韓国の中で日本へのDRAM輸出を制限するべきだとの声が広がっているようです。
韓国が日本をキャッチオール規制のホワイトリストから外したことについては、以前記事にしているのであえて言及はしませんが、韓国は自国企業のサムスン電子とSKハイニックスだけで世界のDRAMの70%程度を製造しています。
しかし、日本へのDRAM輸出制限が、そこまで大きな影響があるとは個人的に思えません。
DRAMを使う製品として第一に浮かぶものはパソコンですが、現在、日本のパソコン製造メーカーはほとんど絶滅に近い状態です。
東芝のノートパソコンブランドだった『Dynabook』は、独立した上でシャープの傘下となっています。
そしてそのシャープは、台湾企業の鴻海精密工業の傘下です。
また、NECと富士通のパソコン部門は中国企業のレノボに買収されました。
残るの日本のパソコンメーカーは、パナソニックとソニーから独立したVAIOだけで、基本的に現在の日本でまともにパソコンを作っているメーカーはこの2社だけなはずです。(完成部品を組み立てて販売するだけの企業は除く)
しかもこの2社も企業向け販売がメインで、販売台数がそこまで多いとも思えません。
スマートフォンも日本のメーカーは世界で数%しかシェアを獲れていない状態ですし、パソコンのメモリ増設などをするのも一部のマニアだけでしょう。(企業パソコンのメモリ増設についてはよく分からないが)
唯一、日本が高いシェアを獲得しているDRAMを使う製品と言ったら、ゲーム機ぐらいなものかと思います。
いずれにせよ、日本はそこまでDRAM消費国ではないと思うのです。
確かにDRAMは70%を韓国メーカーが占めているため、韓国政府の戦略的物資になり得るかもしれませんが、現在の日本における製造業を考えると、残りの3割のほうでも十分に対応できる程度しかDRAMを消費していないのではないでしょうか?
もちろん家電などにもDRAMは使われているのでしょうが、デジタル家電も今や日本のメーカーは大きなシェアを獲得していませんし、生活家電にはそこまでDRAMが使われているとも思えません。
また、自動車向けのDRAMは日本企業のルネサスエレクトロニクスが強いという話も聞きます。
工業用のコンピューターなどは分からないですが、パソコンやスマートフォンなどの情報処理機器以外の分野においても、日本はそんなにDRAMを消費しているとは思えないのです。
当然、韓国がDRAMの輸出を制限したら日本に影響は出ます。
しかし韓国側が思っているよりも影響は小さい、というか韓国側が思っているよりも、日本の一般向け電子機器産業は衰退しているということです。
日本の電子産業が衰退しているのですから決して良い状況ではありませんが、なんとなく韓国人の感覚のズレを感じてしまいました。
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