メディアが伝えない木村花の死について

芸能
この記事は約7分で読めます。
女子プロレス団体『スターダム』に所属していた木村花選手が、5月23日に自殺という形で命を失う形となりました。
その原因は、出演していた恋愛リアリティー番組『テラスハウス』の影響でSNSが炎上、多くの誹謗中傷を受けた結果であるとされています。
より詳しい理由についてインターネットの情報では、プロレスで着るコスチュームを勝手に洗濯されたことが事の発端らしいのですが・・・

『なんでコスチュームを洗濯されると炎上するの???』

と、テラスハウスを観ていない人間からすると、さっぱり意味が分かりません。
もう少し詳しく調べてみると、今年の3月31日に放送されたテラスハウスで、大事なコスチュームを勝手に洗濯され縮んでしまい、もう着れなくなったことに怒った木村花の態度に大きな問題があったそうです。
テラスハウスのテレビ放送は4週程度遅れるそうですから、思ったより短い期間で誹謗中傷が広がり、木村花は精神的に追い詰められていった模様です。

しかし私は、問題の本質は別のところにあると思っています。
メディアでは、今回の一件をSNSの問題であると断定的に報じていますし、テレビなどでは『テラスハウスに出ていた木村花』のことばかり取り上げています。
しかし木村花は女子プロレスラーであり、SNSで炎上するもっと前からプロレスラーがメディア出演する際に起こる特有の問題を抱えていたと思います。

問題を分かりやすくするため、あえて極端な言い方をすれば、『プロレス界とは、まともな人間が1人もいない世界』です。
プロレス界は黒いものを白と言わないといけないような異常な世界であり、特に女子プロレスラーは、女子特有の妬み・嫉み・やっかみがすごい世界であると、インタビューなどで何度となく聞いたことがあります。
最近のプロレス界は、そこまでおかしな世界ではなくなっていますが、それでも一般社会から比べると異常な世界であることは確かであり、こういった業界に若くして入るプロレスラーは、一般常識の欠如など社会性の乏しい傾向が強くなります。(近年はプロレス界に入る年齢も上がっているいるため、この限りではないが)
特に木村花の場合は、片親として育てられた母親がプロレスラーでデビューも早かったので、プロレスの世界にどっぷりハマっていた可能性も捨てきれません。
そんな女子プロレスラー・木村花が、恋愛リアリティショーなんてものに出演したら、上手く立ちまわれず炎上するのが目に見えていたわけです。

特にルックスの良い『アイドルレスラー』と呼ばれる存在の人は、ファンから人気を得る一方で、女子プロレスラーの中でやっかまれる存在となります。
アイドルレスラーの苦悩みたいなエピソードは、少し調べるだけで山のように出てくるはずで、

ミミ萩原
キューティー鈴木
井上貴子
福岡晶
工藤めぐみ
白鳥智香子
大向美智子
府川唯未
納見佳容
藤田愛
栗原あゆみ

などのアイドルレスラーと呼ばれた人たちは、皆それなりの苦労を経験してきたはずです。

ただし、まだこの時代は、ビューティー・ペア(ジャッキー佐藤、マキ上田)、ジャガー横田、クラッシュ・ギャルズ(ライオネス飛鳥、長与千種)、極悪同盟(ダンプ松本、ブル中野など)、北斗晶、神取忍、アジャ・コング、ダイナマイト関西、豊田真奈美、井上京子などなど、世間的に有名で実力的な人気をもった女子プロレスラーが多数いたため、妬み・嫉みがアイドルレスラーだけに向かうことはありませんでした。
しかし現在は、一般人のほとんどが現役の女子プロレスラーの名前を知らない状況で、私ですら20代で活躍する女子プロレスラーは、木村花以外には彼女のデビュー戦の相手だった才木玲佳ぐらいしか知りません。

そんな状況の中で、現在のアイドルレスラーの代表的存在である木村花が人気番組にレギュラー出演、しかも恋愛リアリティシューなんて番組に出演すれば、同業者からの嫉妬はえげつないレベルにまで達していた可能性があります。
ワイドショーでコメンテーターが、木村花の死について『プロレスラーの仲間は助けられなかったのか?』などと言っていましたが、木村花にとって一緒のリングに上がる女子プロレスラーは、既に仲間ではなく敵になっていた可能性も捨てきれません。
そういった意味では、テラスハウス出演後の木村花は本当に孤独だったでしょうし、実際に孤独だったからこそ、こういった結果になっているものだと思います。

結局、木村花のようなアイドルレスラーがテラスハウスのような番組に出演したら、ちょっとした問題が起きただけで、一般世間(番組視聴者)からは『今の女子プロレスラーってこんな感じなんだ』と女子プロレス界の代表者のように扱われ、プロレスファンからは『女子プロレスラーの代表なんだからもっとしっかりしろ』と無頓着に叱咤され、プロレス仲間からは『人気番組に出て浮かれてる』と激しく妬まれるわけです。
このことは、番組に出演する前から絶対に分かっていたはずです。
今回の問題は、恋愛リアリティショーというコンセプトの番組に木村花をキャスティングしたマネージメント会社とそれを許した所属団体に問題があり、その度合いはSNSで誹謗中傷した人間以上だと私は思っています。
特に集客効果などを狙って選手をこのような番組に送り出した所属団体の責任は大きいと思います。
もし何十年も前からインターネット網が発展していたと仮定して、上記したアイドルレスラーが恋愛リアリティー番組に出演していたら、漏れなくネット上で炎上していたことでしょう。
つまり『アイドルレスラー × 恋愛リアリティショー = 炎上』という構図ができているわけで、このことは昔からのプロレスファンなら何となく理解ができるのではないでしょうか?

そしてこの状況は、自分がたまたまプロレスファンだから感じただけで、ひょっとしたら他の業種に置き換えても同じことなのかもしれません。
だとしたら、このような番組自体に何らかの問題がある可能性もあります。
そもそも最近のテレビ番組は、芸能人や有名人のプライベートな部分に踏み込みすぎな気がします。
芸能人のプライベートは気になる部分でもありますが、そんな部分ばかりで番組を作っていたら芸能人のブランド価値は下がり、結局エンターテインメント業界全体が盛り下がるという結果を招くのではないでしょうか?
エンターテインメント業界を本気で盛り上げたいのなら、番組製作者側も出演者もプライベートの切り売りなんてしてないで、もっとクリエイティブなものを作っていくべきかと思います。

最後に、メディアが決して言わないことについて言及します。
それは、木村花自身の問題についてです。
このことは現状とても言いづらいですが、絶対に言っておかなければなりません。

当然、今回の問題は、本人に対し直接的な誹謗中傷を繰り返し行った人間、あるいは炎上する可能性が高いような番組に女子プロレスラーを出演させた会社が悪いに決まっています。
しかし、

『死んだらダメだろ!』

このことは、絶対に言っておかなければならないのです。
メディアでは、(少なくとも自分で見た範囲では)誰1人として死を選んでしまった木村花に対する批判を行っていません。
当然、死者に対する冒涜は行うべきではありませんが、しかし死者を聖人にしてもいけないと思います。
木村花には、死ぬ以外の選択肢がいくらでもあったはずなのです。
『SNSをやめること』、『テラスハウスの出演をやめること』、いざとなったら『女子プロレスラーをやめること』だってできます。
有名人はここぞとばかりにSNSで誹謗中傷した者に対して攻撃的に批判を展開していますが、自殺防止のため本当にしなければならないことは、たとえ誹謗中傷されたとしても『死を選ぶ必要はない』というメッセージをもっと訴えるべきなのではないでしょうか?

このことは、SNSでの誹謗中傷に限った話ではありません。

もし学校でイジメられたら、先生や親に相談するべきですし、それが無理だったら学校に行かなくたって構いません。
過労死するような環境で働かされたら、労働監督署に相談するべきですし、それが無理だったら転職したって構わないはずです。
どんな状況下でも、死を選ぶ前に何らかの行動を起こすチャンスはあるはずで、極端な選択をする手前で今一度冷静になって物事を考えてみるべきなのです。

私は木村花の死を通じて、他人を攻撃する人にも自ら死を選ぼうとする人にも、命の大切さを考え直してほしいと思います。
スポンサーリンク
ブログランキング

↑ ↑ ↑
更新励みになりますので、毎日の応援よろしくお願いします。
スポンサーリンク

コメント

Translate »