実現可能か? 競技かるたのプロ化について考えてみた

スポーツ
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今回は、競技かるたのプロ化問題について書いていきたいのですが、そもそも私は競技かるたの経験者ではなく百人一首の歌もほぼ理解していません。
しかし競技かるたを観るのが好きで、メディアで放送(配信)があるときは欠かさず観戦しています。(当然、競技かるたのルールは理解しています)
競技かるたのファン歴は5年ほどで、何も調べることなくパッと20人以上の競技かるた選手の名前をフルネームで言うことができるため、一般の人に比べればかなり競技かるたに詳しい部類に入るでしょうが、競技かるた経験者から見るとただの素人でしかありません。
ですので、以下で書く競技かるたプロ化の話は、昔よくいた野球経験もないのにプロ野球についてあれこれ語っているファンの話程度と思ってください。

実際に競技かるたに携わる団体や選手たちは、様々な事情を考慮しプロ化しないことを選択しているものと思われ、この点について私のような人間が意見を言う立場にはありません。(競技かるたは、審判が基本的にいないなどプロ化しづらい競技上の特殊性がある)
しかし、私は将棋と麻雀のプロについては制度や組織を含め熟知しているため、競技かるたの選手や関係者とは違った視点で競技かるたのプロ化についての意見が言えると思います。
ちなみに私は、競技かるたを題材にした『ちはやふる』の漫画・アニメ・実写映画を一切見ていません。
最近は選手もファンも『ちはやふる』から競技かるたの世界に入る人が多いそうですが、私は競技かるたを行うこともなく『ちはやふる』を見ることもなく競技かるたのファンになったかなり稀な存在と言えます。

というわけで、競技かるたのプロ化について考えていきたいと思います。
まず、日本国内でプロ選手と聞いて思い浮かぶのが野球とサッカーです。
野球やサッカーは、観客からのチケット代やメディアの放映料、親会社からの支援などでチームを運営しているわけですが、競技かるたでこのようなプロ化が無理なことは誰の目にも明らかです。

日本には半プロ的存在として実業団という企業で雇われ競技を行う選手たちもいます。
実業団のある競技として有名なものは、競技かるたと同じ対戦型の競技としては、

バレーボール
ラグビー
ハンドボール
アイスホッケー
柔道

などがあり、個人の記録型競技としては、

陸上
競泳

などがあります。
以上のように、実業団の大半はオリンピック競技などの国際的なスポーツで、これらのスポーツと比べ競技かるたは競技人口もファンの人口も大幅に少なく、この点を考えると競技かるたの実業団化は難しいと考えるべきでしょう。

それ以外のプロ制度としては、将棋や囲碁のプロ制度があります。
以前もこのブログで将棋のプロ制度について書いたことがありますが、将棋や囲碁は上記で示したようなプロや実業団とは違う側面が多々あります。
将棋や囲碁は、競技者やファンの数が実業団のスポーツよりも少ないとも思えますが、それでもしっかりとプロ制度ができており1億円を超す収入を得ているプロ棋士もいます。
それは何故かと言うと、端的に言えば将棋や囲碁は勝負の部分だけではなく文化的な側面が強く、日本文化を保護するという名目のもと新聞社などが支援しているからです。
この点においては、競技かるたも日本独特な文化なため新聞社などのスポンサーを得やすいのかもしれません。
実際、競技かるたが多くの地方自治体とうまく協力し大会を開催できているのは、このような側面があるためと思われます。

しかし、もしスポンサーを得ることができたとしても、少ないスポンサーでプロ化するのは問題があるかもしれません。
現在、女子野球にはプロリーグがありますが、実際はリーグもチーム『わかさ生活』の一社が運営し、4チームある全ての選手も『わかさ生活』の社員的側面が強くなっています。
この女子プロ野球は、インターネットを使い月1280円で生中継を見ることができます。
一方、Jリーグの全試合が見れる『DAZN』は月1780円です。
これだけ聞けばある程度打倒な気もしますが、この『DAZN』は、

プロ野球の大半の試合
Vリーグの全試合
メジャーリーグ
NFL(アメフト)
WWE(プロレス)
ヨーロッパチャンピオンリーグ(サッカー)
F1

更に、それ以外にも様々なスポーツコンテンツを見ることができ、これらを全部含めて月額1780円なのです。
これと比べると、女子プロ野球の月1280円はべらぼうに高いと言わざる得ず、かなり無理をしてプロ化していることがわかります。
これはプロ化の成功例としてはあまり適切ではないかと思います。
ですので、競技かるたにスポンサーが名乗り出たとしても、無理に上位数人でプロリーグを作るみたいなことはしないほうがいいのかもしれません。

一方、麻雀のプロは資格試験に近く、プロ団体はプロ資格を与えるだけで(リーグ戦などを主催もするが)プロ選手の生活を保証するようなことはしません。
麻雀のプロは、稼ぎ口を自分で見つけなければならないのです。
これはゴルフやボクシング、ボーリングなども同じで、これらのプロ選手は賞金が出る大会・試合に出たりレッスンプロになるなどして生計を立てています。

現在、競技かるたでは商品のある大会がありますが、賞金のある大会はありません。
しかし、もし競技かるたを統括する『全日本かるた協会』がその気になれば、スポンサーの出資による賞金のある大会を行うことはそう難しくないでしょう。
例えばA級の大会(競技かるたの段位が四段以上の人の大会)には賞金を出すようにすることは可能かもしれません。
ただ賞金が出るとなると、審判がいないセルフジャッジの部分はさすがに改善するべきかと思います。
と言っても、現状の競技かるた大会でA級の試合全部に審判をつけることは無理な話です。

ということで、私が考える競技かるたのプロ制度を発表します。
まず、A級より更に人数を絞ったS級を創設し、このS級をプロとして扱います。
そして大会ごとにスポンサーを募ってS級の選手には賞金が出るようにし(当然順位により賞金が違う)、審判もS級の試合には全部付くようにします。
S級の選手たちは、ゴルフやテニスのツアープロのような感じで、賞金のある大会に複数出ることによってできるだけ多くの賞金を稼いでいきます。
S級選手の人数は一定数を保ち、年度ごとに成績下位となったS級の選手とA級の成績上位選手で入れ替えを行います。

おそらくこのような形でプロ化をしても、それだけで生活するのは無理かもしれません。
しかし、選手に対する多少の資金援助はできるかと思います。(競技かるたの選手は公務員(学校の先生)も多いため、その人たちには賞金額相当の商品を与える)
もう少し軽い制度としては、A級選手の大会である程度の成績を収めたら(例えばベスト8など)、交通費名目でいくらかのお金を支給するなどということも可能かもしれません。
いずれにせよ、競技かるたの完全なプロ化は無理にしても、賞金のある大会の実施など上位選手への資金援助は多少あっていいかと思います。
特にトップレベルの何人かの選手には、それなりの経済的援助をしてもいいのではないかと強く思います。
もちろん、全日本かるた協会は当然として、選手やファン、競技かるたに見識のある著名人などが本気になって行動すれば、もっとレベルの高いプロ制度の実現も可能と思われます。

今は『ちはやふる』により競技かるたが一種のブームになっているので、プロ化のチャンスとも言えます。
そもそも競技団体でプロ化ような動きが起きるのは、大抵スター選手が生まれたときです。
例えば、

卓球の福原愛
バスケットボールの田臥勇太

のような選手が誕生したときに、その競技のプロ化が進みます。
ですので、競技かるたもそういった選手が出てきたらプロ化という話に現実味が出てくるかもしれません。
個人的には私が競技かるたの世界にどっぷりとハマるきっかけとなった慶応大学の矢野杏奈選手に期待したいと思います。

以上、競技かるたのプロ化について考えてみました。

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