6月12日に発生したオーランドの銃乱射事件(死者50人)を受け、アメリカの民主党議員が、銃規制の強化求め下院本会議場前に26時間の座り込みを行いました。
こういったアメリカの状況を踏まえ、アメリカにおける銃社会について少し考えていきたいと思います。
1999年に起きたコロンバイン高校での銃乱射事件(死者15人)は、犯行場所が学校内、犯人が高校生ということで、世界中に大きな衝撃を与えました。
このときもアメリカ国内では銃規制についての議論されましたが、結局規制はされませんでした。
2007年のバージニア工科大学銃乱射事件(死者33人)以降は、アメリカ国内で死者数が10人を超えるような大規模な銃乱射事件が繰り返し起き続けています。
そのような事件が起きる度、銃規制の是非について議論がされるのですが、毎回その議論は深まらずに終わってしまいます。
なぜ、これだけの銃乱射事件が続いているにもかかわらず、アメリカは銃の規制をしないのでしょうか?
それはズバリ、銃がアメリカにとってアイデンティティーを示す道具だからです。
そしてそのアイデンティティーとは『力は正義』というものです。
実は、アメリカでは人民の武装権も認めていて、
規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。
引用:アメリカ合衆国憲法修正条項第2条
と、憲法にしっかり記載されてます。
なぜ、このようなことを憲法に書くのか?
それは、アメリカという国の建国に関わってくる話です。
アメリカ大陸では、元々氷河期にベーリング海峡を渡ってきたモンゴロイドであるインディアン(ネイティブアメリカン)が生活をしていましたが、1492年の『コロンブスのアメリカ大陸発見』以降ヨーロッパからの移住が進みます。
そのヨーロッパからの移住者たちは、原住民であるインディアンたちを殺害し土地を奪い町を建てました。
これがアメリカという国家の源です。
アメリカでのインディアンに対する虐殺はとても厳しく、1622年から1890年にかけてインディアンは根絶やし状態にまで追い込まれます。
中南米では、現在の住人に原住民の名残や面影を見て取れる場合がほとんどですが、アラスカやハワイを除くアメリカ人には原住民の名残はまるでありません。
それほど、アメリカでのインディアンの虐殺はひどかったのです。
そして、その虐殺行為の原動力になったが銃なのです。
原始的な武器しか持っていなかったインディアンにとって、銃は無敵の強さを誇りました。
アメリカで、ヨーロッパ移住系の白人がインディアンを追いやり広大な土地を手に入れることができたのは、銃の力によるものです。
つまり、銃こそがアメリカ建国の象徴なのです。
しかもそれは、数万年などという不確定な歴史の話ではなく、たった500年前以降に起こった紛れもない歴史的事実として存在しています。
アメリカ人にとって『力は正義』ということを拒否してしまうことは、自分たちの国家を否定することと同じです。
ですからアメリカは、銃の乱射事件が何度起きても銃規制をしないですし、憲法で銃の所持も認めています。
更に言えば、世界中で戦争も起こすことも『力は正義』というアメリカ人的発想によるものと思われます。
もちろんアメリカ国内にも平和を望む者は大勢いるでしょう。
しかし、自分たちがなぜこの地に存在するのかという国家国民の根本的な本質に立ち返ったとき、どうしてもインディアンを根絶やしにしたという事実からは逃れられないのです。
日本人からすると、銃に対しての規制をすれば防げると思う銃の乱射事件も、アメリカにとってはそう簡単には克服できない複雑な事情があるのかもしれません。
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