シリーズ日本の第二次世界大戦② アメリカの参戦とハル・ノート

歴史
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前回も書いた通り、日本は満州事変以降、中国(中華民国)での戦火を拡大し国際的に孤立していきます。

1931年:満州事変勃発
1933年:国際連盟脱退
1937年:日中戦争勃発
1940年:日独伊三国同盟締結

このように、1931年の満州事変以降、日本の行動は国際社会の流れから逸脱していき、当然のように他国の間に軋轢が生じていきます。
特に軋轢が大きかったのがアメリカとの関係です。

日本とアメリカは太平洋を挟んで対峙しており、もし日本が東南アジアにまで進出すれば、アメリカとの太平洋の覇権争いが激化するのは必須となります。
そのため当時のアメリカは、日本に対して様々な経済制裁を行っていました。
このような問題を解決する目的で実施されたのが日米交渉で、1941年の4月から11月末日までこの交渉は続けられます。
当時の日本は石油のほとんどアメリカからの輸入に頼っており、また当時のアメリカは車を大量生産をしていたのでクズ鉄が大量にあり、これも日本が多く輸入していました。
このように資源の多くをアメリカからの輸入に依存していた日本は、アメリカと戦争をする訳にはいかなかったのです。
そもそも中国とアメリカと同時に戦争をすればどうなるかなど火を見るより明らかで、この日米交渉が戦争回避のための交渉だったことは明らかです。

日本は日中戦争勃発以降、軍事費が国家予算の70%を超え国民の生活が窮していました。
一方、当時のアメリカは5人に1人が車を持ち、週休2日制が導入されるなど国民の生活は豊かだったのです。
ニューヨークなどには1930年代から300mを超えるような超高層ビルが建ち並んでいたほどで、日米の国力の差は誰の目から見ても明らかでした。
このように国力の差から、日本の政府首脳はもちろん、精神論の中にあった軍の上層部たちですら、日本が“本気で”アメリカに戦争で勝てるなどと思う人は皆無に等しかったようです。
そのため日米交渉で日本側は妥協案を何度も模索するのですが、当時の日本は政治と軍部における法体系(統帥権など)に問題があったため、この妥協案は軍部によりなし崩しにされ、結果、交渉は決裂してしまいます。

しかし、この交渉は日本側だけに問題があったわけではありません。

日米交渉におけるアメリカ側の交渉責任者だったコーデル・ハル国務長官は、1941年11月26日に今までの交渉経過を完全に無視し、日本が絶対に飲めないような条件案を提示します。

これが俗に言う『ハル・ノート』です。

アメリカは、そもそも日本との戦争を回避するための交渉をしていませんでした。(当初はしていたかもしれないが)
アメリカがしていた交渉は、戦争に参加するために交渉だったのです。(実際にハル・ノートの提示から2週間足らずで太平洋戦争は勃発する)
第二次世界大戦後の世界の覇権を握るには、アメリカも第二次世界大戦に参戦する必要があると当時のアメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトは感じていたようで、そのためアメリカは参戦の口実として日本軍からの攻撃を望んでおり、それがハル・ノートという明らかに日本が飲めない条件の提示に繋がります。

勝てるわけがない戦争に突き進んだ日本。
自国民が攻撃にさらされることを望んだアメリカ。

どちらも普通ではないし、自国民の犠牲を望む国家の責任者たちなど理解もできません。

つまり、太平洋戦争とは悪と悪の戦争なのです。

太平洋戦争後の日本は、軍事費が国家予算の80%をも超え、国民は食べるのも困り、更には学徒出陣、そして最終的に原爆攻撃を含む空襲で多くの民間人が命を落とす事態にまで進んでしまいます。
一方アメリカも、本来必要のなかった多数の犠牲者を生むこととなります。
以上のように、太平洋戦争は日本が悪くていアメリカが正しいなどという話ではありません。
太平洋戦争は悪いもの同士の戦争、あえて言うのならクズ同士の戦争です。

ただ戦争の結果として、アメリカが勝ち日本が負けたという事実がそこにあるだけなのです。

日本の戦後教育は、戦争を行ったという反省の念から自虐史観と言われるほど日本が悪かったことが強調されています。
逆に近年多い歴史修正主義者は、当時の日本は悪くなかったという主張を繰り返しています。
私から言わしてもらえば、これはどちらも間違いであり、答えは日本もアメリカも極めて悪いのです。

以上、日本もアメリカもこのような歴史を繰り返さないことを願うばかりです。

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