近年、中国が経済的に台頭してきた影響から、台湾と国交のあった国が断交し、代わりに中国と国交を結ぶケースが増えているようです。
そこで今回は、台湾(中華民国)は国なのか?
という疑問について考えていきたいと思います。
そもそも国とは何かという問題ですが、国家が国家と認められるには、いくつかの条件があります。
その条件に台湾が当てはまるのか以下で見ていきましょう。
領土の有無:〇
人民の有無:〇
独自の憲法:〇
独自の政府:〇
独自の軍隊:〇
通貨の発行:〇
パスポートの発行:〇
台湾は、人々が普通に暮らす領土を持ち、そしてその人々が築いた独自の憲法のもと、政府や軍隊が存在し、通貨やパスポートも自分たちの手で発行しています。
つまり、現在の台湾は国家体系を示すものが全て揃っている状態にあるのです。
この状態を見て、国でないと判断することは非常に難しいと思います。
にもかかわらず、なぜ台湾はいまだに明確に国として認められないのか?
それは他国からの承認がないためです。
現在のところ、台湾を承認している国は以下の17ヵ国しかありません。
ベリーズ
グアテマラ共和国
ハイチ共和国
ホンジュラス共和国
ニカラグア共和国
パラグアイ共和国
セントクリストファー・ネイビス連邦
セントルシア
セントビンセントおよびグレナディーン諸島
バチカン市国
スワジランド王国
キリバス共和国
マーシャル諸島共和国
ナウル共和国
パラオ共和国
ソロモン諸島
ツバル
これら17ヵ国は、国土も小さく経済力も乏しい国ばかりです。
更に台湾とは距離も離れ、現実問題的に国交を結んでいる効果が大きとは思えません。
そもそも承認国数が17というのは、日本が承認していないパレスチナより遥かに少ない数となっており、世界的に見れば国家でないと判断されてしまいます。
なぜ国家の体系が十分にあるのに他国から承認されないという不可思議な現象が起きるのかというと、中国も台湾も1つの中国にこだわり、自分たちが正当な中国であると主張しているため、他国はどちらか一方の中国しか承認できないのです。
現在の台湾は2つの中国を承認し、中国を認める代わりに台湾も認めてほしいという考えも多くなってきていますが、中国のほうは今でも1つの中国にこだわり続けているため、他国は大国である中国に遠慮して台湾を承認できずにいます。
このようなことが原因で、台湾は国連にも加入できていません。
同じように国が割れた韓国と北朝鮮は両国とも国連に加入できて(共に1991年加入)、台湾が加入できていない理屈はないはずなのですが、結局のところ常任理事国として中国が拒否権を持っているため台湾の国連加入は事実上不可能となっています。
しかし上記した通り、台湾は誰がどう見ても独自の国家体系を築いています。
台湾が国家でないとするなら、なぜ独自の通貨があり、なぜ独自でパスポートを発行しているのかを、中国や台湾を承認していない国々は、しっかりと説明しなければなりません。
台湾が国でないなら何なのかという極めて単純な疑問に、国連や国際社会は明確に説明する義務があるでしょう。
それができないのなら、台湾を国家として認めるしかないと私は思います。
それが現在まで実現できていないことは、所詮、国連という組織も国際社会も矛盾だらけということです。
特に日本を含んだ民主主義・自由経済の国々は、第二次世界大戦後の冷戦時代、同じ価値観のもとに歩んできた台湾に対し、もっと優しくあるべきなのではないでしょうか?
現在、日本政府は北朝鮮を国家として認めていませんが、国内のメディアはもちろん、国会議員ですら実質的に北朝鮮を国家として扱います。
一方、台湾の扱いは中途半端のままで、同じ国家として認めていない国の中でも、台湾の扱いは不当な感が否めません。
更に私は、中国側の視点で考えても、台湾を国として認めたほうが得だと思っています。
戦争などの強硬的な手段を除き、現実的に中国が台湾を統一することは不可能に近く、また統一したところで、民主主義を経験している台湾人を共産党の支配下に置くことは難しいと思われます。
結局のところ、万が一に中国が台湾を統一したとしても、香港やマカオのように一国二制度として統治するしかないわけで、それは共産党の一党独裁に対する不安分子が増えるだけの結果になるのです。
しかも台湾は、香港やマカオとは比べ物にならないほど領土も大きく人口も多いのですから、台湾を統一すれば中国における民主革命が現実味を帯びてくると思われます。
であるなら、台湾を国家として認め中国と分離したほうが、現在の中国の国家体制維持という観点においてもいいと思うわけです。
中国が台湾を認めたら、当然、他の国も一気に承認するわけで、この問題は完全に解決することでしょう。
以上、この問題は、1つの中国というこだわりを捨て台湾を認めることが、台湾にとっても中国にとっても他の国にとっても1番の解決策だと思います。
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