かつて、日本の芸能はアジア地域に大きな影響を与えていました。
『山口百恵』の歌が中国を中心としたアジアの国々で人気となったり、ドラマ『おしん』がアジア全体で高い視聴率を獲得したりと、日本の芸能分野がアジアで大きなヒットを生むことはよくありました。
2つの例はだいぶ古い話でしたが、その後も日本の芸能がアジアの芸能文化を引っ張る存在だったことは間違いありません。
しかし現在の日本はその地位を失いつつあり、代わりに韓国がその地位の多くを占めるようになってきました。
現在の韓国の芸能文化は、アジア圏へ強い影響を与えるようになっていますし、『防弾少年団』というグループに至っては、エンターテインメントの本場であるアメリカの主要なヒットチャート(ビルボードのアルバムチャート)で2作連続1位を獲得するまでに至っています。
今回は、こういった日本の芸能の衰退と、韓国の芸能の繁栄について考えていきたいと思います。
また、歌詞(言語)を理解していなくとも耳に残りやすい楽曲や、わかりやすい特徴のあるダンスパフォーマンス(KARA→腰振りダンス、少女時代→美脚ダンス、T-ARA→猫ダンス)など、K-POPアイドルは国を問わず人気の出やすい活動を行っていました。
その間、日本のアイドル業界は何をしていたかというと、未完成型アイドルというAKB48が大成功し、そのライバルとして乃木坂46が誕生します。
これらの日本で人気を得たアイドルは、数十人から場合によっては100人を超える規模で、メンバーが厳選されているとは言い難く、構造的にレベルが高いとは言い切れないメンバー構成でした。
また、人数が多すぎるため技術的に高度な育成も行えず、パフォーマンスを観せることよりも握手会というファンとの触れ合いがお金を稼ぐ中心となっていくのです。
PerfumeやE-girlsなどは、それなりに高いパフォーマンス能力がありましたが、日本ではAKB48や乃木坂46のほうが人気が高いのが現実です。
男性アイドルのほうは、いつまで経ってもジャニーズ事務所が幅を利かせています。
ジャニーズアイドルも上記した女性アイドルと同様に日本独特な価値観が強いアイドルで、背が小さい人が多かったり、スキルも決して高いとは言えなかったりで、SMAPの歌のレベルが低かったことなどは日本中の誰もが知っている事実です。
近年において、日本のアイドル・アーティストで話題になったのは『きゃりーぱみゅぱみゅ』と『ピコ太郎』でしょうが、この2人は独自性が極めて高いことは言うまでもありません。
これでは韓国に負けて当然です。
一方で、日本は西洋などの価値観に迎合せずに独自性をもったアイドル文化を確立したとも言えます。
また、日本は国内の芸能市場が大きいため海外に出ていく必要がないと考える人もいることでしょう。
このようなことを背景に、日本のアイドルは韓国のアイドルになんか負けていないと主張する人もいるようですが、本当にそうでしょうか?
では、ここでK-POPブームを巻き起こした『少女時代』のメンバー(元メンバーむ含む)のInstagramフォロワー数を見ていきたいと思います。
テヨン:1,360万
サニー:460万
ティファニー:720万
ヒョヨン:500万
ユリ:520万
スヨン:510万
ユナ:990万
ソヒョン:550万
ジェシカ:850万
以上のように少女時代は全メンバーがとても多いInstagramのフォロワー数を獲得しています。
ちなみに、日本のInstagramのフォロワー数ランキングは、
1位:渡辺直美、880万
2位:ローラ:550万
3位:木下優樹菜:510万
4位:佐々木希:380万
5位:戸田恵梨香:320万
であり、以上の数字を見れば、少女時代メンバーのInstagramのフォロワー数が極めて多いことがわかります。
日本の人口が1億2680万人、韓国の人口が5106万人であることを加味すれば、少女時代メンバーのフォロワー数はとてつもない数字であり、これが意味することは、少女時代メンバーのInstagramは国外(韓国外)からのフォロワーがとてつもなく多いということです。
つまり、少女時代は海外戦略に大きく成功しているのです。
日本のアイドルが独自性をもっていることや、国内市場が大きいために海外展開する必要がなかったことなどを考慮しても、少女時代メンバーと日本のトップアイドルたちのSNSフォロワー数は差は離れすぎており、負けを認めざるを得ないでしょう。
現在、アメリカのトランプ大統領に代表される自国第一主義が世界で旋風を巻き起こしていますが、芸能という分野は、人間の本能的にグローバル化を止めることが不可能な分野であると言えます。
にもかかわらず、日本では海外にはなかなか理解できない強い独自性をもったアイドル文化に突き進んでいるように感じるのです。
韓国のように極端に西洋的価値観に迎合するのも問題ですが、日本の芸能分野には改善の余地は大いにあるのではないでしょうか?
もちろん、AKB48のような育成型のアイドルも海外展開しており、それなりに人気や知名度があることも承知しています。
しかし、日本の独自文化のもと生まれたアイドルが海外で理解されるまでに相当の時間がかかり、人気が出る前に潰れてしまうケースもあるようです。
実際にAKB48の海外グループは、成功例より失敗例のほうが多いように感じますし、上記したInstagramのフォロワー数を見れば、AKB48メンバーが海外で高い知名度を得ていないことは明らかです。(現状、AKB48の海外展開で成功したのはインドネシアのJKT48とタイのBNK48のみのようである)
芸能という分野は、その国や国民、あるいは企業のイメージにまで大きく影響するものです。
日本の芸能が国外で影響力が低下したということは、日本という国の国際的な影響力が低下したと言わざるを得ないのかもしれません。
動画サイトやSNSなどの発展により、グローバル化がますます進むエンターテインメントの世界について、日本の芸能界はもう少し世界に目を向けて頑張ってもらいたいと思います。
同じ言葉を繰り返す歌詞の採用
KARAの日本でのデビュー曲である『ミスター』は、歌詞の大半が『ミスター』と『ラララ』で構成されています。
自国以外の国で歌を流行らすということは言語の壁を超える必要があるので、詞の内容で歌を聴かせるのではなく、詞の意味は分からなくともとにかく耳に残りやすい楽曲にする必要があります。
では、日本の流行った以下のK-POPをご覧ください。
KARAの『ジャンピン』(オリコン最高5位)は、“ジャンピン”の繰り返し
少女時代の『Gee』(オリコン最高2位)、“Gee”の繰り返し
RAINBOWの『A』(オリコン最高3位)は、“A”の繰り返し
T-ARAの『Bo Peep Bo Peep』(オリコン最高1位)は、“Bo Peep”の繰り返し
と、日本で流行ったK-POPの楽曲には、必ずと言っていいほど歌詞の中に1つワードの過度な繰り返しが存在しています。
近年流行ったTWICEの『TT』も歌詞の中でも“T”を繰り返し使っています。
このように過剰と思うくらい同じワードを繰り返し使うことで、言語を超えた楽曲の流行は起こりやすくなると言えるでしょう。
名前が付くような特徴のあるダンスの採用
昔と違って、現在はインターネットの発展により世界中のアーティストのMV映像などが簡単に見れるようになりました。
そのため海外展開するような楽曲は、耳ではなく目でも楽しませる必要があります。
その際に必要になるのがアイドル(アーティスト)たちのダンスパフォーマンスです。
では、再び日本の流行ったK-POPをご覧ください。
KARAの『ミスター』(オリコン最高5位)は、腰振りダンス
少女時代の『GENIE』(オリコン最高4位)、美脚ダンス
RAINBOWの『A』(オリコン最高3位)は、へそ見せダンス
T-ARAの『Bo Peep Bo Peep』(オリコン最高1位)は、猫ダンス
と、日本で流行ったK-POPの楽曲の多くに、極めて特徴的なダンスがあることがわかります。
受け入れ態勢が余り整っていないような海外で話題になるには、こういったわかりやすい特徴が必要になるようです。
セクシーさの追及
レディー・ガガに代表されるように、国をまたいで人気の出るアーティスト(女性アーティスト)に共通しているテーマの1つにセクシーというものがあります。
日本で流行ったK-POPアイドルも、日本で際立った人気だったKARAを除き、かなりセクシーさが高くなっていました。
これは日本のアイドルにかなり欠けている部分ですが、海外で成功したいのなら避けては通れない道かと思います。
以上、この3点を高レベルで実施すれば、日本のアイドルも必ずや海外で人気が出るに違いありません!!
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