中国麻雀(中国麻将)から考える役の多さと運要素について

麻雀の競技性
この記事は約6分で読めます。
<スポンサーリンク>

麻雀の発祥地である中国では、その地その地のローカルなルールで麻雀が行われています。
そんな状況を打開するため、国が主導して麻雀のルールをまとめ国際ルールとして発表したものが、現在の日本で中国麻雀(中国麻将)と呼ばれるルールの麻雀です。

中国麻雀にリーチやドラがない(抜きドラにあたる花牌はある)ことは前回考えたアルシャル麻雀と同じですが、役の数はアルシャル麻雀とは逆でリーチ麻雀よりも多くなっています。
日本で普及している現在のリーチ麻雀の役は40前後ですが(役の扱いに若干の揺らぎがあるため確定した数にはならない)、中国麻雀は81種もの役があるのです。

三色同順ならぬ『二色同順』
3種の数牌で一気通貫を作る『三色通貫』
上下の基準がない牌のみで作るで『推不倒』

など、麻雀の手配において何らかの法則性のあるものは全て役になっているような感じで、何の役もないという役(無番和)すらあるほどです。
暗槓や門前のロンも1つの役として採用されています。

その他、中国麻雀の役一覧は以下より。

日本麻将体育協会(JMSA) [役の一覧]
こちらは日本麻将体育協会のWebサイトです。

これに加え、喰い平和(鳴いた平和)、待ち変え、フリテンもOKなので、日本人の感覚からすると、すぐ役が出来る運要素の高い麻雀だと感じるかもしれません。
しかし、そうとも限らないようです。
まず、中国麻雀は花牌(日本でいう抜きドラに相当)の点数は除き、役に定められた点数が8点以上にならないと和了ることは出来ないという制限があります。(8点縛り)
平和やタンヤオや2点で、部分役なども多数あるため8点のクリアは難しくはありませんが、それ以上に役が多いということは役の複合や変化の可能性が高く、中国麻雀では出来るだけ高い手になるように手牌進行する必要があるのです。
中国麻雀には満貫や跳満のような概念がなく出来た役はひたすら加点していくので、8点以上の役が出来たとしても更なる加点を目指すことが求められますし、リーチがないため、その行為は局が終わるまで続きます。

役の重なりという点について、リーチ麻雀では理不尽な部分があると思うので実例を示して説明しましょう。
1例目は、清一色で四暗刻をテンパイしドラが暗刻で乗ったときの話です。
役と翻数は、

清一色6翻
対々和2翻
三暗刻2翻
ドラ3翻

となるので、ロンでも数え役満(13翻)が成立します。
ツモならもちろん四暗刻なのですが、ロンでも数え役満が成立する以上、ツモならダブル役満(四暗刻+数え役満)でもいいのではないかと思えます。

続いては、『⑨⑨⑨東東白白白中中中発発』という手配で大三元と四暗刻のチャンスになったのですが、これはよく見ると

小三元2翻
混一色3翻
混老頭2翻
対々和2翻
三暗刻2翻
役牌×3翻

の14翻と、翻数的には数え役満の条件もクリアしてます。
整理すると、

東のロンなら数え役満
発のロンなら大三元
東のツモなら四暗刻
発のツモならダブル役満(大三元・四暗刻)

なのですが、発のロンや東のツモも数え役満の分を含めてダブル役満でいいように思えますし、発のツモならトリプル役満(大三元、四暗刻、数え役満)でもいいように思えてくるわけです。
いずれの役満の絡んだ極端な例ですが、中国麻雀ではこういった例でも全ての役が加点されるので手は高くなりますし、出来た役が考慮されないという納得し難いこともありません。
以上のように、中国麻雀では役の重なりや変化を含めて高い手を目指す手役作りに重点が置かれており、速度重視でテンパイしたらリーチで手を固定してしまうことが一般的な日本のリーチ麻雀とは一線を画すものとなっています。

現在のリーチ麻雀において、リーチという役はかなり強力です。
まずリーチそのものが1翻アップですし、一発や裏ドラなどといった特典も受けられます。
更に他者への脅し効果が強く、リーチを受けて降りを選択することも多々あります。
そのためリーチ麻雀では、出来るだけ早く面前でテンパイしリーチすることが求められるのです。

実際の麻雀プロには高打点派の人もいるでしょうが、成績が公開されているネット麻雀の上位者は総じて速度重視で高打点派の人など皆無に等しく、現在(赤ドラあり)のリーチ麻雀は極めて速度重視の傾向が強くなっています。
これは、リーチに加えドラ(裏ドラ以外のドラ)の存在も大きいのかもしれません。
近年は赤ドラも当たり前で手配にドラが入っている確率が上がっていますから、リーチだけでも強力な手になりかねず、他者から見るとリーチはひたすらに恐怖なのです。

以上のように、現在のリーチ麻雀は速度重視の傾向が強くなっているわけですが、速度重視になればツモ回数が減るため配牌運やツモ運の要素が強くなってしまうことは以前の記事で示した通りです。
牌効率にも複雑な部分がありますし、役を完成させることにも技術が必要ですが、配牌やツモなどの運は、それらの技術を凌駕するほどの効力があります。
前回考えたアルシャル麻雀でも、リーチとドラが現在のリーチ麻雀の運要素を上げる要因になっている可能性があると指摘しましたが、中国麻雀からも同じ問題が見えてきました。

中国麻雀と日本のリーチ麻雀には、もう1つ大きな違いがあります。
それが出和了り(ロン和了り)時の支払い方法です。
リーチ麻雀の場合、ロン牌を捨てた人(放銃した人)の責任払い(1人払い)ですが、中国麻雀の場合は放銃した人は完成した役の点数を支払い、更に他の2人にも8点の支払義務が生じます。
中国麻雀のツモ和了りは単純に完成した役の点数を他の3人からもらうので(中国麻雀には親と子の概念がない)、ツモ和了りのほうがかなり点数が高くなり、放銃の際にツモ和了りとほぼ同じ点を1人で支払うリーチ麻雀と比べ放銃のリスクが低いわけです。
この支払いルールの違いにより、日本の麻雀は『振り込まない技術=他者の手配を読む技術』が発展してきました。
この読みの技術は運よりも圧倒的に実力が支配する部分であり、日本に麻雀のプロが存在し、麻雀に一定の競技性を確保している部分でもあります。
そもそもフリテンのルールがない時点で、中国麻雀は捨て牌を読むことにあまり意味がなくなっていると言えます。
台湾の麻雀などは捨て牌を適当に真ん中に捨て、誰が何を捨てたのかもよく分からない状態となり捨て牌を読むという発想すらないようなのです。

最後に、以下で示す中国の麻雀に関するニュースを御覧ください。(画像だけでも、かなり強烈です)

不惧炎热 近百位大妈大叔郑州公园内打麻将多人围观
入秋后的郑州高温持续闷热无比,东风路绿荫公园内中心广场,每到下午四点左右,二十几张麻将桌上人满为患,在打牌的人群中以大叔大妈居多。近百名大妈大叔不顾炎热,麻将桌上激战正酣。
重慶も酷暑に 水に足を浸けて麻雀楽しむ市民--人民網日本語版--人民日報
重慶北碚偏岩古鎮の川床に22日、100台以上のテーブルが並べられ、多くの人が足を水に浸けて涼みながら、麻雀を楽しんでいた。中国新聞網が報じた。
巨大な麻雀を楽しむ武漢市民--人民網日本語版--人民日報
湖北省武漢市東湖落雁景勝地バラ園の広場では16日、大きさ40平方メートル近くの巨大な麻雀のテーブルクロスが登場した。麻雀の牌はそれぞれレンガのように大きく、牌を運ぶのもレンガを運ぶように見えるのだ。
重慶のプールに納涼「水上麻雀」がお目見え_中国国際放送局
 上半身裸の男性と水着姿の女性が一緒にテーブルを囲み、麻雀を楽しんでいる。足を麻雀卓の下の冷たい水に浸し、いかにも涼しそうだ。重慶の遊園地「洋人街」のプールが打ち出した「水上麻雀」が、多くの来園客の注目を集めている。十卓ある麻雀卓には空席が
404 Not Found
136頭の「ジャイアントパンダ」が麻雀大会 四川省--人民網日本語版--人民日報
四川省アバ・チベット族チャン族自治州の九寨千古情景勝地で5日、ユニークなイベント「国宝が国粋に挑戦 ジャイアントパンダ麻雀大会」が行われた。1辺が1メートルのサイコロを使い、百平方メートルの麻雀卓の上で、パンダの着ぐるみを着た136人が巨大な麻雀牌を背負いながら、4人の麻雀マニアの指揮の下、熱い戦いを繰り広げた。

これらのニュース及び画像を見る限り、中国における麻雀は日本のトランプに近い遊戯的なものとして広く受け入れられ、競技性はあまり考慮していないように感じます。
日本の麻雀はギャンブルに特化しているためか一般層にはそこまで受け入れられておらず、公園で人々が麻雀をしている姿を見ることはまずありません。

以上、中国と日本の麻雀は、ルールはもとより文化的な部分からかなり違いがあるようです。

関連記事
アルシャル麻雀から現在のリーチ麻雀の問題を模索する
・中国麻雀(中国麻将)から考える役の多さと運要素について
三人麻雀と四人麻雀の運要素はどちら高いのか?
鷲巣麻雀は通常の麻雀よりも実力勝負なのではないか?
リーチ麻雀の問題点のまとめと改善策

<スポンサーリンク>
ブログランキング

↑ ↑ ↑
更新励みになりますので、毎日の応援よろしくお願いします。
加点式リーチ麻雀
加点式リーチ麻雀のルール
加点式麻雀の基本ルール 基本はありありルールのリーチ麻雀 点数は加点だけを考慮し点棒のやり取りは行わない ※説明1 親と子の概念はない ※説明1、説明2 点数は1翻1000点とする ※説明3 ダブロン・トリプルロンで和了る...
↑ ↑ ↑
運要素の改善を含め競技性のある麻雀ルールを考えました!

コメント

Translate »