リーチ麻雀の問題点のまとめと改善策

麻雀の競技性
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ここまでアルシャル麻雀中国麻雀三人麻雀鷲巣麻雀と4つの麻雀について考え、現在のリーチ麻雀における問題点を明確化してきました。
今回は、そういったリーチ麻雀における問題点の改善策を考えていきたいと思います。

問題点の再確認

まずは、現在のリーチ麻雀における問題点を再確認します。
今まで書いた4つの記事から、リーチ麻雀の問題は以下の3点に集約されていることが分かりました。

1、リーチ(特に先制リーチ)が強すぎる
2、スピード勝負になりすぎている
3、リーチは必要不可欠である

この3つの問題を1つ1つ分けて考えていきます。

リーチ(特に先制リーチ)が強すぎる

リーチの強さについて、以下の例をご覧ください。
東1局南家ドラ⑨という状況で、

一一一三345⑦⑧⑨西西西

という手牌でテンパイしリーチしたとします。(漢数字は萬子、通常のアラビア数字は索子、丸数字は筒子)
この手をツモ和了りした場合、役はリーチ・門前清自摸和・ドラ2(表ドラ1、赤ドラ1)で40符4翻の満貫8000点となります。

これがもしリーチやドラのないアルシャル麻雀だったら、役なし40符の160点にしかなりません。(アルシャル麻雀でも門前清自摸和に1翻付けるケースがあるらしいが、アルシャル麻雀を今に伝える日本麻雀連盟の説明では門前清自摸和は認められないとのこと)
リーチ麻雀にある場ゾロを加味しても640点で、まだ10倍以上の差があります。
一発や裏ドラも考えれば上記の手は12000点の跳満になる可能性もあり、親だったら6000点オールの18000点で東1局で勝負が決しかねないのです。
このように、まともな役がなくとも4面子1雀頭の形さえ作れば手を強力に出来てしまうのがリーチで、ドラの存在も合わせリーチが麻雀の運要素を高める要因になっていることは間違いないものと思われます。

スピード勝負になりすぎている

上記したようにリーチが強すぎるため、現在の麻雀は特別な状況でない限りテンパイしたらリーチをする先制リーチが主流になっています。
これはリーチの強さだけではなくドラの数も影響しており、ドラが2枚あればリーチだけでも十分の手となるのです。
一発や裏ドラもあるので、リーチを受けた3人は最大限の警戒をし降りの選択をすることもよくあります。
特に親のリーチは強力で、子が降りの選択するケースは必然的に多くなります。
以上のように、現在の麻雀は点数に関係なく誰が1番早くテンパイしてリーチするかが1つの勝負になっているのです。

また、ドラ自体はリーチの問題とは関係なく麻雀の速度アップを助長しています。
現在は通常のドラに加え赤ドラも一般的になりドラの枚数が増えているので、ドラを絡めたタンヤオや役牌のみの手を鳴きを利用して早上がりすることも一般的となり、麻雀の速度を上げる要因となっています。

リーチは必要不可欠である

リーチに問題があるのならリーチをなくせばいいと思う人もいるかもしれませんが、そうとも限りません。
リーチがなければ麻雀は競技性を著しく失い、台湾や中国の街中で行われているような相手の手を読むこともなく卓の真ん中に捨て牌を適当に置いていくような麻雀になりかねないのです。
鳴きが複数回あったり露骨な染め手でもない限り、リーチがかからなければ他者の手を深く読まない、正確には読んだとしても打牌が変わることはほとんどない(残り牌の枚数情報に関しては除く)ということが、アルシャル麻雀や中国麻雀の考察から導き出した答えでした。

現在の麻雀は、誰かがリーチをして、それに対して他者がどのような打牌をするかで深い読み合いが始まります。(リーチ者は除く)
相手の手配を読み押し引きの判断をするということは、麻雀においてもっとも実力が反映される部分なので、運要素の是正という観点においてリーチは欠かせない存在と言えます。
端的に言って、現在の麻雀(リーチ麻雀)はリーチがかかるまでとリーチがかかってからで、麻雀の質が大きく異なっているのです。
リーチがかかるまではひたすらテンパイを目指し、リーチがかかってからは他者の行動を考慮しながら複雑な押し引きの判断をするというのが、日本で独自進化したリーチ麻雀の特徴となっています。
もしリーチがなかったら、ほとんどの打牌を自己都合で打つことになり、考えることは牌効率だけで一定以上のレベルに達している人なら誰が打っても打ち筋が変わらない運要素の高い麻雀になってしまうのです。
実際、麻雀に競技性を見出しているのはリーチを採用している日本だけで、中国の麻雀は遊戯の粋を超えていないように感じます。

リーチに問題があるのにリーチが必須であるということは矛盾した考えですが、ここにリーチ麻雀の問題も面白さも集約しているように感じますし、そもそもここまで普及したリーチをなくすなんてことは不可能です。

【リーチが強すぎる問題の補足説明】

リーチが強すぎる問題についてピンと来ていない人もいるかもしれないので、少し補足説明をします。

まずは問題を分かりやすくするため、極端にリーチを強くして考えてみましょう。
具体的には、リーチを役満、一発と裏ドラも役満とします。(リーチ・一発・裏ドラ3枚なら五倍役満)
こうなると、よほどのことがない限り全員がリーチを目指して面前でのテンパイを目指すはずです。
そしてリーチをかければ、それ以外の人はほとんど降りの選択をせざるを得ません。
リーチの強さは共通なので追っかけリーチを目指すことも可能ですが、一発や裏ドラも役満となると放銃のリスクが高すぎるため、好形のイーシャンテンでも降りの選択を考えなければならない状況に陥ります。
リーチ・一発・裏ドラの三倍役満を1人払いさせられるなんて目も当てられない結果を招くわけですから、リーチに対して危険牌は絶対に切れないわけです。
手持ち牌次第では放銃を回避しながら追っかけリーチをすることも可能でしょうが、2人目のリーチがかかった時点で、他の2人は降りの選択をするしかなくなるでしょう。(逆に開き直って攻めるかもしれないが)
こうなってしまうと誰が1番早くテンパイ形にするかの勝負となり、牌効率だけを考えた配牌運とツモ運という運要素の高い麻雀になってしまうのです。
更に、リーチのみの手と面前の清一色、純チャン・二盃口、小三元・三暗刻など跳満以上の手も価値が同じなので、役の強さ弱さはほぼ意味をなくします。

以上のようにリーチが強くなれば、運要素の高いテンパイまでの速度競争になったり、他の役の価値が下がるなどの問題が顕著に出てくるわけです。

問題の解決策

上記した

1、リーチ(特に先制リーチ)が強すぎる
2、スピード勝負になりすぎている
3、リーチは必要不可欠である

という問題に対する解決方法は、

一、リーチの効果を弱くする
二、手役作りによる打点向上の価値を上げる
三、リーチをしやすいようにする

ということになります。
この解決策についても1つ1つ分けて考えていきます。

リーチの効果を弱くする

リーチの効力を弱めるには、いろいろな案があります。
リーチの供託を高くする(例えば2000点)などが一つの例ですが、もっと分かりやすい改善策は一発と裏ドラをなくすことです。
一発も裏ドラも運要素が極めて高い偶発役なので廃止でいいかと思いますし、リーチを弱める効果としても十分かと思います。
この問題については、これ以上の案はないと思うので考察はこれで終了です。

※一発・裏ドラがなくなるとリーチしなくなるという問題が出てきますが、その問題については後で考えます。

手役作りによる打点向上の価値を上げる

リーチの効果を弱めたので手役作りよりも速度が重要視されていた問題の半分は解決ですが、まだまだ問題は残っています。
役の完成が早く、すぐに和了れてしまうという状況を改善するのなら、一翻縛りを二翻縛りにすれば効果がありそうですが、流局が多くなってしまうことはゲームの完成度上、決して好ましくありません。
役の数を減らせば簡単に役が出来ない(和了れない)ため、手役作りの重要性が増す可能性がありますが、これも一概にそうとは言えないようです。
役の数が多い中国麻雀では、役を重ねよう(あるいは高い手への変化させよう)という意識が働くため手役作りが重要視され、『役が少ない=手役作りが重要』とならないようなのです。(中国麻雀にはリーチがないので単純比較は出来ないが)
1翻縛りがある以上、役が少なすぎると運要素が強まってしまうことは確実なのですが、どれくらいの役数が適切なのかを判断することは難しく、少なくとも私個人で答えを出すことは不可能となっています。
ただ、一発や嶺上開花などの偶発役は運だけで完成するため運要素を上げていることは確実なので、これはなくしてもいいかと思います。(その他の偶発役は、天和、地和、ダブル立直、海底摸月、河底撈魚、槍槓)

役の数については結論が出ませんでしたが、ドラについては是正しなければならない部分があることは確実です。
ドラは時代とともに増えてきた背景があり、それに伴って打点向上を図る手役作りよりも、テンパイしたら即リーチをする速度が重要視されるようになってきました。
そのため、ドラは減らすかなくすべきなのは確実なのですが、減らす(なくす)にしても

赤ドラをなくすべきなのか
裏ドラをなくすべきなのか
ドラを全てなくすべきなのか

など様々なパターンが考えられます。
ドラの問題は複雑なため、赤ドラとその他のドラに項目を分けて考えていきます。

赤ドラの問題

アルシャル麻雀では符の点数が重要で、暗刻になったときに符の点数が高い字牌や一九牌の価値もそれなりに高く『牌が重なりにくいが点の高い么九牌』と『牌が重なりやすいが点の低い断么九牌』という牌の価値バランスがとれていました。
もちろん字牌や老頭牌には役満になるような手があるのですが、そのような手は和了れる確率があまりにも低いため、符の点数が無意味になる満貫以上の手になりやすいリーチ麻雀では、1翻しかないタンヤオのほうが価値が高いのです。(この問題に対する詳しい考察はこちらから

単純に考えて、5の牌にドラを入れてしまうと萬子・筒子・索子(数牌)の内側の牌の価値が高くなりすぎることは明確です。
当然ですが、牌の価値に差があることは運要素的に好ましくありません。
例えば、一通とイーペーコーが萬子だけにしか適用されないというルールなら、萬子を配牌やツモで多く手牌に入れた人が有利となります。
手牌に萬子が多く入るかどうかは運でしかないのですから、萬子も索子も筒子も牌の価値は均等であるべきなのです。(本当は緑一色という役があるのも好ましくないが、滅多に出ないので影響が小さく問題視されていない)

5の数牌に赤ドラを入れることが牌の価値バランス的に問題だからと言って、1の牌や9の牌に赤ドラを入れたら今度は(ドラを入れた側の)端側の牌の価値が上がってしまいます。
一層のこと、1と5と9の牌に全て赤ドラを入れればバランスが良さそうですが、そんなことをしたら字牌の価値が著しく下がります。
赤ドラを5の数牌に入れるのなら、喰いタンを禁止にするなどの対策が必要なのかもしれません。
あるいはチャンタ・純チャン・混老頭などの翻数を上げるかですが、そうした場合、おそらく1翻アップでもバランスは悪く2翻程度はアップする必要があるかと思います。
そうなると他の手とのバランスも微妙になってきます。
結局、赤ドラはどうやっても牌の価値バランスを悪くするので、廃止することがもっとも運要素の是正に繋がり、対策としても分かりやすいと言えるでしょう。

表ドラ・裏ドラ・槓ドラの問題

裏ドラはリーチ後に加点される偶発性が極めて高いものであり、確実に運要素を上げているので廃止の方向でいいと思います。
残ったドラは表ドラで、ソフトな改善策としてはドラを表示牌の次ではなく表示牌にすることなどが考えられます。(そもそも次の牌よりも表示牌がドラのほうが初心者には分かりやすい)
こうすればドラが1つ減るためドラの効力が低下しますが、その威力は弱く大きな効果は望めません。

赤ドラ・裏ドラの廃止に賛成する人も、表ドラはあったほうがいいという意見の人も多いかもしれませんが、私は運要素の是正という意味では表ドラもいらないと思っています。
表ドラも手に入れば安手(ドラ以外の安手)で和了ろうとする人もおり、速度重視を助長する要因となります。
そもそも麻雀における速度とは何でしょうか?
ズバリ、麻雀の速度とは役が完成するまで(誰かが和了るまで)のツモ回数のことを表しています。
もしツモ回数が5回なら運がよほど良い人しか和了れません。
ツモ回数が1回だけなら天和と地和しかあり得ず、勝負はほぼ100%運になるなど、麻雀の速度が上がれば上がるほど運要素は高まるわけです。(100%でない理由は天和になった瞬間に地和が不可能になるため)
“手役作りによる打点向上の価値を上げる”ということは速度重視を是正することが目的なので、ツモ回数は出来るだけ増やしたく簡単に和了ってほしくはないのです。

当然の話ですが、ツモ回数が増えれば捨て牌の数も増えます。
鷲巣麻雀の考察でも書きましたが、麻雀は情報量が増えれば増えるほど高レベルの読み合いが行われ実力が反映されやすくなります。
四人麻雀よりも三人麻雀のほうが実力が反映される理由の1つも、人数と牌数が減ることにより高レベルの読み合いが可能になるからでした。
そういった面からも、ツモ回数が増えることは実力勝負になりやすい環境が整うわけです。

もちろんツモ回数を増やしたほうがいいからといって、誰も和了らない状況(流局)は麻雀というゲームの完成度を維持するためには避けるべきなのですが、そこで1つ問題になるのが王牌なのです。
王牌を廃止すれば、平均のツモ回数を増やしながら流局のリスクも下げられます。
ドラを完全に廃止すれば王牌をなくすことが可能になるため一石二鳥で、これが表ドラも廃止したほうがいいと考える大きな理由となっています。
王牌の問題を踏まえて表ドラを廃止するのですから、槓ドラも当然廃止です。

リーチをしやすいようにする

リーチの効果を弱くすると、誰もリーチをしなくなるという問題が発生します。
リーチが押し引きや手配読みという麻雀の実力を出る部分に大きく関与していることが分かったので、リーチは出来るだけしやすい状況を維持しなければなりません。
例えば供託を安くするというのも1つの案で、これは以前にも考えました。(参考記事
あるいはリーチを2翻にするなどの案も考えられます。
リーチが2翻では強すぎると判断されたのなら、リーチは2翻で供託は2000点などとしてバランスをとることも可能です。
しかし、そんなことをしたら流局した際の供託が高すぎて、次局の勝利に対する価値が上がりすぎてしまいます。
1局だけの勝負はほとんど運で決まるので、供託が多くなることは運要素を高める要因となります。

そこで考えついた結論は、流局の場合は出した供託をリーチ者に戻すというルールです。
そうすればリーチがしやすく、供託が多数出て運要素の高い局が生じるという問題も解決されます。
以上、供託は1000点のまま流局時に返却するのが1番良いかと思います。

まとめ

以上、リーチ麻雀の問題点と改善策を考えてみましたが、流局時にリーチの供託を元の人に戻すという部分以外は、このブログで1番最初に考えた改善策とほとんど変わりのないものでした。
最初のときは具体的なことをそこまで深く考えていませんでしたが、今回具体的に考えても同じ結論に至ったので、麻雀の運要素を是正するという考えについて当ブログは最初からなかなかいい線を行っていたようです。
リーチの供託については半分の500点にする案を提案していましたが、これは自分で書いていてもイマイチな感じがしていたので、今回より良い改善策を見いだせて良かったと思います。

アルシャル麻雀、中国麻雀、三人麻雀、鷲巣麻雀の4つの麻雀から現在のリーチ麻雀における問題を考える長期企画は以上となりますが、今後も麻雀の運要素の是正については深く考えていきたいと思います。

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コメント

  1. でん より:

    非常に面白い記事でした
    赤ありの方が、鳴きに対する読み合いの価値が高まるため、実力は反映されやすいと考えていましたが、
    そもそも牌の価値の差を大きくしてしまい、ツモ牌の依存度が高まるというのは持っていない考えでした。

    • 牌の価値バランスに関しては、この記事を書いている段階から自分の考えに間違いがある可能性を感じており、別途考察記事を書こうと思っています。
      実は、その記事もだいぶ前にほとんど書き終わっていたのですが、最近やる気があまりなくなかなか完成に至っていません。😭
      ただ近日中には投稿したいと思います。

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