3月15日から続けられていた将棋電王戦が、1勝4敗で人間側が敗北しました。
今回はこのことについて少し書かせていただきます。
まず、現在トップレベルの将棋ソフトは、ハッキリ言ってプロ棋士よりも強いでしょう。
これは残念ながら認めざるを得ません。
今回は前回に比べ、対局したプロ棋士側も強豪棋士でした。
先鋒の菅井竜也五段は、150戦以上している棋士の中で現在最高勝率を誇る棋士です。
次鋒の佐藤紳哉六段は、過去に新人王や年間の最高勝率を獲得したことがある強豪です。
中堅の豊島将之七段は、次の世代を担う若手の筆頭株ともくされていて既にトップ棋士と言えます。
副将の森下卓九段は、ベテランではあるもののタイトル挑戦6回の強豪棋士です。
大将の屋敷伸之九段は、タイトル歴が3期もあり先日まで10人しかいない順位戦A級棋士の一人でした。
このように対局棋士は十分強豪だったのですから、棋士のレベルを負けの理由にすることはできません。
尚且つ今回のルールは、コンピューターのクラスタ技術(パソコンを数台繋げて計算能力を高める)を認めず1台のパソコンだけでの対局、更に対局者には半年近く前に実際に対局するソフトとパソコンの貸し出しがあり、事前研究が十分可能でした。
これだけ人間側に有利なルールでありながら、棋士は完全に敗北してしまったのです。
このことは、もはや『将棋ソフト>プロ棋士』という格付けが済んでしまったことを表しており、次回の電王戦の開催自体が危ぶまれています。
かと言って、ルールを人間側に有利なものに替えて続けることも違うような気がします。
そもそも対局ソフトを半年前に貸し出すというルールは、電王戦が将棋の実力で勝負するゲームではなく、プロ棋士側が貸し出されたソフトの弱点を見つけられるか見つけられないかのゲームに変わってしまったのではないかと個人的に思えてなりません。
とっても、電王戦という企画・イベントがこのまま終わってしまうのは、将棋界にとっては大きな痛手です。
電王戦から将棋ファンになったという人は思いのほか多く、一般社会における注目度は、将棋界の最高峰である名人戦や竜王戦以上であることは間違いありません。
しかし、そんなことを言っても『将棋ソフト>プロ棋士』という格付けは済んでいるのですから、これ以上開催する意味はないと思う人も多いことでしょう。
もし電王戦を今後も続けるのなら、大幅なルール変更が必要となるでしょうが、かと言ってプロ棋士側にハンデを与えるようなルールではつまらないですし、プロのメンツにも関わります。
ということで、私は今後の電王戦の在り方を独自に考えてみました。
まず、電王戦の面白さがどこにあるのか?という原点にを考えると、それはまず間違いなく『人類vsコンピューター』という対立軸にあると思います。
ですので、私はこの原点にに立ち返り、
“全プロ棋士vs最強のコンピューターソフトとの5番勝負”
を提案したいと思います。
まず、将棋ソフトはコンピューター将棋大会トップ5のソフトを合議制にして融合し、コンピューターもパソコンを100台以上をクラスタするなどして、まさに最強のコンピューター将棋を作り上げます。
そして棋士側は、このモンスタークラスのコンピューター将棋を谷川会長を筆頭に全棋士で相手するのです。
棋士側の参加は、プロ棋士であるなら誰でも可能とし、参加するしないは棋士の自由とします。
棋士の中で、まとめ役をとなる人物を数人決め、それ以外の検討する棋士は大きな広間などで盤駒を並べて検討し、まとめ役となる者が棋士たちの意見を集約し指し手を決めます。
もちろん検討会場への通信機器や情報機器の持ち込みは厳禁です。
これなら、棋士側の対局日程の諸問題もクリアできるし、対局棋士ばかりが責任と負担が負うことも避けられます。
もちろんソフトの貸出などもしないので、ソフトの弱点を見つけるゲームではなく、将棋本来の実力で勝負するゲームに立ち戻ることもできます。
イベントとしては、対局の様子とプロ棋士の検討の様子を中継すれば十分楽しめますし、万が一、検討会場に羽生さんや森内さんなどの強豪棋士が登場したら、見ている将棋ファンはめちゃくちゃ盛り上がるに違いありません。
問題は解説を誰がするかですが、これは2人のプロ棋士にやむを得ず検討チームから外れてもらいやってもらうしかないでしょう。
このようなイベントの方が、開発者の方々もソフトを半年前に貸し出しして以降何もできない今のルールより面白いでしょうし、プログラマー及び技術者としても開発のしがいがあると思います。
予算の関係などはわかりませんが、“人類vsコンピューター”という“頭脳と頭脳”の戦いという点で『全プロ棋士vs最強のコンピューターソフト』の対局は、とても魅力のあるコンテンツかと思います。
このことは、今後の電王戦の在り方として、主催者であるドワンゴの方に進言してみたいと思います。
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