元宮崎県知事でタレントの東国原英夫氏が先日のTBS系列のバラエティ番組『プレバト!!』で発表した俳句と、昨年の6月27日に発行された宮崎日日新聞という地方紙に掲載された俳句に極めて近い類似性が認められ、東国原氏が盗作したのではないかとの疑惑が指摘されています。
俳句は、上五、中七、下五という言葉の構成で文章ができていますが、今回東国原氏が発表した俳句は、類似性が指摘されている俳句と中七と下五が完全に一致し、上五もほぼ同一となっています。
このことに対して東国原氏は、Twitterで以下のように説明しました。
② 先程、このツイート(ご指摘)を確認しました。正直、大変驚いています。結論から言います。僕は、このご指摘の俳句、全く知りませんでした。しかし、ここまで似ると最早、盗作と言われても仕方無い状況です。
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2018年7月4日
③ ましてや、宮日新聞に掲載されたとなると更に疑念を持たれるのは致し方無いと思います。僕は、俳句を作り、提出する際に、自分の句と類句・類想句が無いか出来得る限り調べます。しかし、自分のリサーチ力にはやはり限界があり、番組スタッフや夏井先生の
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2018年7月4日
④ お力等をお借りしているのが現状です。それでも、毎日全国で数千・数万の俳句が生まれ、過去100年以上の歴史の中で詠まれた俳句は天文学的数字です。網羅的チェックは不可能です。作句のモラル的ルールに、類句・類想句が発見された場合、後に発表した句を
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2018年7月4日
④ 取り下げるという、所謂、マナールールが有ります。今回は、それに該当するのでは無いかと考えます。早速、番組スタッフに連絡・相談し、どう対応するか協議させて頂きたいと思います。しかし、それにしても驚きました。ご指摘頂いた方に心より感謝を申し
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2018年7月4日
⑤ 上げたいと思います。そして、宮日新聞に掲載された俳句の作者には、大変ご迷惑をお掛けしたのでは無いかと思います。全く承知していなかったとは言え、結果的に類似句になってしまったのは私の至らなさ・責任だと思います。大変申し訳有りませんでした。
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2018年7月4日
私からすると上記の東国原氏の主張は承服しがたいものがあります。
現在、1日でどれくらいの数の俳句が世に出るかは正直誰にもわかりません。
新聞や雑誌などの数を考えて1日平均1000句程度なのかと想定してみましたが、『第二十九回伊藤園おーいお茶新俳句大賞』の募集数が195万4223句であったことを考えれば、もっと多いのかもしれません。(当然、募集された全ての俳句が公表されるわけではないが)
更に現在はインターネットによりあらゆる情報が溢れ出ているので、想定を遥かに上回る量の俳句が世に出ている可能性もありますが、今回東国原氏の俳句と類似性が認められた俳句は、新聞(地方紙)というある程度大きなメディアに掲載されたものなので、観る人の数が少ない個人ブログは世に出る俳句の対象外と考えて問題ないでしょう。
いずれにせよ社会に出てくる俳句の数はわかりようもないので、1日1万の俳句が社会に出るとして、それが100年間続いたと仮定します。
そうすると、『10000句×365日×100年』これに閏年25回分も含めると、過去に日本では
3億6525万句
の俳句が誕生したこととなります。
さて皆さんにお聞きしたいのですが、3億6525万って天文学的な数字でしょうか?
今日日、宝くじでもこれ以上の当選金が出る時代で、私は3億6525万という数字が天文学的な数字だとは到底思えません。
一方、俳句の可能性についても考えてみます。
今回、東国原氏の俳句と宮崎日日新聞に掲載された俳句は、下五に使われた3文字が完全に一致していました。
↓完全一致していた下五
顔に×
引用:宮崎日日新聞平成29年6月26日号
この一致率について簡単に考えてみます。
俳句に使われる日本語は、一般的に
・常用漢字
・ひらがな
・カタカナ
・濁音(ひらがな/カタカナ)
・半濁音(ひらがな/カタカナ)
更に俳句で1文字として扱われる『しゃ』や『ひょ』などの拗音や、拗音に含まれない『っ』などの小さい仮名文字である捨て仮名などを合わせると、なんだかんだで
2367文字
になります。
この2367文字を“たった3文字”ランダムに組み合わせるだけで
132億6156万4863通り
になるのです。
当然俳句は文字をランダムに並べるだけのものではありませんが、しかし実際の俳句の文字数はもっと多いわけですし、今回の俳句は上記したように『×』などという記号も使われています。
その点も踏まえれば、俳句ではあえて旧仮名や常用漢字以外の漢字を使うこともあり、こういった可能性まで考えれば生まれる俳句は正に天文学的な可能性があるわけです。
その天文学的な俳句の可能性と比べれば、過去に生まれた俳句の数など塵のように小さいものです。
数字に対して多少の興味を持つ人にとっては、今回東国原氏が主張していることはあまりにも幼稚と言わざるを得ません。
しかも今回の俳句は、たった1年前に自身が知事を務めたこともある宮崎県の地方紙に掲載された俳句です。
このような状況下で該当の俳句を全く知らなかったと主張することは、犯罪捜査における被告人が、状況証拠も揃いDNA鑑定も一致しているのに、それを偶然の一致だと主張するに等しいレベルの話です。
例えば、オウム真理教が地下鉄サリン事件について、地下鉄でサリンを撒いたことは認めるが、人が死んだのは別の人間が撒いたサリンが原因だと主張したら、何をバカなことを言っているのだろうと誰しもが思うことでしょう。
しかし確率で考えれば、別のテロ組織が同日にサリンを撒いた可能性は0ではありません。
東国原氏が主張する“偶然の一致”はこういった類の確率なのです。
現在、東国原氏の主な仕事は情報番組やワイドショーなどのテレビコメンテーターのようですが、こんな主張をする人に情報番組やワイドショーなどのテレビコメンテーターが本当に務まるのでしょうか?
もし務まると言うのなら、それは情報番組やワイドショーなどのコメンテーターは誰でも良いという意味であり、強いてはこの手のTV番組が地に落ちることを意味していると思います。
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コメント
こんなの確率を考えたら99.9999999999999%以上パクってるでしょ。
にもかかわらず、未だに東国原氏がワイドショー番組などで真っ当らしいこと言ってるのが信じられません。
こないだなんて吉澤ひとみの交通事故に関して『自分は罪を認められるようになるのに40年かかった』なんてことを、いけしゃあしゃあと言っていましたよ。
こんな人をコメンテーターに使っている番組なんて、誰が何を言っても信用できませんね。