日本政府が韓国に対し、半導体製造にかかわる重大な化学製品の輸出優遇措置を解除して以降、この問題が日韓の間で大きく報道されています。
私は、この報道に非常に違和感を感じています。
その違和感とは、半導体に関する報道をするものも、その報道を見るものも、半導体が何なのか分かっているのかという疑問です。
半導体とは、読んで地の如く半分電気を通す物質で、その利用は多岐に渡ります。
しかし報道では、この半導体が一括りにされ、一般人もまるで理解しないまま議論を展開していることすら見受けられるのです。
例えば、アップルがインテルのスマートフォン向け通信半導体(モデムチップ)事業を1000億円規模で買収する交渉を進めているというニュースが先日報じられた際、『韓国の半導体メーカーを買収したの?』みたいなことを言う人が出てくるわけです。
半導体産業は韓国企業が強いという報道が度々されているので、無条件的に『半導体事業=韓国企業』と思ったのかもしれませんが、モデムチップの分野で韓国メーカーはほとんどシェアを獲得していません。
韓国メーカーが強いのは、パソコンなどの仕様で単にメモリと呼ばれるDRAMという半導体製品で、DRAMは韓国のサムスン電子とSKハイニックスの2社で70%を超えるシェアを獲得しています。
一方、パソコンなどといったデジタル機器の心臓部であるCPUは、アメリカメーカーが独占的なシェアを獲得しています。
USBメモリーやSDカードなどに使われるフラッシュメモリーでは、開発会社である東芝メモリがそれなりにシェアを獲得していて、デジタルカメラの映像素子であるイメージセンサーはソニーが世界1位のシェアです。
こういったものも全て半導体製品であり、半導体はとても多岐に渡るのです。
ですので半導体は一括りに語れるものではなく、半導体という言葉が一人歩きしている現在の報道に、技術畑出身だった自分にはとても違和感を感じるわけです。
ちなみに、半導体製品トータルでのシェアは韓国のサムスン電子がトップで(インテルとトップの座を争っている)、上記したDRAMでシェア1位、フラッシュメモリーでシェア1位、イメージセンサーでシェア2位とまんべんなく高いシェアを獲得しており、半導体及びサムスン電子は現在の韓国経済成長を象徴する存在となっています。
日本と韓国は様々な問題でも揉めていますが、日韓関係を考える際は、こういった工業的な部分もある程度理解をしておく必要があるかと思います。
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