日本女子スポーツ界における『黄金世代』について

スポーツ
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以前に女子カーリングにおける黄金世代(藤澤世代)についての記事を書きましたが、その他の女子スポーツにも黄金世代と呼べるような有望選手の固まった世代があるようです。

このような黄金世代が形成される第一歩は、何らかのきっかけで特定のスポーツをする人が増えることにから始まります。
そのきっかけの多くは、上の世代に大きな注目を集めた選手が誕生したことにあり、おおよそ一回り(12歳程度)上の世代に注目選手がいると黄金世代が形成されやすくなります。
注目の集まったスポーツを始める子供が同時多発的に発生することにより、子供の頃からライバル関係となるケースが増え、その子供が切磋琢磨してお互いを高めていくことで、黄金世代と呼ばれるような固まった世代に有望な選手が集まるという現象が起こるのでしょう。
そういったスポーツにおける黄金世代の例(女子限定)と、その黄金世代が国際的にどのような結果を残してきたのかを以下にまとめたいと思います。

女子カーリングにおける黄金世代

平昌オリンピックで銀メダルを獲得したロコ・ソラーレ(LS北見)は、チームの代表である本橋麻里選手と、吉田知那美選手の妹である吉田夕梨花選手以外の3人(藤澤五月選手、吉田知那美選手、鈴木夕湖選手)が同学年(1991年度生まれ)となっています。
更に国内におけるロコ・ソラーレのライバルチームである『北海道銀行フォルティウス』の小野寺佳歩選手、吉村紗也香選手、『チーム富士急』の石垣真央選手も同学年であり、この世代が黄金世代と呼べる状況です。
このカーリング女子の黄金世代は、藤澤五月選手を除き全員同じ中学校の同級生という極めて特異な存在で、カーリングという競技の地域性を如実に表しています。(藤澤五月選手は常呂町を吸収合併した北見市出身)

影響を与えたであろう選手

彼女たちに影響を与えた選手として第一に挙がるのは、2002年のソルトレイクオリンピックに出場し映画化もされた『シムソンズ』の面々で、主に1978年度生まれの選手で結成された全員常呂町出身者のチームでした。
その後、2006年のトリノオリンピックに出場した本橋麻里選手(1986年度生まれ)がマリリンブームを巻き起こし、カーリングが日本全国で大きな注目を集めた影響も受けているものと思われます。
ちなみに、本橋麻里選手も常呂町出身のカーリング選手であることは説明するまでもないでしょう。

国際大会での主な成績

2016年世界選手権2位
2018年平昌オリンピック3位

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女子ゴルフにおける黄金世代

女子ゴルフでは、2019年に日本人として42年振りにLPGAのメジャー大会『全英女子オープ』ンを制した渋野日向子選手と同学年(1998年度生まれ)の選手が黄金世代として知られています。
2021年にLPGAツアーのメジャー大会である全米女子オープンにてフィリピン人ハーフの笹生優花とプレーオフを演じた畑岡奈紗選手、国内ツアー5勝を誇る勝みなみ選手、同4勝の小祝さくら選手、同3勝の原英莉花選手などが渋野日向子選手と同学年で、その他にも国内の大会で優勝している同学年の女子ゴルフ選手が存在しています。

影響を受けたであろう選手

彼女たちがもっとも影響を受けたであろう選手は海外を拠点に活躍した宮里藍さんで、また宮里藍選手と同学年(1985年度生まれ)でライバル的な存在として活躍した横峯さくら選手からも大きな影響を受けていると思われます。
この2人が10代で活躍を初めた当時はメディアでよく女子ゴルフが取り上げられ一種の女子ゴルフブームが起こっいたため、上記した人たち(あるいはその親御さんたち)が女子プロゴルファーを目指したことにも納得ができます。

国際大会での主な成績

2019年全英女子オープン優勝(渋野日向子)
2021年全米女子オープン2位(畑岡奈紗)

※ゴルフは個人スポーツで代表チームにおける国際的な大会が乏しいため、この世代が世界の女子ゴルフ界でどれほど際立っているのかはハッキリわかりません。

女子卓球における黄金世代

卓球界の黄金世代は、『みうみまペア』としてワールドツアーのドイツオープンを中学1年生で制した平野美宇選手と伊藤美誠選手に加え、この2人も出場した2019年の全日本卓球選手権大会女子シングルスで優勝した同学年(2000年度生まれ)の早田ひな選手らの世代となります。
この世代の1歳年下には加藤美優選手という有望株もおり、激しいライバル関係を構築しているようです。
伊藤美誠選手はリオオリンピックの女子団体で銅メダルを獲得し、オリンピック卓球における最年少メダル獲得記録を保持する一方で、平野美宇選手は全日本選手権、ワールドカップ、アジア選手権における女子シングルスの最年少優勝記録を保持するなど、両名とも日本卓球界において過去に例がないほどの実績を誇っています。
早田ひな選手も十分すぎるほどの実績を誇りますが、この2人が凄すぎてどうしても日陰的な存在になっているように感じます。

ITTFにおける女子シングルス世界ランキングの最高順位
伊藤美誠:2位
平野美宇:5位
早田ひな:11位
加藤美優:13位

全日本選手権の女子シングルスの優勝者
2016年:平野美宇
2017年:伊藤美誠
2018年:伊藤美誠
2019年:早田ひな

影響を与えたであろう選手

この世代が影響を受けた選手として第1に挙げられるのが、日本の卓球界発展に大きく寄与した福原愛さん(1988年度生まれ)です。
福原愛さんが卓球少女の愛ちゃんとして子供の頃からテレビに度々出演していたことは、誰もが知るところでしょう。
こういった人は大人になると大抵は忘れ去られ『あの人は今』的な番組に出るのが定番なのですが、彼女の場合は見事なまでに日本卓球界のトップ選手にまで成長しました。
更に石川佳純選手(1992年度生まれ)も続いたことで日本の卓球界(特に女子卓球界)は大いに盛り上がり、実力の向上はもちろん世間に対する卓球のイメージをも変えることとなりました。

国際大会での主な成績

2016年世界選手権女子団体2位(伊藤美誠)
2016年リオオリンピック女子団体3位(伊藤美誠)
2016年ワールドカップ女子シングルス優勝(平野美宇)
2017年世界選手権女子ダブルス3位(伊藤美誠、早田ひな)
2018年ワールドカップ女子団体2位(伊藤美誠、平野美宇、早田ひな)
2018年世界選手権女子団体2位(伊藤美誠、平野美宇、早田ひな)
2019年ワールドカップ女子団体2位(伊藤美誠、平野美宇)
2019年世界選手権女子ダブルス2位(伊藤美誠、早田ひな)
2020年ワールドカップ女子シングルス3位(伊藤美誠)
2021年東京オリンピック混合ダブルス優勝(伊藤美誠)

女子バレーボールにおける黄金世代

女子バレーボールにおける黄金世代は、プリンセス・メグ、パワフル・カナと呼ばれた栗原恵さんと大山加奈さんの『メグカナコンビ』と、現在も現役選手として東京オリンピックにも出場している荒木絵里香選手の俗に言う『メグカナ世代』(1984年度生まれ)です。
大山加奈さんと荒木絵里香さんは同じ学校(成徳学園)の同級生で、全日本バレーボール高等学校選手権大会(春高バレー)では高校2年生のときに栗原恵さんを要する三田尻女子高校と決勝戦で戦い勝利しました。

影響を与えたであろう選手

上記してきた競技と違い、この世代には明確に影響を与えたようなバレーボール選手はいないように感じます。
1980年代後半から1990年代にかけて日本女子バレーボールのエースとして活躍した大林素子さん(1967年度生まれ)は主要な国際大会のメダルに手が届かなかったですし、その後の日本女子バレーバール界には、しばらく明確にエースと呼べるような選手は現れませんでした。(1976年生まれの中野由紀という選手が期待されたが早い段階で引退している)
ただ、この時期はフジテレビを中心としてバレーボール大会の放送が増え日本代表の成績以上にバレーボールが注目スポーツになっており、バレーボール選手を目指す人(特に女性)はそれなりに多かったのかもしれません。

国際大会での主な成績

2010年世界選手権3位(32年ぶりのメダル)
2012年ロンドンオリンピック3位(28年ぶりのメダル)
※大山加奈さんは腰の怪我のため2010年で引退しており上記大会には出場していない
※栗原恵さんもロンドンオリンピックには出場していない

この世代が国際大会で好成績を残した理由には、バレーボールならではの特殊な事情があるようです。
メグカナ世代の2歳下には、後に日本の大エースとなる木村沙織さんがいます。
フジテレビのバレーボール中継で栗原恵さんと大山加奈さんが新世代のエースとして大々的に取り上げられた翌年に、スーパー高校生として木村沙織さんが登場したとき、バレーボールに深い造詣を持たない私は一瞬何が起こっているのか理解できませんでした。
日本の女子バレーボール界において、185cmを超えるような高身長を誇るエース候補は10年に1人現れるかどうかだと思っていたので、185cmを超えるような若い選手が立て続けに3人も現れたときは、驚きを通り越して理解不能になってしまったのです。(;^_^A
更にメグカナ世代の3つ年上となる大友愛さん、4つ年下の狩野舞子さんも高身長で、栗原恵さん、大山加奈さん、荒木絵里香選手を含め、なんと全員が大林素子さん(182cm)よりも背が高いのです。
※大友愛184cm、栗原恵187cm、大山加奈187cm、荒木絵里香186cm、木村沙織185cm、狩野舞子185cm

どのスポーツも背が高い人が有利な傾向はありますが、バレーボールはそれが際立っているスポーツであることは説明するまでもありません。
ですのでバレーボールは、近い世代で背の高い人が集中して生まれバレーボール選手になったという偶発的な要素が代表チームの強さに左右されやすくなり、この世代はその傾向が極めて良い方向に現れているわけです。
そういった影響から、185cmの木村沙織さんや狩野舞子さんを代表チームのセッターとして使おうとする動きすらあったほどです。Σ(゚Д゚)
そして上記した選手よりも更に背が高く、メグカナ世代よりも3つ年下だった横山友美佳さん(189cm)の存在も忘れられません。

横山友美佳は学年的に木村沙織と同い年だが(木村沙織は1986年8月19日生まれ、横山友美佳は1987年3月2日生まれ)、小学生の時に中国から日本へ移り住んだ関係からか木村沙織よりも1つ下の学年となっている。
この横山友美佳さんは21歳の若さで癌で亡くなり、世界の舞台で活躍することは叶いませんでした。(高校2年生のときに1度日本代表に選ばれている)
しかし上記した世代の選手たちは、彼女の想いを背負っていると言えます。
特に子供の頃から行動を共にし高校も一緒だった木村沙織さんは、そういった想いが人一倍強かったでしょうから、日本のエースとして世界選手権とオリンピックのメダルを獲得したことにも少なからず影響を与えているものと思われます。
いずれにせよ、メグカナ世代を中心としてこの時期の日本女子バレーボール界は異常なまでに背の高い有望選手が生まれ、国際大会でも良い結果を残したようです。

以上、日本女子スポーツ界における黄金世代のまとめでした。

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