堀江貴文元受刑者が主張する新型コロナウイルス対策は正しいと言えるのか?

経済
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発言がネットニュースでも度々取り上げられる堀江貴文元受刑者は、新型コロナウイルスの存在が世に知られて以降、一貫して過度な対策はするべきではなく経済を優先するべきだと主張しています。
新型コロナウイルスの感染が広がった初期段階の実態が掴めなかったときならまだしも、明らかに危険性が高い感染症であることが判明した現段階でこのような主張を行うのは、さすがに問題があると言わざるを得ません。

現在、新型コロナウイルスによる死者数は世界で60万人ほどですが、発展途上国などはPCR検査をそこまで完璧に行っていないため報告数に相当漏れがあると思われ、また国(中国や北朝鮮など)によっては死者数を相当低く報告しているとの疑いもあり、実際の数はもっと多いと想定されています。
新型コロナウイルスのワクチンが一般に広く流通するのは早くても再来年から(最悪の場合はワクチン開発は不可能)と考えられており、終息にはどんなに早く見積もっても後2年はかかるとの見方が専門家の中でも大半を占めるようになってきました。
結果、新型コロナウイルスによる死者の数は現在発表されている数より更に十倍程度増え、場合によっては1000万人を超える可能性も示唆されています。
これは全人口の0.1%程度の人が新型コロナウイルスで亡くなるという意味です。

日本の状態はそこまで酷くないですが、堀江元受刑者が主張するような外出自粛や緊急事態宣言などの対策をほとんどしない状況で人々が生活をすれば、人口の0.1%に近い10万程度の人が新型コロナウイルスで亡くなっても何らおかしくない状況と思われます。
これほど危険であることが明確な感染症に対し、主だった対策をせずに普段通り経済を回すべきという主張は、個人的に到底受け入れられません。

もし、堀江元受刑者の主張が正しいというのなら、国や自治体が行っている危険対策のほとんどは必要ないということになってしまいます。
例えば高層ビルは、姉歯事件の際に話題になったように、厳しい建築基準法により万が一にも倒壊しないように作られています。
その基準を守るためには、鉄の量を増やすなどといった大きな経済的な無駄が生じるわけですが、堀江元受刑者の主張に沿って経済的概念をを優先するなら、高層ビルなんて国内で1年に1棟ぐらいは倒壊しても構わないから、もっと安く効率的に作るべきということになってしまうのです。
計7棟のビルが倒壊した9.11テロの死者数が2,996人でしたから、高層ビルが10棟倒壊しても新型コロナウイルスで亡くなる人の想定数より、だいぶ少なくなると思われます。

同じ理屈で考えれば、橋だってトンネルだって高架の道路だって、崩落しても数十人から数百人程度しか亡くならないでしょうから、過度に厳しい基準なんか定めずに多少の崩壊を許す程度の基準で作ったほうがよっぽど経済的と言えます。
大きな施設にあるスプリンクラーなどの火災対策も、滅多に起きない火事のために大きな設備費をかけるのは無駄なだけです。
更に殺人などの犯罪で亡くなる人もそう多くないでしょうから、殺人事件の捜査なんてやめてしまえば公務員(警察)の数を減らせて税金の無駄がなくなります。
堀江元受刑者の主張では、滅多に起きない戦争のために毎年何兆円もの予算を組んで軍隊を保持しているのなんて、バカバカしいにもほどがあるということでしょう。

このように、経済性を重視し安全対策を怠っていいという考えがまかり通れば、滅茶苦茶な世界となってしまうのです。

こんな堀江元受刑者の考えに同調しているのか、今回の新型コロナウイルス騒動で大事なのはトータルの死者数であると主張する人もいます。
ようは、経済的な問題で自殺者が増てしまっては、いくら新型コロナウイルスを抑え込んでも意味がないと言いたいのでしょう。

しかし死者の数で見れば、日本で戦後に起こった自然災害を全部足しても10万人は至りません。
一方、戦後の国内自殺者の数は100万人を優に超えています。
そのうち何人が経済的理由で自殺したかは分かりませんが、死者の数が大事というのなら、戦後に行ってきた災害対策なんてほとんどせずに、そのお金を経済に回したほうが自殺者の数が減り、トータル的な死者の数は減ったかもしれません。
自然災害は人的被害以外の経済的な損失も大きいので、本来、死者の数だけで比較するべきではありませんが、死者の数が大事というのなら、自然災害の対策なんて意味がないかもしれないのです。

ハッキリ言えば、何でも経済を優先するという考えに立つのなら行政なんていらなくなってしまいます。
国民から税金をとって行う事業は、基本的に全て経済的な無駄が生じる事業です。
利益が上がる事業なら民間がやればいいだけです。

行政が安全より経済を優勢することは、国家としての崩壊を意味します。
経済優先なら、労働基準法をなくして労働者に毎日12時間ぐらい低賃金で働かせたほうが経済発展に貢献するかもしれません。
道路のスピード制限も全て撤廃してしまえば、物流速度は早くなります。
しかし、そんな世の中が健全と言えるでしょうか?

新型コロナウイルスの対策に限らず、行政はあくまで安全性を重視するべきです。
経済を無視するなとは言いませんが、現在の政府が行っている対応は経済優先どころか“安全無視”に等しいわけで、堀江元受刑者共々問題があると指摘せざるを得ないと思います。

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