天皇陛下が、天皇を生前退位する意向を示しました。
明治以降、天皇が生前に退位することはなかったので、この報道が出たときは多くの人が驚いたものと思われます。
私の場合は、天皇の継承問題、特に女系天皇を認めるかどうかという記事を書き進めている最中だったので、その驚きはより一層大きなものでした。
天皇の継承問題は、愛子内親王が生まれて以降、女系天皇を認めるかどうかの問題が盛んに議論されました。
その議論は、悠仁親王が生まれことで一気に沈静化し、現在ではほとんどされることはありません。
悠仁親王が生まれ問題が解決したかのような議論の収束っぷりでしたが、悠仁親王が生まれたからといっても根本的な問題の解決には至っていないはずです。
男系の血筋は事実上、悠仁親王しか繋いでいくことはできず、極めて危うい男系男子の天皇継承と言わざるを得ません。
そして、そもそも悠仁親王が生まれるずっと以前から、皇室は若い男子が極端に少ないという異常事態でした。
この問題は最近突然現れたわけではなく、江戸時代中期から今日までの長い期間をかけて現れてきた大問題であり、2000年に渡る天皇家最大の危機なのです。
以下、1つ1つ説明します。
今上天皇(平成天皇)の子供には男子は2人いるが、1つの家系の男系継承は絶望的である。
昭和天皇の子供には男子が2人いるが、1つの家系の男系は途絶えている。
大正天皇の子供には男子が4人いるが、3つの家系の男系は途絶えている。
明治天皇の子供には成人した男子が1人しかいない。
孝明天皇(明治天皇の父)の子供には成人した男子が1人しかいない。
仁孝天皇(孝明天皇の父)の子供には成人した男子が1人しかいない。
光格天皇(仁孝天皇の父)の子供には成人した男子が1人しかいない。
そして、光格天皇は東山天皇から3世(ひ孫)離れて継承された天皇である。
要約しますと、光格天皇から明治天皇まではご子息に成人男子が1人しかおらず、後の天皇以外で成人した男性皇族は1人もいないのです。
大正天皇以降は皇太子以外の男性皇族が誕生しましたが、どういう訳かその子孫たちは女性が多く、男系の筋は悠仁親王を除き事実上途絶えています。
以上のことを踏まえると、万が一、悠仁親王の子供として男子が生まれなかった場合、男系男子で天皇を継承しようとするなら、もっとも近くても東山天皇の家系まで遡って男系男子を探してくるしかありません。
そうなると、天皇からおよそ10世、年数で言えば400年弱も遡った血筋の天皇が誕生することになってしまいます。
現行の皇室典範では、天皇から4世(玄孫)以上離れた皇族は皇族の身分を離れることになっているので、悠仁親王を除き男系男子で天皇を継承することは現実的に不可能です。
旧宮家の復活をさせようという意見もありますが、そもそも旧宮家である伏見宮家系の家系は、南北朝まで遡らなければ天皇に繋がらない天皇と20世以上離れた家系です。
おそらく明治憲法下ですら、天皇家の男系血筋が途絶えたとしても伏見宮家系の宮家からは天皇を出さなかったと思います。(ここではあえて記さないですが、伏見宮家の系統には血筋が離れ過ぎている問題以外にも、1つの大きな問題がある)
明治憲法下の旧皇室典範では、1世から4世を親王とし5世以下を王としていました。
つまり4世と5世の間に線を引き、現実的には天皇から4世(玄孫)以内で天皇継承を行いたかったように感じます。
事実、大正9年には天皇から5世孫以下の皇族は臣籍降下(皇族から離れること)する法律が制定されました。
この法律は結局交付されませんでしたが、天皇を神としていた時代ですら天皇から5世も離れた血筋はさすがに皇族として認められないという考えがあったのです。
実際、過去の天皇継承は
1世:110例(親が天皇)
2世:8例(祖父が天皇)
3世:5例(曽祖父が天皇)
4世:0例(高祖父が天皇)
5世:1例(高祖父の父が天皇)
と、基本的に3世までで継承されています。
つまり、最低でも曽祖父が天皇であることが条件なのです。
そしてもう一度言いますが、悠仁親王を除けば、最も近くとも10世、旧宮家なら20世以上遡らなければ男系家系で天皇継承することは不可能です。(悠仁親王の後となれば、旧宮家は天皇から22世以上離れると思われる)
悠仁親王から男系の子孫が広がらなければ、常識的に考えて男系天皇の継承は不可能でしょう。
現在の社会情勢から考えて、側室や一夫多妻制は到底認められないでしょうから、天皇家の男系家系が途絶える可能性は充分あります。
現状悠仁親王1人にしか子供ができそうな男子皇族がいない以上、女系天皇を認めるかどうかという問題は、本来議論を続けていかなければならない問題です。
そしてその議論は突き詰めていけば、見えてくる問題はとても単純で、
400年(旧宮家の場合700年)以上遡ってまで男系の血筋を繋げるか?
天皇の近親者である女性(女系も含め)を初めて天皇として認めるか?
の二者択一でしかないのです。
男系の血筋が途絶えることを危惧する人もいるでしょうが、女系天皇を認めることも、数百年も遡った男系の血筋で天皇が継承されることも、過去に一度もなかったという点では同じです。
この問題が再燃する時代に私はもう生きていないかもしれませんが、世論が現在の天皇とまるで関係のないような数百年も遡った血筋である男系男子の人物(しかも現在は皇族ですらない人)と、天皇近親者の女性皇族のどちらかを天皇に選ぶかと問われれば、天皇と関係の深いの女性皇族を選ぶ確率が極めて高いと思います。
世間からすると、数百年遡った血筋の男系男子の人物は見たことも聞いたこともない一般人、天皇近親者の女性皇族は生まれたときからずっと成長を見てきた皇族と映るでしょうから、世間はほぼ間違いなく女系も含めた女性天皇を認める方向に動くと思います。
と言うより、現実的問題から女系天皇を認めるしか天皇家が残る道はないのかもしれません。
天皇の問題はタブー視され議論することもはばかられることが多いですが、せめて女性宮家を認めるかどうかという議論は早急に行わないといけないと思います。
そうしないと、成人した皇族が、皇太子殿下、秋篠宮殿下、悠仁親王殿下の3名とその妻帯者だけになる可能性も考えられます。
そんな事態になったら皇室が行うべき仕事もまともに機能しなくなります。
私自身は、できる限り天皇は男系男子で継承していきたいと考えていますが、現状を踏まえれば女系天皇を認めることも考えなければいけないと思います。
少なくとも、その議論だけは早急に始める必要があるかと思います。
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コメント
遺伝子で 皇統繋ぐ 度胸なし 日本会議が 全てを決めん 言いなりの 陛下だけしか 認めない それなら生身の 人の用なし
ロボットを 陛下と仰ぐ 日も近し 意思も心も 邪魔な感情