一票の格差と都道府県の必要性

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全国各地で、前回の参議院選挙に違憲状態との判決が出ています。

違憲状態で選挙無効ではないという司法判断には大きな疑問が残りますが、今回はこの点ではなく、違憲状態をどうやって解決すべきかについて考えたいと思います。

そもそも、前々回の参議院選挙時には一票の格差が5倍もありました。
同じ国民の同じ投票行動に対し、その価値が5倍も差があればそれはもう民主主義とは言えないでしょう。
この問題を解決させるべく前回の参議院選挙では、神奈川県と大阪府の議席を2議席増やし、岐阜県と福島県の議席を2議席減らしました。(参議院は議員の半分ごとに選挙をするので、最小単位は1人区でも2議席となる)
その結果、一票の格差は4.77倍となりほんの僅か改善されました。
現在最も一票の価値が高いのは鳥取県で、最も低いのが北海道となります。
しかし5倍から4.77倍では、改善したとはとても言えないでしょう。

そしてもっとも問題なのは、1人区でなおかつ最も人口の少ない鳥取県が、一票の価値が1番高いことです。

どうしてこのことが問題かといいますと、1人区ではこれ以上議席を減らすことができないため、これ以上の改善が難しいのです。
選挙区分を他の県と一緒にするか、県によっては選挙を2回に1回にするぐらいしか対策は考えられませんが、衆議院では一票の格差が2.43倍でも違憲状態との判断が出されているのですから、このような小細工をしても根本的な解決にはならないでしょう。

もし根本的に解決したいのなら、今の都道府県の枠組みを変える以外にないと思います。

そもそも面積で44倍(最小は高知県、最大は北海道)、人口で22倍(最少は鳥取県、最多は東京都)もの差がある都道府県を同列に扱うこのとに無理があります。

現代の都道府県の枠組みが完成したのは明治22年のことですが、その時の人口を都道府県順に並べると、

1位 東京府 1790731
2位 新潟県 1713384
3位 兵庫県 1581525
4位 愛知県 1512420
5位 大阪府 1380768
6位 広島県 1342484
7位 福岡県 1275050
8位 千葉県 1215742
9位 長野県 1179234
10位 静岡県 1117127
11位 埼玉県 1109604
12位 岡山県 1084423
13位 熊本県 1084165
14位 茨城県 1058369
15位 鹿児島県 1036863
16位 福島県 994825
17位 三重県 943376
18位 愛媛県 942632
19位 岐阜県 941523
20位 山口県 938158
21位 京都府 924093
22位 神奈川県 799862
23位 長崎県 795461
24位 大分県 794050
25位 宮城県 790079
26位 山形県 778280
27位 群馬県 766687
28位 富山県 764196
29位 石川県 753871
30位 栃木県 744426
31位 秋田県 720871
32位 島根県 702301
33位 岩手県 690456
34位 滋賀県 682455
35位 徳島県 679046
36位 香川県 675237
37位 和歌山県 634494
38位 福井県 610550
39位 高知県 587428
40位 佐賀県 577175
41位 青森県 567002
42位 北海道庁  537953
43位 奈良県 508963
44位 山梨県 471480
45位 宮崎県 436067
46位 沖縄県 421769
47位  鳥取県 404321

となり、最も人口の多い東京府(現東京都)と鳥取県で、およそ4.4倍の人口差がありました。
それが現在は、

1位 東京都 13159388
2位 神奈川県 9048331
3位 大阪府 8865245
4位 愛知県 7410719
5位 埼玉県 7194556
6位 千葉県 6216289
7位 兵庫県 5588133
8位 北海道 5506419
9位 福岡県 5071968
10位 静岡県 3765007
11位 茨城県 2969770
12位 広島県 2860750
13位 京都府 2636092
14位 新潟県 2374450
15位 宮城県 2348165
16位 長野県 2152449
17位 岐阜県 2080773
18位 福島県 2029064
19位 群馬県 2008068
20位 栃木県 2007683
21位 岡山県 1945276
22位 三重県 1854724
23位 熊本県 1817426
24位 鹿児島県 1706242
25位 山口県 1451338
26位 愛媛県 1431493
27位 長崎県 1426779
28位 滋賀県 1410777
29位 奈良県 1400728
30位 沖縄県 1392818
31位 青森県 1373339
32位 岩手県 1330147
33位 大分県 1196529
34位 石川県 1169788
35位 山形県 1168924
36位 宮崎県 1135233
37位 富山県 1093247
38位 秋田県 1085997
39位 和歌山県  1002198
40位 香川県 995842
41位 山梨県 863075
42位 佐賀県 849788
43位 福井県 806314
44位 徳島県 785491
45位 高知県 764456
46位 島根県 717397
47位  鳥取県 588667

となり、最も多い東京都と鳥取県の人口差は、およそ22倍に広がってしまいました。
明治22年から増えた人口は、鳥取が18万人に対し、東京は1136万人です。
18万と1136万は比べるレベルでもなく、明治22年から現在までで人口の分布が大きく変わったことを物語っています。
これだけ状況が変わったのに、今後も明治時代にできあがった都道府県を維持することに意味があるのでしょうか?

枠組みを変えず様々な障害を生み出す都道府県に比べ、市町村は劇的に変化しています。
市町村の制度ができたのは今の都道府県の枠組みができたのと同じ明治22年なのですが、当初は71,314もの市町村がありました。
それが幾度かの大合併を経て、現在は1700程度まで減っています。
これはつまり、市町村が大幅に大きくなったことを意味します。
大阪では橋下市長が府と市の二重行政を問題視していますが、都道府県が変わらず市町村ばかり大きくなってきているのですからこのような問題が増えてくることは当たり前です。
ましてや最近は県の事業の大半を任せられる政令指定都市が大幅に増えているので、各都道府県でこのような問題が表面化する可能性もあります。

こんな問題を解決させる案として、私は都道府県の廃止を提案します!

都道府県さえなくなれば、一票の格差の問題はおろかその他の諸問題も一気に解決します。
交通網や通信網は明治時代に比べはるかに発展しているということを考えても、国と市町村の中間行政区分である都道府県など時代遅れの産物でしかないと思います。
都道府県をなくすことで行政の無駄も大幅にカットできるはずです。
ここ数年、道州制について議論されることも多いですが、私からするとそんな枠組みも不必要で、国と市町村の2つの行政組織があれば十分だと思っています。

都道府県をなくすということは、多くの国民にとってかなりのショッキングな出来事で反発も大きいと思いますが、これぐらいの大ナタを振るわなければ今の日本の問題は解決には向かわないと思います。

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