先日、東京都が有識者検討会の意見として、一戸建て住宅を含む新築建物に太陽光発電のパネルの設置を義務付けるよう提言があったことを発表し各方面で話題となった。ただでさえ東京は地価が高く、一生働いても家を買えないと言われている状態なのに、これでは家を買おうという人にとって更なる負担になってしまう。
現在、太陽光発電はメガソーラーと呼ばれる大規模な発電施設を作ることが主流だ。しかし、これは森林伐採などの自然破壊を伴うものも多く、太陽光発電を使用する本来の目的である“二酸化炭素排出量の削減”に繋がらないような本末転倒な結果を招いている。こういった問題点を避けてソーラーパネルを設置するとなると、日本では建物の屋根ぐらいしかないのかもしれない。だからといって、新築住宅に対し強制的にソーラーパネルを設置し、それを家の購入者に対し負担させるというのは正しい判断と言えるかは大いに議論があることだろう。
そこで私が提案したいのが、地中熱の利用だ。
地上から約10mの地下温度は、年間通して地上の年間平均気温でほぼ一定している。そんな地中にパイプを通し空気を循環する仕組みは地中熱ヒートポンプシステムと呼ばれ、一言で説明するのなら天然のエアコンだ。この地中熱をうまく使えば、夏場も冬場も電気利用を伴うエアコンを使用しなくてもいい、あるいは使用しても極めて軽度の使用で済むようになると想定される。特に夏場は前回の記事で紹介した暑さが暑さを生む悪循環(ヒートアイランド現象)を解消できるかもしれない。大規模なビルなどでは利用できるか分からないが、一戸建てなら地中熱ヒートポンプシステムが大きな効果を発揮することは既に証明されている事実だ。
新築建物にソーラーパネルを設置するという発想は、暑さや寒さが厳しい真夏や真冬のエアコン使用による電力需給のひっ迫を解決することを目的にしていると思われる。しかし、エアコンの使用量が増えて足りなくなった発電量を太陽光発電で補うよりも、真夏や真冬の発電量を下げる社会構造を作るほうが正しいテクノロジーの発展と言えるのではないだろうか?
東京都は、新築建物へのソーラーパネルの設置前向きで条例化を目指すようだが、公的な権力で強制するぐらいなら、ソーラーパネルの設置よりも地中熱ヒートポンプシステムの利用をするべきだと私は思う。地中熱ヒートポンプシステムが大量に設置されることで起こる影響など、まだ分からない点も多いが、試してみる価値はあるだろう。
都市部におけるヒートアイランド現象の解決には、エアコン使用による暑さが暑さを生む悪循環を止めることが最優先のはずだ。そういった意味では、ソーラーパネルの設置よりも地中熱ヒートポンプシステムを利用するほうが有効性が高いと思われる。
有識者とソーラーパネルの関連業者に利権などがあり実現は不可能なのかもしれないが、東京都には、是非、地中熱ヒートポンプシステムの利用を促進してもらいたい。
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