麻雀をしていると、やたらと早く打つことを促してくる人がいます。
プロ雀士の放送対局でも、少し考えただけで『打つのが遅い』や『もっと早く打て』などの文字がコメント欄に並びます。
このことについて、私は強烈な違和感を感じてなりません。
前回の記事で示した通り、アマチュアの将棋は持ち時間15分で切れたら60秒や、持ち時間10分で切れたら30秒程度で行われることが多く、おおよそ30分から1時間で対局は終了します。
遊びで指す程度のレベルならもっと短い時間で終わることも多く、学校の休み時間内に1局が終わっていたなんて記憶のある人も多いのではないでしょうか。
一方、プロの将棋は持ち時間が4時間や5時間(切れたら60秒)が通常で、朝10時から始まる対局が夜遅くまで続き、日を跨ぐことすら珍しくありません。
NHKで毎週放送している将棋(NHK杯トーナメント)は、持ち時間10分で切れたら30秒+考慮時間が1分単位で10回あるルールで、おおよそ1時間強で対局が終了します。
子供の頃にこのNHKの将棋を見て、なんて長い時間将棋を指しているのだと思ったのですが、プロ棋士にとってはこれが早指しの棋戦ということを知り衝撃を受けました。
いずれにせよ、プロの将棋は一般レベルの将棋と比べ物にならないほど長い時間をかけて1局(1対局)を指しているわけです。
囲碁でもチェスでも、頭脳を使うゲームはレベルが上がれば上がるほど対局時間が長くなることが一般的です。
麻雀も頭脳系競技の一種であるのですから、レベルが上がれば考慮時間が長くなることは当然のことなのではないでしょうか?
にも関わらず、麻雀ファンの中にはプロ雀士の打牌について『もっと早く打て』と言う人が多いわけです。
これは的外れも良いところで、プロレベルの麻雀ならば、むしろ『もっと遅く打て』と指摘するべきかと思います。
プロの麻雀対局では、時間制限を設け、時間が来た局で打ち切りやその局プラス1局などとしている場合があります。
この場合、遅く打つと局消化が出来ないため、早く打てという指摘を理解する部分もあるわけですが、そもそも競技麻雀の対局に時間制限を付けるなんてあり得ない話です。
この時間制限は放送時間を考えてのことなのでしょうが、競技麻雀において対局と放送のどちらが大切かなど考えるまでもありません。
放送のために麻雀の中身が蔑ろになるなんて、競技としてあり得ないのです。
テレビの放送時間がないからといってスポーツが途中で終わるなんてことはあり得るでしょうか?
試合時間が長引いて放送時間に収まらなければ、試合途中で放送が終わるだけの話です。
もちろん麻雀の打牌で1時間、2時間も考えるわけにはいきませんが、現在の麻雀界(競技麻雀界)にはびこる打牌は早くするべきという雰囲気は、麻雀の質を著しく下げるものです。
公平を期すため持ち時間性にするなどの対策は必要になるかもしれませんが、いずれにせよプロ雀士はしっかりと考えて打牌をしてもらいたいと思います。
それでこそ、頭脳競技としての麻雀の質は上がるはずです。
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