新型コロナウイルスに対する勝者と敗者

社会
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イギリスの新型コロナウイルス対策は今年の2月24日に完全撤廃されましたが、このことを発表する際、ボリス・ジョンソン首相は以下のように言いました。

このウイルスはなくならない。そのため、今日はCOVID-19に対する勝利を宣言できる日ではない

引用:ボリス・ジョンソン首相の2022年2月21日会見から

つまるところ、イギリスは新型コロナウイルスに敗北し全面降伏したということです。
アメリカも、新型コロナウイルスに対して現在ほとんど対策を行っていません。
こういった国々では、新型コロナウイルスの感染者数や死者数など減ってように見えるかもしれませんが、もはや全数検査をやめているので、減ったというより感染状況を把握することを諦めたといった表現のほうが正しいと言えます。
新型コロナウイルスで亡くなるのは、大半が高齢者なので仕方ないという発想から対策をやめたのでしょうが、これは敗者による諦め以外の何物でもありません。
本来なら、立場の弱い高齢者こそ守らなければいけない存在のはずです。

新型コロナウイルスの亜種であるオミクロンが流行する前までは、台湾やニュージーランドなどといった数カ国が新型コロナウイルスの流行を抑え勝利している状況でした。
しかし、それらの国もオミクロン株の流行とともに続々と脱落していき、現状、新型コロナウイルスに勝利していた国は中国を残すのみとなっています。
しかし、中国もいずれはこの勝負に負けるでしょう。
ここまで感染力が高まり、ここまで広がってしまったウイルス感染症を、グローバル化された世界で抑え込むことは不可能です。

現在の日本でも、(他の国が既にやめているような)新型コロナウイルスの対策をやめようという議論が盛んになっています。
現実問題、そうせざるを得ない状況です。
ここまで感染が広がり、国によっては何の対策もしていないのですから、もはや感染拡大を制御することは不可能です。
一生、飲食店にアクリル板やビニールシートを設置し続けるわけにもいきません。
しかし、これは新型コロナウイルスに負けた国に合わせ対応をするということです。

ハッキリ言いますと、人類は新型コロナウイルスに負けたのです。

中国が、新型コロナウイルスの感染者を一定期間ほとんど0にしていた現状を考えれば、世界中の国々が中国と同じレベルの対応をしていたら、新型コロナウイルスは2003年に発生したSARSコロナウイルスと同じように、早い段階で収まった可能性があります。
しかし、感染初期段階から新型コロナウイルスを危険ではないと主張する人が、政治家や科学者の中にもおり対応が大きくブレてしまいました。
結果、2000万人近い人が新型コロナウイルスによって命を落としたと想定されます。

米国保健指標評価研究所は今年3月10日発行の医学雑誌に、新型コロナウイルスによる死者は1820万人に上るとの推計を発表。
WHO(世界保健機関)は今年5月5日の報告で、2021年までの新型コロナウイルスによる死者数が1500万人に上るとの推計を発表。

世界の人口である80億人から考えれば、2000万人の死は許容範囲内と考える人もいるかもしれません。
しかし、新型コロナウイルスへの対応を考えれば、もっと危険な感染症が流行しても人類は同じ過ちを繰り返すのではないでしょうか?
おそらく人類の90%とか99%が亡くなるような感染症が発生しても、全ての国や人が協力して対処するということが、現在社会では不可能になっている思われます。

それが、高度な社会性を持った現在の人類なのです。

戦争も回避できず、感染症も抑え込むことができない社会を、人類は数万年かけて構築したというのでしょうか?
新型コロナウイルスに関する様々な動きを見る限り、人類の未来はかなり危ういと思え将来を憂うばかりです。

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