伊調馨選手のパワハラ騒動について昨日発売の週刊新潮が、この問題の裏には日本体育大学(以下、日体大)と至学館大学の権力争いがあるのではないかと報じ、ワイドショーなどでもこの記事を元による後追い報道がなされています。
日体大と至学館大学の権力争いという内容は、私が当ブログで書いた3月3日に記事と基本的に同じです。
そして私はその記事の中で、後に日体大レスリング部の元監督である安達巧氏だと判明した、当時マスコミに関係者B(告発者B)と呼ばれ正体が不明だった人物を、3月3日の時点で安達巧氏であるということも間接的に明記しいています。
以上のことを考えると、私は、この問題についてテレビなどの報道よりも、正確な情報をいち早く伝えることができそうなので、この問題を深く考えてみたいと思います。
私は、伊調馨選手のパワハラ騒動の裏には『3つの対立軸』があると感じているので、まずはこの3つの対立軸を1つ1つを解説していきます。
日体大(日本体育大学)vs至学館大学
レスリングの世界を知っている人にとって、日本レスリング界を引っ張ってきたのが日体大であることを否定する人はいないでしょう。
しかし、日体大が主に引っ張ってきた男子レスリングは、近年オリンピックで多くのメダルを獲得できていません。
そこに来て、2004年からオリンピックの正式種目になった女子レスリングは、今日までメダルを16個(金11、銀3、銅2)も獲得し、国民からも大きな注目を集めています。
そして、女子のオリンピックメダル16個の内、14個のメダルが至学館大学の卒業生・在学生が獲得しているのです。(銅メダル2個の浜口京子選手以外は全員至学館大学)
同じ期間で男子レスリングが獲得したオリンピックメダルは、男子のほうが種目・階級が多いにも関わらず9個(金1、銀3、銅5)ですから、女子に比べだいぶ少なくなっています。
このように、今までオリンピックでメダルを量産してきた日体大を遥かに凌ぐ勢いで、至学館大学出身のレスリング選手がオリンピックメダルを量産しているため、自ずとレスリング界における至学館大学の地位や発言権が強くなり、それに比例して日体大の発言権が小さくなっていることが伺えしれます。
その結果、日体大と至学館大学との間に軋轢が生じてきていると考えるは、極めて自然なことだと思います。
男性(男子レスリング界)vs女性(女子レスリング界)
栄和人監督がレスリング部監督を務める至学館大学の谷岡郁子学長が、3月15日に会見を開きました。
私は、この谷岡郁子学長が日本レスリング協会の副会長だと知って、この問題の本質が見えた気がしたのです。
日本のスポーツ界は、体育会系と言われる縦社会の意識がとても強いことが知られていますが、特に格闘技界は体育会系の中でももっとも縦社会が強く、また男尊女卑の世界でもあります。
そんな究極の体育会系とも言える日本レスリング協会で、レスリング経験者でもない女性が副会長の地位にまで登りつめれば、それを面白くないと思う男性(男子レスリング経験者)が出てきても不思議ではありません。
今までの日本レスリング界で、所詮マイナー競技と揶揄されてきた女子レスリングの選手や関係者がどんどん高い地位に登りつめれば、日体大と至学館大学と同じように、この問題でも軋轢が生じることでしょう。
栄和人監督vs安達巧氏
栄和人監督と安達巧氏は、今回の伊調馨選手のパワハラ騒動について告発した側と告発された側という関係ですが、この個人的な対立の構図も今回の問題の背景にあると思います。
レスリング界と何ら関係もない私ですら、3月3日の時点で栄和人監督を告発したのが安達巧氏であろうと予想がついたくらい、この2人には因縁があるのです。
栄和人監督と安達巧氏は同じ鹿児島県出身で、高校も同じレスリング強豪校の鹿児島商工高校(現:樟南高校)、更には大学も同じ日体大でした。
年齢が6歳違うので同時期に同じ学校に通っていたことはありませんが、レスリング界という狭い世界にあっては、2人の先輩後輩という関係性はしっかりできていたと考えられます。
しかも階級も同じでオリンピック代表の座をかけて戦ったことすらあるのですから、個人的な”わだかまり”や”いざこざ”があってもおかしくない関係性と言え、このような個人的な恨みのような感情が、今問題に多少なりとも影響している気がしてなりません。
そもそもスポーツの世界で問題が表に出てくるのは、大抵成績が落ちているときです。
成績の低下が指導者や組織などへの不信感に繋がったりすることはよくあることで、逆に好成績を残しているときは、多少の問題があっても問題は表に出てきづらいでしょう。
ですので、現在絶好調の女子レスリング界や至学館大学レスリング部、またはオリンピック4連覇中の伊調馨選手から突然大きな問題が噴出したことには、大きな違和感を感じざるを得ません。
そこで私は、女子レスリング界や至学館大学と対立しそうな側に何らかの作為があるのではないかと予想していろいろ調べてみると、やっぱりなと感じさせる情報が多数出てきたのです。
栄和人監督が脇の甘い人物だったことも事実でしょうし、レスリングの競技性を考えると練習中にパワハラ紛いなことなども普通にあったことでしょう。
伊調馨選手との関係においても、様々な問題があったことは事実かもしれません。
しかしこの問題の本質は、栄和人監督を突破口として、上記したような栄和人監督側と対立している人間の中に、問題を大きくしたいと考えている人がいることだとを思わざる得ません。
この部分をしっかりと調べなければ、伊調馨選手へのパワハラ問題の本質には迫れないと私は思います。
ワイドショーなどは今件について印象論ばかりなレベルの低い議論を行っていますが、メディアはしっかりと取材をして今問題の真相に迫っていただきたいものです。
以上、最後になりますが、今問題を引きずり、東京オリンピックでの女子レスリングのメダルが0個なんてことにならないよう願うばかりです。
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