アルシャル麻雀から現在のリーチ麻雀の問題を模索する

麻雀の競技性
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今回から4回に渡り、通常のリーチ麻雀ではない麻雀のルールを紹介しつつ、現在における麻雀(リーチ麻雀)の問題点を探っていきたいと思います。

その1回目は、アルシャル麻雀またはアルシーアル麻雀と呼ばれるリーチ麻雀の基になったルールの紹介です。
アルシャル麻雀の存在自体は私も知っていましたが、この記事を書くまでほとんど触れたことがありませんでした。
そのため細かいことは把握していないのですが、1929年に設立された日本最古の競技麻雀団体(アマチュア団体)である日本麻雀連盟が2016年まで唯一の正式ルールとして採用していたルールで、リーチ麻雀が一般化する前の主に戦前に行われていた麻雀だそうです。(現在の日本麻雀連盟はリーチ麻雀も正式ルールとして採用している)

↓細かいルールは以下より

規定|日本麻雀連盟 公認HP
日本麻雀連盟は、1929年日本中の麻雀諸団体を統合、発足しました。
二十二麻雀ルール

アルシャル麻雀の特徴はリーチとドラがなく役が少ないことで、半荘ではなく一荘で勝負を決めます。
場ゾロもなく和了った際の点数が低いため(後述)持ち点は2000点で、飛び終了が一般的だったのかなどは、いかんせん古いルールなので情報が消失していました。
リーチがないのでダブルリーチや一発がないのは当たり前ですが、その他、リーチ麻雀にあってアルシャル麻雀にない役は、

一盃口・二盃口
三色同順・三色同刻
純全帯幺
三槓子・四槓子
七対子
緑一色
河底撈魚

となっています。
混老頭は全帯幺と対々和の2翻なので、ないも同然です。
門前清自摸和はあると書かれている資料と、ないと書かれている資料があり、日本麻雀連盟のサイトには平和のツモの場合は平和がなくなり自摸役がつくと書かれています。
カンは出来ますが、三槓子や四槓子の役はないようです。
七対子がないので、国士無双(アルシャル麻雀では十三幺九と言う)を除き純粋に4面子1雀頭をつくる麻雀となります。

リーチ麻雀との役の翻数比較は以下の通りです。

役名面前喰いアルシャル
リーチ1翻なし
一発1翻なし
門前清模和1翻なし?※
平和1翻1翻※
断ヤオ1翻1翻
役牌1翻1翻1翻
嶺上開花1翻1翻1翻
槍槓1翻1翻1翻
海底撈月1翻1翻1翻
河底撈魚1翻1翻なし
ダブルリーチ1翻なし
全帯2翻1翻1翻
混老頭2翻1翻実質なし※
三色同順2翻1翻なし
一気通貫2翻1翻1翻
対々和2翻2翻1翻
三色同刻2翻2翻なし
三暗刻2翻2翻1翻
三槓子2翻2翻なし
小三元2翻2翻1翻
七対子2翻25符なし
二盃口3翻なし
純全帯3翻2翻なし
混一色3翻2翻1翻
清一色6翻5翻3翻+10符
天和役満役満満貫
地和役満役満満貫
四暗刻役満満貫
大三元役満役満満貫
国士無双役満役満満貫
字一色役満役満満貫
四喜和役満役満満貫
大四喜役満役満満貫
清老頭役満役満満貫
緑一色役満役満なし
九蓮宝燈役満役満満貫
四槓子役満役満なし

※平和は鳴きOKで、ツモの場合は無効となり自摸役(1翻?)が付く(参照
※混老頭は2翻と説明される場合もあるが、全帯幺と対々和でも2翻になるのでないと同じ

以上のようにアルシャル麻雀では、現在の役満手、清一色以外は全て1翻というシンプルなものとなっています。
この表を見て、リーチ麻雀と比べアルシャル麻雀は役が少ないので和了るのが大変と現在麻雀に慣れた人は思いがちですが、アルシャル麻雀には一翻縛りがないので和了ること自体は難しくありません。

符の点数は、和了れば20符、面前のロンは10符、ツモは2符、刻子や槓子、待ちに対する符など全てリーチ麻雀と同じです。
昔は符を四捨六入(奇数の符はないので五入ではなく六入となる)としていたそうですが、現在は切り上げ方式が主流なようです。
符の点数は翻数の数だけ倍にして、子のツモの場合はその点を子からもらい、親からはその倍の点数をもらいます。
ロンの場合は、符と翻数から計算された点の4倍が和了り点数となります。
リーチ麻雀の場合は符の計算をして以降の点数は表として覚えている人が多いと思いますが、この和了り点の計算もリーチ麻雀と全く同じです。

アルシャル麻雀では(リーチ麻雀も)役なしの和了りが最低22符で、この22を中国語で言うとアルシーアルとなり、名前の由来となっています。

点数は2000点の満貫までで打ち止めとなります。
2000点までなんて点数が低すぎると思う人もいるかもしれませんが、リーチ麻雀では最低点が1000点なのに対し満貫が8000点と8倍ですが、アルシャル麻雀で1番低い点数は120点(四捨六入の場合80点)で、満貫の2000点は16.6倍となるためリーチ麻雀よりも満貫の価値が高いわけです。
実際にアルシャル麻雀の和了り点は200点から300点ぐらいが多くなるため満貫でもかなり強力な手で、そもそも役も少なく役の翻数も低いので滅多に満貫なんて出来ません。
現在のリーチ麻雀では、リーチ・タンヤオ・ドラ2のロン和了り40符4翻で満貫なんて手が珍しくないですが、リーチもドラもないアルシャル麻雀では、同じ手でも役はタンヤオの1翻のみで場ゾロもないので320点にしかならないのです。

そもそもアルシャル麻雀では、リーチ麻雀の役満(四倍満)が満貫にしかなりません。
リーチ麻雀の役満は最低点1000点の32倍(ダブル役満は考えないものとする)もあるため、1回でも出たらほとんど逆転不可能で運要素を助長していますが、アルシャル麻雀は最低点の120点に対し最高点の満貫2000点は16.6倍なので、インフレし過ぎということはないようです。

では、ここでリーチ麻雀とアルシャル麻雀における30符の点数比較をご覧ください。

翻数リーチアルシャル
役なし120点
1翻1000点240点
2翻2000点480点
3翻3900点960点
4翻7700点1920点
5翻満貫(8000点)満貫(2000点)
6翻跳満(12000点)満貫(2000点)
7翻跳満(12000点)満貫※
8翻倍満(16000点)満貫※
9翻倍満(16000点)満貫※
10翻倍満(16000点)満貫※
11翻三倍満(24000点)満貫※
12翻三倍満(24000点)満貫※
13翻~数え役満(36000点)満貫※

※アルシャル麻雀で7翻以上に役が重なることはないと思われる

以上の表を見ると、アルシャル麻雀では場ゾロがない分、倍々の計算が2回分少ないことが分かります。
アルシャル麻雀は1翻縛りがなく役なしで和了ることが多いので、役を重ねて倍になるケースが1翻分多いと考えていいでしょう。

リーチ麻雀では符の計算よりも翻数のほうが重要ですが、アルシャル麻雀では符の計算が重要視されています。
そのため、暗刻になれば8点もらえる么九牌の重要度が増しますが、当然、和了りやすさ(牌の重なりやすさ)という点では断么九牌のほうが重要なので、牌の価値バランスがとれているのかもしれません。
現在のリーチ麻雀は、一発・裏ドラありにプラスして5の牌に赤ドラも入っており、鳴き平和はダメで鳴き断么九(喰いタン)はOKというルールですから、断么九牌の価値が上がりすぎて牌の価値バランスが悪い可能性があるのです。

順子と刻子のバランスも、現在の麻雀は崩れている可能性があります。
例えば、三暗刻は暗刻が3つあるので最低でも12符付き40符以上の手で平和形(20符)の手よりも1翻分以上高い手になり、更に字牌の暗刻などがあれば50符以上も十分狙えるため、符の計算が重要なアルシャル麻雀では1翻でもそれなりの点数になります。
しかしリーチ麻雀では、平和形のほうが役の重なりが多いので順子のほうが価値が高くなっているのです。
例えば、リーチ、平和、タンヤオ、門前清自摸和にドラが1枚乗れば、もう満貫にまで達します。
リーチ麻雀では三暗刻が2翻とアルシャル麻雀よりも1翻増えていますが、それでもまだ効率が悪い役と考えられているようです。

符と役を合わせた点数作りをするアルシャル麻雀に対し、現在のリーチ麻雀はリーチとドラに加え、役の数も翻数も増えているので満貫以上の手が常に見越せますし、1翻縛りというルールもあるため手牌進行が(リーチを含めた)役作りに全振りしてしまっています。
実際にリーチ麻雀で符計算を考えて手牌進行を変えるなんてことは、オーラスで特定の条件が整った場合を除きほとんど行わないのではないでしょうか?
一方、アルシャル麻雀は自分の手の点数を上げるために色々なことを考える必要があります。
役を付けたほうが得なのか、符の部分で点数を上げたほうが得なのかなどのことを、リーチがないので最後の最後まで考えなければなりません。
特にアルシャル麻雀は半荘ではなく1荘勝負なので、安手ばかりで和了っていても1回の大物手で逆転される可能性が高くなります。

運要素という点では、アルシャル麻雀も良い手が入るかどうかという点においてリーチ麻雀と大差はありません。
ただ、現在の一発・裏ドラ・赤ドラありというリーチ麻雀では、速度が重視され打点が極端に軽視されているという問題があります。
現在の麻雀は、誰もリーチをしていない状態なら役なしでも直ぐにリーチ(先制リーチ)をすることが主流で、テンパイまでの牌効率のみで勝負しているようにすら感じるのです。
高い手よりも早い手のほうが重要視されると、ツモ回数が減るため運要素は上昇します。
麻雀が点数に関係なくテンパイ形を作るまでの勝負だったら、配牌運やツモ運などの運要素が高くなることは明白です。
そういった点で、アルシャル麻雀のほうが打点が重要視されているので運要素は低いのかもしれません。

だからといって、アルシャル麻雀を競技麻雀に採用すればいいのかというとそういうわけでもないようです。
リーチがない麻雀になると、ほとんど降りず(他者の手を読まず)に手を進めることとなります。
アルシャル麻雀で降りを選択するケースは、他者に染め手気配の鳴きが入っている場合と32符となる幺九牌の暗槓がある場合、もしくは終盤で自分の手に和了りの見込がないときぐらいなもので、ほとんどの場合は自己都合で攻め続けることになるのです。
リーチがないと、押し引きや相手の手を読むといった麻雀の実力差が1番生まれやすい部分で実力が示しにくくなるため、そういった意味ではリーチ麻雀のほうが実力勝負になるのかもしれません。

以上が、アルシャル麻雀から考え出したリーチ麻雀の問題点です。
今回、初めてアルシャル麻雀を触れてみて、今までリーチ麻雀に感じていた違和感の正体がかなり分かった気がします。
麻雀としての面白さは、アルシャル麻雀もリーチ麻雀も大きな差はなかったので、皆さんも1度アルシャル麻雀に触れてみてはいかがでしょうか?

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