習近平は21世紀の中国独裁者となるのか? 国家主席の任期撤廃へ

政治
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中国の国家主席と副主席の任期を撤廃する憲法改正案が審議され、可決される見通しだと新華社が伝えました。
現在の中国では、憲法により国家主席と副主席の任期は2期を超えて連続して就任することはできないと定められており、1期が5年のため最長でも10年しか国のトップである国家主席の地位に就くことはできません。
習近平国家主席の場合は、この規定により最長で2023年までしか国家主席でいることはできないのです。

しかし中国は憲法を改正し、こともあろうか国家主席の任期に対する条項そのものを撤廃してしまうというのです。

このような国の指導者に対する任期の延長や撤廃は、独裁者が1番最初にすることとして有名です。
例えば、ヨーロッパ最後の独裁者と呼ばれるベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、2004年には憲法の3選禁止条項を撤廃し、1992年から現在まで大統領を続けています。
ウズベキスタンのイスラム・カリモフ前大統領も、憲法の3選禁止条項を無視し続け、1991年の建国から2016年に亡くなるまで大統領であり続けました。
このように、国のトップが任期の規定を延長したり無視したりして権力の座に居座ることで独裁は始まります。
そもそも国の指導者に対する任期というものは、権力の行き過ぎた集中を避けるためにあるものなので、それを撤廃してしまえば独裁者は生まれやすくなるわけです。

日本でも、2017年に自民党総裁の2期6年という任期が3期9年まで延長され、首相であり自民党総裁でもある安倍晋三首相への批判の声が高まりました。
確かに6年だった任期が9年になれば、権力は集中しやすくなるでしょう。
しかしこれは自民党という政党の規約に過ぎず、また完全に任期を撤廃したわけでもありません。

ここで東アジア各国における国のトップの任期を確認します。

日本の総理大臣:議院内閣制のため任期なし
中国の国家主席:任期5年、2期まで
台湾の総統:任期4年、2期まで
韓国の大統領:任期5年、1期のみ
北朝鮮の総書記:独裁国家のため任期なし
モンゴルの大統領:任期4年、2期まで

日本は議院内閣制の総理大臣のため任期はありませんが、前記した通り政党が党代表の任期の規定している場合があります。
日本の戦後(現憲法下)でもっとも長く首相を務めたのは佐藤栄作の2798日(7年半ほど)ですが、これは4年2期と定められた台湾総統より短い程度の在任期間で、現実的に日本で独裁者のような首相が現れた事実はありません。
それ以外の国や地域は、(北朝鮮は論外として)全て任期があり独裁者が生まれないような政治制度ができています。

しかし、中国は今回の憲法改正で国家主席の任期のない国となり、東アジアに国の指導者に対する任期のない国が新たに誕生してしまったわけです。
ただでさえ一党独裁で選挙もないという中国で、国家主席の任期がなくなれば極めて独裁者の生まれやすい環境となります。
経済の自由化を行い世界の国々から認められてきた中国でしたが、今回の件で一気に世界からの信用をなくしてしまう事態にまで発展しかねません。
共産国家かつ独裁国家の中国となれば、民主主義国家からの拒否反応が相当強くなることは間違いないでしょう。
また、仮に習近平国家主席が失脚したとしても、国家主席の任期条項がなければ今後の中国は常に独裁者が生まれやすい環境が残るわけです。

中国が独裁国家に進むという問題は今すぐに表面化することはないでしょうが(習近平の国家主席の任期はまだ5年残っているため)、5年後10年後には極めて大きな問題となり、東アジアを取り巻く環境が不安定になる可能性を考えられます。
この問題に対し、世界各国ができる具体的な対応は少なく、中国国民による民主化革命に期待したいものですが、天安門事件のことを考えるとそれも難しいのかもしれません。

以上、不安しかない中国の国家主席の任期撤廃について考えてみました。

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