日本のPCR検査数が少ない本当の理由とメディアによる印象操作

医学
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最近、日本のメディアにおいて、新型コロナウイルスに対する日本のPCR検査が外国と比べて少ないとの報道が非常に多くなってきているように感じるが、このことに大きな違和感を感じ得ない。

5月4日に専門家会議から示された『新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言』には、主要国の人口10万人当たりのPCR検査数が出されていた。

イタリア  :3159.0件
ドイツ   :3043.5件
スペイン  :2224.4件
アメリカ  :1752.3件
シンガポール:1708.1件
韓国    :1198.0件
フランス  : 911.8件
イギリス  : 882.9件
日本    : 187.8件

この結果を見れば、確かに日本のPCR検査数は少ない。
しかし、同じ『新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言』で示されたPCR検査の陽性率も見てもらいたい。

イギリス  :26.9%
フランス  :19.3%
スペイン  :19.2%
アメリカ  :17.4%
シンガポール:13.6%
イタリア  :10.6%
ドイツ   : 6.0%
日本    : 5.8%
韓国    : 1.8%
※2月18日から4月29日までのデータ

実は、日本のPCR検査陽性率は多くの感染者を出している諸外国よりかなり低いのだ。
これが意味することは、日本は単純に感染者数が少ないということだろう。
もしPCR検査数が少なくて陽性率が高いのなら、拾い切れていな感染者数が多数いるということになり、市中感染率が高いと想定される。しかしそういったことは起こっておらず、日本の問題とされているPCR検査数が少なくて実際の感染者数が分からないという指摘は、この陽性率を見れば韓国やドイツを除く他の国の同じことなのである。

実際にアメリカで抗体検査(過去に新型コロナウイルスに感染したことを確認する検査)をしたところ、感染判明者数の10倍から数十倍の感染者がいるのではないかとの予測も出されている。現在、アメリカの新型コロナウイルス感染判明者数は130万人を超えているが、実際の感染者数は1000万人を超えている可能性も十分に考えられるというわけだ。
PCR検査が少ない日本では感染判明者数は1万6000人程度だが、実際の感染者数は20万人に達していると考える専門家もいる。しかしPCR検査の陽性率や感染者の死者数を見ると、そこまで多くの感染者数は出ていないとの想定も出来る。

仮に日本の感染者数を多く見積もって20万、アメリカの感染者数を少なく見積もって1000万として考えたとしよう。当たり前の話だが1000万は20万よりも50倍もの数字だ。(アメリカの人口は日本の2.6倍でしかない)
これだけ想定される感染者数に違いがあれば、検査数が違って当然だろう。実際の感染者数に50倍もの差があれば、新型コロナウイルス特有の症状を訴える人の数が全然違ってくるはずだから、検査の対象になる人の数がそもそもまるで違うのだ。無症状の人まで検査しろというのなら話は変わってくるが、現状そこまでやっている国はほとんどない。

まとめるとこういうことだ。

1、日本のPCR検査数が少ない(海外や日本のメディアで批判の声が多数)
2、しかし、PCR検査の陽性率や人口当たりの死者数は少ない
3、上記の数値から日本における実際の感染者数は少ないと想定される
4、感染者数が少ないので症状を訴える人の数も少なくPCR検査数も増えない

以上の結果から、日本が感染者を多く出した国々に批判される理由もないし、メディアがアメリカやヨーロッパの国々と日本のPCR検査数を比較するのもおかしな話なのだ。検査数が少なく陽性率が高いと言うのなら話は分かるが、上記したデータの通りそんなことはなく、日本のPCR検査数が少ないのは、実際の感染者数が少ない以外の何物でもないと思われる。
これは単純な数学(算数レベル)の話だが、メディアの人間は、130万は1万6000より80倍以上多い数字だと小学校の時に習わなかったのだろうか?
以上のように、PCR検査数の問題だけで日本の新型コロナウイルス対策が西洋より遅れているなんて考えるのは、明らかに間違いなのである。

こういった間違った判断によるものか、日本は韓国に頭を下げて新型コロナウイルス対策の教えを乞うべきだと主張したテレビ司会者もいたそうだが、そもそも日本は新型コロナウイルスの対応に大きく成功している国であることは、上記したデータからも明らかだ。確かに、韓国は新型コロナウイルスの対応について日本以上に成功している部分があるが、だからといって日本が新型コロナウイルスの対応に失敗した国ということにはならず、人口当たりの死者数では、日本は韓国よりも低い(今後逆転する可能性もあるが)数値が示されている。
また人口当たりの死者数でいえば、新型コロナウイルスを発祥させ大勢の死者を出した中国ですらその数は多くなく、西洋各国に比べ新型コロナウイルスの対応に成功した国と言える。新型コロナウイルスの対応に関しては、日中韓(特に日韓)で不要な言い争いが生じているようだが、対応に成功している同士で何を言い争っているのか不思議でならない。

いずれにせよ、国内国外を含め、メディアによる『日本が新型コロナウイルスの対応に失敗した国』というイメージの植え付けることはやめていただきたい。

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