自分が麻雀を覚えたときには場ゾロが当たり前にあり、ほとんど意識もしない存在でした。
そのため、今まで場ゾロに対して何らかの対策をするという発想があまり出てこなかったのですが、現在の麻雀は手役作りの重要度が下がり速度ばかりが重要視されているという問題があり、この問題に対しては場ゾロが影響を与えている可能性も考えられます。
麻雀の点数計算は符に対して翻数分だけ倍々計算するのですが、場ゾロの影響もあっておおよそ4翻までで倍々計算は終わり、以降は符とは関係のない翻数ごとに決められた満貫や跳満といった点数が採用されるようになります。
この点数計算ですと、手牌にタンヤオ・ドラ1の2翻があればリーチをかけて1翻加え、門前清自摸和・一発・裏ドラなどのリーチ後に加算される手が1つでも入れば4翻の手となり十分の高得点(満貫に近い点数)が望めるのです。
そのため頑張ってイーペーコーや三色同順みたいな手を目指す必要がない(正確には利点がない)わけです。
赤ドラが採用されて以降の麻雀は、手の発展性を求めずテンパイしたら即リーチを行うことが主流となり、周りはそのテンパイに対しひたすら守備をするみたいな展開が多くなりました。
要するに現在の麻雀は“誰が1番早くテンパイするかのゲーム”になっているわけですが、それでは配牌とツモがどれだけ良いかという運要素の高い麻雀になってしまいます。
この問題に対し場ゾロの2翻を廃止すれば、おおよそ6翻までは倍々の計算が有効になるので、役をつける重要度が増すはずです。
以下が場ゾロをなくした際の和了点です。
翻数 | 20符 | 30符 | 40符 | 50符 |
---|---|---|---|---|
1翻 | – | 240点 | 320点 | 400点 |
2翻 | 320点 | 480点 | 640点 | 800点 |
3翻 | 640点 | 960点 | 1280点 | 1600点 |
4翻 | 1280点 | 1920点 | 2560点 | 3200点 |
5翻 | 2560点 | 3840点 | 5120点 | 6400点 |
6翻 | 5120点 | 7680点 | 満貫 | 満貫 |
7翻 | 満貫 | 満貫 | 満貫 | 満貫 |
この表を見て100点単位を切り上げられていないことに疑問を感じた人も多いと思いますので、まずはそこから説明します。
30符1翻の和了点は240点で、子のツモの場合は親が120点、子が60点の支払いです。
これを100点単位で切り上げると、親が200点、子が100点と倍近くまで点数が上がって切り上げの影響が大きくなりすぎてしまいます。
場ゾロがなくなると1000点以下の和了点がめちゃくちゃ増えるので、100点単位の切り上げは廃止したほうが良いと判断しました。(点棒の構成などを大きく変える必要が生じるが)
場ゾロがない場合、タンヤオ・ドラ1でリーチをしても、そのままなら1280点の和了りがほとんどで、門前清自摸和や一発がついても1920点程度の和了点にしかなりません。
しかし和了点が低くなった分、運要素の高い役満などの点数との差が大きくなりすぎるという問題が生じます。
最低点が240点(30符1翻)に対し最高点が32000点(役満)では150倍も差があり、こんな手を和了ったらまず逆転は不可能なので、役満の点数を抑える必要があるようです。
場ゾロ2翻分の2回倍々計算を減らすと考えれば、役満の点数は満貫の8000点で十分ということになりますが、面前の清一色だけでも満貫に近くなるので役満の手が満貫8000点では低すぎます。
そこで、満貫に少し色をつけた跳満相当の12000点が、場ゾロがない場合の役満の点数としてちょうどいいと考えました。
また、満貫と跳満(数え役満に相当)がどこで切り替えるかも同時に考えなければなりません。
現在の跳満は6翻と7翻なのですから、場ゾロの2翻分を考え跳満は8翻からという計算が成り立ちますが、役満を跳満の点数にしたという点から考えると、数え役満が13翻なのですから役満相当となる跳満は場ゾロの2翻分を減らして11翻からが妥当ということになります。
8翻と11翻と差が生じているので、間を取って切りがいい10翻からが跳満でいいかと思います。
結果、和了点はこうなりました。
翻数 | 20符 | 30符 | 40符 | 50符 |
---|---|---|---|---|
1翻 | - | 240点 | 320点 | 400点 |
2翻 | 320点 | 480点 | 640点 | 800点 |
3翻 | 640点 | 960点 | 1280点 | 1600点 |
4翻 | 1280点 | 1920点 | 2560点 | 3200点 |
5翻 | 2560点 | 3840点 | 5120点 | 6400点 |
6翻 | 5120点 | 7680点 | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) |
7翻 | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) |
8翻 | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) |
9翻 | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) | 満貫(8000点) |
10翻 | 跳満(12000点) | 跳満(12000点) | 跳満(12000点) | 跳満(12000点) |
この点数計算法なら、テンパイしたら何でも即リーチという展開は避けられると思います。
リーチのみでは、おおよそ240点から400点にしかならないので、とりあえず満貫までは役をつけようと手配進行の努力をするはずです。
また役満の点数は12000点に抑えたので、役満1つでゲームが終わるようなこともそれなりに抑えられたかと思います。
点数計算が10点単位になって今まで覚えた点数計算表が使えなくなるなど様々な問題が出てくるので、現在の麻雀で上記した場ゾロなしの点数計算法が採用されることはないでしょうが、運要素を減らす研究として場ゾロの廃止はなかなか興味深いものがありました。
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