日本が誇る代表的なロボットアニメ『機動戦士ガンダム』で、宇宙世紀という架空の暦が使わていることはガンダムファンなら知らない人はいないだろう。
この宇宙世紀の始まりが何時からなのかという議論は昔からあり、現在は宇宙への移民開始が宇宙世紀元年になると設定されている。ファーストガンダムと呼ばれる機動戦士ガンダムの第1作は、宇宙世紀0079年(U.C.0079)の世界が描かれ、既に人口の半分が宇宙で暮らし、月面には都市が建設され、数千万人が暮らせるスペースコロニーの数は100基以上に及び、人類の生活圏は木星まで広がっているという設定だ。
一昔前、この宇宙世紀の元年が西暦2045年と言われていた。しかし、今から23年後にスペースコロニーが建設され、宇宙移民が始まると考える人はまずいないだろう。スペースコロニーを建設するには建築場所に資材を集めなければならないが、現在のような地球からの打ち上げロケット方式でスペースコロニーのような膨大な建築資材を運ぶことは、コスト面から考えても非現実的だ。そのため、スペースコロニーを作るにはまず月面に生産拠点を作り、そこで出来得る限りの建築資材を完成させなければならない。2022年に月面基地もない現状を考えれば、2045年までにスペースコロニーが完成することは間違いなく不可能だろう。
2045年でも非現実的なのだが、実はこの宇宙世紀の始まりについて、機動戦士ガンダム(ファーストガンダム)の放送直後(機動戦士ガンダムの放送は1979年から1980年)はアポロ11号が月面着陸した1969年という説が多く採用されていた。つまり、機動戦士ガンダムの世界が描かれた宇宙世紀0079年は西暦2048年に当たり、26年後の世界ということになるのだ。26年後に、数千万人もの人が暮らせるようなスペースコロニーが100基以上作られることは、物理的に不可能である。
これが何を意味しているかというと、過去に想像された以上に宇宙開発のペースが遅れているということだ。人類は1961年に大気圏外への有人飛行を成功させ、1969年には月面着陸を成功させた。1980年代前半は、このままペースで行けば2050年頃までにスペースコロニーが多数建設され、地球の人口の半分が宇宙で暮らすほど宇宙開発が進むと考えたのだろう。しかし実際は、2022年の時点で月面基地も出来ておらず、火星への有人着陸も果たせていない。それどころか、人類は1971年以降、月にすら行っていないのだ。
大阪万博が開催された1970年当時、50年後(2020年)の未来を予想する絵などがよく描かれていた。そこでは、車が空を飛び交い、都市にはチューブ状の建造物が張り巡らされ、その中を人々が素早く移動するような未来予想図が多かった。しかし、2022年の現在も車は空を飛んでいないし、人々は自分の足で街々を普通に歩いている。宇宙開発に限らず、科学発展は予想よりも鈍化しているわけだ。
リニアモーターカーも50年以上前から新たな高速鉄道として注目を集めていたが、現状、高速鉄道として実用化された例はない。以上のように、無限のように思える科学の発展も限界があり、いずれは頭打ちする日がやって来るのだ。特に必要性の乏しい分野における発展の鈍化は著しく、宇宙開発などは正にそういった分野なのだろう。
また、近年では現在科学に頼らないエコロジーな生活が見直され、科学発展とは逆行した考え広く浸透している。今後、開発に対する環境面への配慮はますます高まり、科学技術が後退してく部分もあると思われる。
これら点を踏まえると、おそらく2100年ですら宇宙世紀に移行するような状況は起きないと考えられるのだ。
そもそも現在の科学発展は、地球が数億年に渡って貯めてきたエネルギー資源(原油や天然ガスなど)を数百年で使い切るようなペースで使用した結果に得られたものである。そのため地球にかなりの無理が生じており、現在はそれを是正する動き(再生可能エネルギーの利用や脱プラスチックなど)のほうが大きく作用し、今後の科学発展は想像以上に鈍ると考えられる。
逆に予想以上に発展した分野と言えば、インターネットによる仮想空間的な世界の構築だ。これはエネルギーの消費の少ない分野だからこそ発展したと言えるだろう。20世紀には自動車(内燃エンジン)などといったエネルギー消費の激しい分野が大きく発展したが、こういった分野での科学発展は今後なかなか見込めないと予想される。
これから先の未来、著しい発展を見せる部分もあるだろうが、基本的には科学の発展速度は鈍化していくものと考えられ、思ったよりも変化のない時代が過ぎていくのかもしれない。
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