現在、アメリカと中国が貿易上の諸問題についてお互いが関税を課すなどの行為を実施し合い、米中貿易戦争と言われるまでの事態に発展しています。
このアメリカと中国の貿易摩擦を、1980年代に起こった日米貿易摩擦と比較している人が多方面で見受けられますが、これは完全な間違いだと指摘したいと思います。
1980年代後半の日本はバブル景気で、GDPがアメリカの70%程度にまで達しアメリカのGDPを追い抜くことも視野に入っている状況でした。
このような状況で、ソニーがアメリカの得意産業である映画の会社(コロンビア映画)を買収、三菱地所がニューヨークを象徴するビルであるロックフェラー・センターを買収と、日本の企業はアメリカ国民の反感を買う行動を行い、日本とアメリカは経済的に様々な摩擦を生んでいきます。
しかし日本とアメリカは同盟国であり、それどころか日本の防衛の大部分をアメリカ軍が担っているのです。
これが意味するところは、アメリカは日本が本来負わなければならない防衛費を肩代わりしているということです。
実際に日本の防衛費はGDP比の1%ですが、アメリカは冷戦末期の1988年で防衛費がGDP比の5.8%にも及んでいました。
つまり日本は、本来自国の防衛費に使わなければいけない多額のお金を経済政策に回すことが可能なのです。
その結果として日本の経済がアメリカを追い抜き日本が経済的にアメリカを支配するようになったら、当然アメリカ人は納得できないでしょう。
実際に日本の経済が失速したのはアメリカによる圧力ではなかったものの、経済的に日本がアメリカを追い抜くようなことになれば、アメリカはあらゆる手を使い日本を潰しにかかると思われますし、その行動に対して日本は文句を言える立場ではありません。
一方、現在起こっている米中貿易摩擦は1980年代の日米貿易摩擦とは状況がかなり違います。
まず、アメリカと中国に同盟関係はなく、政治イデオロギー的には敵対しているに近い関係です。
もちろん中国の防衛をアメリカ軍が担っているようなこともないですし、今後この二国は軍事的にもライバル関係になりかねない関係と言えます。
更にアメリカと中国は民族や宗教的な部分でも価値観を共有する部分は少なく、現在の米中貿易摩擦は、米ソ冷戦以上の危険を孕んでいると考えた方がいいでしょう。
こんな状況下の米中貿易摩擦を1980年代の日米貿易摩擦と比較しているのは、呑気すぎる発想と指摘せざるを得ません。
また、現在のアメリカ・中国は、指導者的にも危険な匂いがします。
今まで2期までだった国家主席と副主席の任期を撤廃し、独裁体制を可能にした中国の習近平国家主席と、アメリカ合衆国史上もっともクセのある大統領であるドナルド・トランプ大統領は、何をしでかすか予測ができません。
もしトランプ大統領がもう1期大統領を務めるようになれば、中国との関係悪化は更に深刻化する恐れがあり、本当に何が起こってしまう可能性も否定はできないと思われます。
以上、米中貿易摩擦は予想以上に危険を秘めているので、関係国は問題の解決に向け最大限の努力をしていただきたいと思います。
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