もはや知らない人はいないでしょうが、昨日、安倍晋三元首相が街頭演説中に襲撃され命を落としました。
この問題について、私は安倍元首相が3つの襲撃リスクを常に抱えていたように感じます。
その1つ目は、政治思想的なリスクです。
安倍元首相は戦後もっとも右寄り(保守的)と呼ばれた日本の内閣総理大臣であり、保守的な思想による政治活動を展開していました。
そのため、左寄り(革新)の勢力からは強い反感を持たれることになります。
また、安倍元首相は韓国や中国との対立姿勢も強めていたため、そういった方面からの襲撃リスクもあったものと思われます。
2つ目は、政治権力的なリスクです。
安倍元首相は、日本でもっとも長く内閣総理大臣を務めた人物です。
それは、2期6年までと決まっていた自民党の総裁任期を、安倍元首相自身の手で3期9年まで延長したことが由来となっています。
ロシアのプーチン大統領が憲法を変え、ほぼ生涯にわたり大統領職を務めることを可能としましたが、安倍元首相による自民党総裁の任期延長も同じような構造と言えます。(もちろん党の規則と憲法は別次元のものではあるが)
少なくとも、すぐに辞めることの多かった日本の歴代内閣総理大臣よりも、安倍元首相の権力欲が強かったことは間違いないでしょう。
こういった事実が、森友問題、加計学園、桜を見る会の不正会計処理、黒川弘務元東京高検検事長の人事などといった多数の問題の背景になっていると思われ、国民から大きな反発があったことは紛れようもない事実と言えます。
3つ目は、格差問題に対するリスクです。
安倍元首相への襲撃事件を起こした山上徹也容疑者は、職を転々としたことがわかっており、政治信条よりも秋葉原で通り魔事件を起こした加藤智大死刑囚のような社会的な不満を持っていた可能性が高くなっています。
1998年に民主党が結成されて以降、日本でも二大政党制が叫ばれるようになり、小泉政権以降の自民党は大企業や高所得者などを優遇し、民主党や現在の最大野党である立憲民主党は中小企業や庶民を優遇するといった特徴が出やすくなっています。
これは安倍元首相に限った話ではありませんが、自民党は格差を広げる方向性で経済政策を行う政党とみなされる傾向が強く、少なくとも格差を是正することに積極的ではありませんでした。
このような自民党をもっとも長きわたって率いてきたのが安倍元首相であり、そういった意味で格差問題に悩む人にとって安倍元首相という存在は、恨みを強く感じる対象だった可能性が捨てきれません。
以上のように安倍元首相には様々な襲撃リスクを抱えた人物で、現在の日本でもっとも襲撃を受ける可能性があったものと思われます。
本来なら、上記したことは安倍元首相の良い面の裏返しでもあるのですが、テロリストは相手の良い面を考慮せずにマイナス評価しかしないので、安倍元首相に対し不当な評価をする人は日本国内に一定数いたものと想定されます。
今回の襲撃事件は不可解な点も多く、想定外のことが事件発生の理由になっているのかもしれませんが、いずれにせよ安倍元首相の襲撃リスクが高かったことは事実でしょうし、現実的に1936年の2・26事件以来となる内閣総理大臣経験者の暗殺事件が起こってしまいました。
この問題を受け、政治家がどのような活動をするのかは各々に任せますが、有権者はあまり過剰な反応は見せずに冷静な投票活動をするよう心がけてもらいたいと思います。
最後となりますが、安倍晋三元首相へ、ご冥福をお祈りいたします。
↓山上容疑者に関する新たな情報を受けて、修正記事を書きました。
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