軽自動車が売れすぎて問題に? 軽規格は廃止するのでなく拡大化すべきという話

経済
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2019年、日本の新車登録車数は5,195,216台でしたが、その内およそ37%の1,910,346台が軽自動車となっています。(ちなみに普通車は3,284,870台)
そもそも軽自動車とは、日本で車があまり普及していなかった時代に購入しやすくするために導入された制度なのですが、自動車で溢れかえった現在の日本で、その役目が終わっていることは誰の目から見ても明らかと言えるでしょう。
ましてや新車として買われる3分の1以上が軽自動車となると、それはもう普及の役目を終え、利用者に普通の車として支持されていることを意味します。
新車登録台数の37%にまで上がった軽自動車というのはさすがに異常であり、税制の在り方や日本車の国際的なガラパゴス化などといった問題も指摘されています。
ガラパゴス化という点については、軽自動車の規格ごと途上国などに輸入できれば一気に解決するのですが、そんなことは軽自動車が誕生して何十年経ってもできていないのですから、今さら無理なことであると言わざるを得ません。

こういった状況から、現在各方面でささやかれているのが軽自動車廃止論です。

特に税収の部分で、軽自動車を廃止したいと考える層がいるそうです。

一方で、軽自動車が貧困層の支えになっているという話もあります。
例えば、小さな子供のいる母子家庭では、通勤、子供の幼稚園・保育園などへの送り迎え、買い物などなど、自動車が不可欠な環境で過ごす人も多くいますが、経済的なゆとりがないため購入する車は自ずと軽自動車になります。
そんなものは片親に対する補助金などで賄えばいいという考える人もいるでしょうが、しかし貧困の理由は千差万別であり、そういった様々な理由の貧困に対して軽自動車という税金の優遇措置が一括で解決している側面もあるわけです。
ベーシックインカムのような対策を行えば、軽自動車による貧困層対策の必要はなくなりますが、それはそれで難しい選択になります。

更に軽トラックに代表されるような通常の車としてではない、身近な作業車的な使われ方をする軽自動車に対し普通車並みに税金をとれば、あらぬ弊害が起こるのではないかという議論もあります。
また若者の車離れが叫ばれる昨今で、まだ収入の低い若者世代が初めて購入する車と軽自動車が一役買っていたりもするので、自動車普及としての軽自動車の意味が全くなくなったわけではありません。
もっと言えば、軽自動車という限られた規格が、日本の車技術の発展に大きく寄与している可能性も考えられます。
事実、これほどまでに軽自動車が普及した背景は、軽自動車という限られた規格の中でどうやったら利用者に受け入れられるかという自動車メーカーの絶え間ない努力により、軽自動車の質が著しく高くなったという実態があります。

軽自動車の質の向上もありますが、利用者が軽自動車を選ぶ根本的な理由は税金などの維持費の安さによるものでしょう。
もう少し正確に言うのなら、軽自動車と普通車の税制面に差がありすぎることが、ここまで軽自動車の普及率が上がった要因かと思います。
ということで、現在最も売れている軽自動車であるN-BOXと、同じメーカー(ホンダ)のコンパクトカーであるフィットの法定的な維持費を比較してみます。(エコカー減税などは無視)

【N-BOX】
自動車税:10,800円(毎年)
車検時の法定費用(2年に1回)
 自賠責保険:25,070円
 重量税:6,600円
 印紙代:1,100円

【フィット】
自動車税:34,500円(毎年)※
車検時の法定費用(2年に1回)
 自賠責保険料:25,830円
 重量税:24,600円
 印紙代:1,200円
※2019年10月以降に新車購入した場合は30,500円

N-BOXとフィットでは、法定費用に2年間で7万円ほどの差があります。
任意保険や車検時にかかる諸経費も軽自動車のほうが安いので、トータル的な維持費の差はおそらく10万円以上になるでしょう。(燃費はタイプによってバラバラなので考えないものとする)
この10万円が、庶民にとっては切実な問題となるのです。

以上のような維持費の差が、質の部分で差が縮まった分より目立つ形となっているようです。

そこで私の考える対応策が、

軽規格の拡大化

です。

一部では軽自動車廃止論がささやかれているわけですが、私は全く逆の拡大化という発想で、現在の軽自動車に関わる問題を全てを解決するべきかと思います。
具体的には、現在の軽規格から排気量を1,000㏄、サイズを1割程度まで拡大化することを提案します。
ここまでサイズアップすれば外国でもそのままコンパクトカーとして十分販売できますし、日本専用の660ccエンジンをわざわざ(エンジンを乗せ換えて販売している)開発する必要もなくなり、日本車のガラパゴス化問題を解決できます。
その上で、軽自動車の各種優遇措置を低下させ、自動車税を1.5倍、重量税を2倍ぐらいまで上げてもいいかと思います。(本当は普通車の税金を下げたいのですが、昨年下げたばかりなので当分行われないものと思われる)
軽自動車における高速道路の割引も廃止でいいでしょう。

こうすることにより、規格的にも税制的にも軽自動車と普通車の差が小さくなるので、今のような軽自動車の登録数が3分の1を超えるような状況はなくなると思います。
万が一、現状と同レベルの登録率になったとしても税収入はそれなりに改善されます。
税の優遇措置を緩めはすものの、軽自動車の規格自体は残すので貧困層への対策は維持され、一気にいろいろな問題が解決できると思うのです。

ただし税制面で普通車との差をなくしすぎると、軽自動車制度そのものが崩壊しかねないので注意が必要です。
お隣の韓国では、日本より大きいサイズの軽規格があるのですがあまり普及していません。
その理由は、優遇措置の小ささにあります。
韓国における軽自動車(軽車)の優遇措置は、購入する際の一部税の免除と、高速道路通行料50%割引、公営駐車場50%割引のみで、日常的な維持費に関する優遇措置はないため、貧困層や若者への補助的な意味に全くなっていないのです。

やはり、現在の日本では軽自動車による税制面での優遇措置はまだ必要でしょうから、短絡的に廃止などという選択をせず、もっと別の知恵を絞って問題の解決法を探っていただきたいと思います。

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