オウム真理教に関わる犯罪の死刑囚13人の死刑が今月中に全て執行され、日本のみならず世界中でも大きく報道されました。
現在、先進国で死刑を執行している国は日本とアメリカの一部の州だけと言われており、ヨーロッパではEU(欧州連合)へ加入する際に死刑の廃止を条件になっているほど、国際的に死刑は廃止の流れとなっています。
しかし日本では、世界の潮流とは別に80%程度の国民が死刑を容認するというアンケート結果も出ているそうです。
私の死刑に対する意見は『どちらかと言えば反対』というもので、以下でその考えに至った3つ理由について説明していきます。
冤罪リスク
1つ目の理由は、冤罪リスクの問題です。
日本では刑事事件で起訴された者は99%以上有罪となり、刑事裁判が正しく機能しているとは言えない状態となっています。
このような国で死刑制度を採用することには、いささか問題があるかと思うのです。
有罪率が99%以上ですと、裁判官の判断よりも警察と検事の判断で犯罪者を決定しているに等しいと言えますが、警察や検察が常に正しい存在であるとは限りません。
世界を見渡せば、警察組織が汚職まみれなんて国はいくらでもあり、歴史的に見ても警察が独裁者の親衛隊として悪の限りを尽くした例などは多々あります。
日本でも1960年代ぐらいまでは警察の捜査はめちゃくちゃで、冤罪もとても多かったと言われています。
当然、死刑になるような事件は慎重に捜査・起訴するのでしょうが、死刑執行してしまうと後で何らかの問題が生じたときに取り返しがつかないので、現在の日本では死刑を採用することが適切だとは思えません。
税金の無駄
2つ目の理由は、税金の無駄という問題です。
現在は、死刑囚の刑が確定してから死刑が執行されるまでにかなりの時間を要しています。
死刑容認派は、死刑になるような犯罪者に税金を使うのはもったいないため『早く死刑にしろ』と主張する人がとても多いようですが、しかしこれは死刑囚が拘置所にいるからいけないのです。
死刑を廃止にして終身刑にすれば、今まで死刑になっていた者たちは、当然、刑務所に入ることとなります。
そして刑務所に行けば刑務作業があるので税金の無駄にはならず、むしろ生涯タダで仕事をさせることができます。
つまり死刑を廃止し仮釈放のない終身刑を作ったほうが、死刑囚にかかる税金の無駄はなくなるのです。(現在も実質的に仮釈放を認めない無期懲役がある)
人権的問題
3つ目の理由は、人権的問題です。
この問題が私の死刑制度に反対する最大の理由となっています。
死刑囚に対する人権的な問題は、死刑反対派のヨーロッパ諸国や人権派弁護士なども1番問題にしており、死刑には犯罪の抑止力効果も薄いと主張しています。
しかし私が主張している人権問題は、死刑囚への人権問題ではなく刑務官に対する人権問題なのです。
死刑執行の際、死の恐怖から大暴れする死刑囚もいるわけですが、刑務官はそれを無理やり抑え込んで死刑囚の首に縄をかけ、強引に刑を執行しなければなりません。
死刑を受け入れ穏やかな気持ちで刑の執行を受け入れるのならまだしも、上記のように暴れる人に対して無理やり死刑を執行するというのは、刑務官に人を殺す作業をさせていることとそう違わないのではないでしょうか?
更に刑務官は、死刑囚の死体処理までしなければなりません。
当然、刑務官はこれらのことを承知でなるのでしょうが、その点を考慮してもなお刑務官への精神的な負担は大きく、人権的にも問題があると思います。
しかし、死刑に強く反対し、死刑反対を世間に訴えかけるほどの気持ちはありません。
現在の人間社会には、明らかに許しがたい、と言うより許すべきではない犯罪があることも事実であり、終身刑でも納得し難いような事件があるのも事実です。
そのため、死刑を容認する考えを否定するつもりもありません。
しかし最近はネット上で、軽微な犯罪や場合によっては犯罪でもない不適切な行動や発言をした人に対し、『死刑にしろ』などと主張することがやたらと多くなってきており、こういった状況には違和感を感じます。
1度の失敗や軽微な不適切行動すらも決して許そうとしない社会、または犯罪者の家族などに対しても激しいバッシングする社会には若干の怖さすら感じてしまいます。
当然犯罪はいけないことですが、寛容のなさすぎる社会もそれはそれで怖いものです。
現在、日本人の80%が死刑を容認しているというのも、個人的にはいささか高すぎる数値だと思っています。
死刑を即廃止しろなどとは主張しませんが、日本の国民が死刑を考えもなしに容認するようになっているのだとしたら、それは少し危険な気がしてなりません。
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