の嫡子は現時点で崇光天皇の20世孫であり、悠仁親王の後の天皇継承となると22世以上離れた家系となります。
過去の天皇継承は基本的に旧天皇から3世以内で、5世での継承が1例だけという事実と考えると、22世はさすがに離れすぎと言えるでしょう。
特に旧天皇から5世離れて継承した古墳時代の26代継体天皇(西暦451年~531年)は、存在が確実視される最初の天皇なので、現実的に天皇は3世以内でのみ継承されてきたわけです。
6世や7世での継承なら議論の余地もあるでしょうが、22世は過去の例と比べるとあまりにも違和感があります。
これだけでも十分問題があると思うのですが、伏見宮家の家系にはもう1つの大きな問題があります。
それは、実は伏見宮家が過去に断絶していたのではないか?
という疑惑です。
伏見宮家は1654年、10代、11代、12代の当主が次々に亡くなり断絶の危機面しました。
その際に突然10代当主・貞清親王に子供(今で言う隠し子)がいるという話を持ちだした者がおり、1人の鍛冶屋が連れてこられました。
その鍛冶屋が貞清親王の子供と認められ、以降の伏見宮家はこの際に継承された元鍛冶屋の貞致親王の子孫となっています。
この出来事は、今の価値観で考えるとかなりの疑わしさを感じます。
350年以上も前の話なので事実はもはや闇の中ですが、問題は実際に疑惑があるかどうかではなく、国民が疑惑を感じてしまうということなのです。
天皇は国民統合の象徴です。
その天皇の家系に対し、国民が疑惑を感じるなどということは言語道断です。
ですので、国民が疑惑を感じてしまうような家系から天皇は出すべきではないと私は考えます。
2、現行天皇からできるだけ近い男系男子を探す
前回の記事で書いたとおり、現在の天皇からなるべく近親者の男系男子を探そうとした場合、最低でも東山天皇まで遡らなければなりません。
東山天皇は1675年10月21日から1710年1月16日までご存命した天皇で、それ以降の天皇からは男系の家系は途絶えていることが明確になっています。
東山天皇は悠仁親王から11世前の先祖ということで、伏見宮家系の家系に比べるとだいぶ天皇に近い関係になります。(天皇の継承という観点では決して近い家系とは言えませんが)
しかし、そもそもこの東山天皇の家系から現在も男系の男子が継承されているかどうかも分かりませんし、いたとしてもその家系の確実性が保証できるのかどうかも不明です。
なにせ数百年も前に皇籍を離れ一般人となっている人の家系なので、家系に対しての確実性・信用性はかなり失われています。
一般の人が11世近くも家系を遡れるということはあり得ず、せいぜい曽祖父(3世)ぐらいまでしか遡れないのが普通です。
この点を考えると、現行天皇から近い男系男子を探したところで、旧宮家と同じように国民が疑惑を感じてしまう家系になる可能性が高くなります。
【追記】
旧宮家よりも近い男系の男子はそれなりに存在しているようです。
3、女系天皇を認める
過去の天皇継承において女系で継承した例は今まで1例もなく、天皇が男系でのみ継承されてきたことに価値を見出している国民も多く存在しています。
特に性染色体であるY染色体は基本的に男性にしか継承されず、男系の血筋が途絶えることで、神武天皇から続いていると思われるY染色体の継承が途絶えることを懸念する人もいます。
このような問題から、女系天皇を認められないという意見を持つ国民は多いはずです。
どれも認められないのなら天皇制を廃止するしかないわけですが、天皇制の廃止など私は当然望まないですし、国民の大部分もそんなことは望まないと思います。
となると、どれかを選ばざるを得ません。
私は上記した3パターンの中で、国民統合の象徴としてもっとも相応しくないのは家系に疑いがあることだと思います。
国民が天皇家に対して疑惑を感じるなどということは、本来あってはならないことです。
しかし、伏見宮家や東山天皇以前から探した家系では、その疑惑を100%払拭することは不可能でしょう。
そう考えると、女系天皇を認める以外に道はないかと思います。
さて、今まで書いてきたことは悠仁親王に男のお子様が生まれなかったらという仮定の話でしたが、そういう考えではなく、悠仁親王から男性の子孫をしっかりと育むことを考えたほうが良いという意見もあるかと思います。
例としては、
側室制度の復活
代理出産の活用
などです。
しかし、こうような方法は現在の倫理観を踏まえると国民から理解を得られるとは到底思えず、それこそ国民統合の象徴にならない天皇になってしまうかもしれません。
旧宮家の男系男子と現在の女性皇族に御成婚してもらい、その子供に天皇を継いでもらうという方法を提案している方もいるようですが、このような個人の意志を反した政略的な結婚も、側室制度や代理出産同様に現在の国民から簡単に理解を得られるとは思えません。(もちろん自然にそのような関係になったのでしたら問題はないですが)
そして、そもそもこのような御成婚が達成されたとしても、上記した旧宮家における家系の諸問題が晴れるわけではありません。
そうなると、旧宮家の男系男子と現在の女性皇族との間に生まれた子供が、男系なのか女系なのかとても曖昧になってしまいます。
曖昧な家系の天皇家というのも、国民統合の象徴として相応しいとは思えません。
正直な話、悠仁親王に男のお子様が生まれなかったら、もはや国民が納得できる天皇継承の方法はないわけです。
私は、旧宮家などの男系男子に天皇が継承され、国民が天皇家の家系に疑惑を感じる状況になれば、その疑惑がボディブローのように効いていき、天皇家、強いては日本国民の崩壊を招きかねない問題に発展しかねないと思います。
一方、女系天皇を認めた場合、その瞬間は旧宮家などの男系男子による天皇継承より大きな問題になるでしょうが、一度認めてしまえばそこまで尾は引かないと思います。
この問題は、専門家でも意見の分かれる難しい問題です。
このようなことで皇族および国民の混乱が起こらぬよう、今はただただ悠仁親王殿下から男系男子の子孫が繁栄されることを願うばかりです。
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コメント
染色体 護るが目的 なのならば 代理出産 精子ばらまき 物語 後で作れば 良い事と 男子継承 覚悟を決めて 男子をば 産んだ 女性を 妃にし 賛成万歳 男子継承 さすがにと 躊躇うならば 男系は 諦めたるが 答えとならん
男系なんて言うのは側室制度があったから存在できたもの。
現に外国の王室は側室制度の廃止と同時に女系を認めている。
日本の皇室も側室制度をやめた時に女系天皇を認めるべきだった。