前回の記事で現在の日本における韓流ブームという問題を取り上げ、日本では第3次韓流ブームも第4次韓流ブームもほとんど起こっていないとの結論に達しました。
では、なぜ日本で韓流ブーム、特にK-POPブームが起きなくなったのでしょうか?
というのも、日本以外の国ではK-POPの人気は伸び続けているのです。
このように世界で人気の高まるK-POP人気が日本では伸び悩むというのは、普通に考えておかしな現象と言えます。
日本のK-POPもまるで人気がないということはありませんが、どちらかというと日本人のメンバーが3人いるTWICE、AKB48グループメンバーが参加して話題となったIZ*ONEなどといった日本と関連の深いグループに人気が集まっており、以前のK-POPブーム(第2次韓流ブーム)とは状況がだいぶ違うように感じます。
そもそも『KARA』や『少女時代』が起こしたK-POPブームに比べ、今のK-POPブームが遥かに弱いことは間違いありません。(感覚的には1/10以下と思える)
一方で、『防弾少年団』や『BLACK PINK』などというK-POPグループは、世界で当時の『KARA』や『少女時代』を遥かに超える人気を博しています。
2017年のデータによると、韓国の音楽市場49億4000万ドルに対し、日本の音楽市場は272億7500万ドルと5倍以上の規模となっており、1人当りの音楽に対して使う金額は日本人が世界一とも言われています。
韓国の芸能関係者からすれば、すぐ近くにこんなにもおいしい音楽市場があるのなら是非参入したいと思うのが心情というものです。
そのため、『KARA』やその後に日本デビューした『T-ARA』のメンバーなどは高レベルで日本語を使いこなせており、日本市場での成功を大きな目標にしていたことが伺えます。
しかし当時と比べて日本の音楽市場が著しく低下したという事実がないにもかかわらず(新型コロナウイルスによる景気悪化分は加味しないとして)、現在の日本におけるK-POPの立ち位置は中途半端なものでしかありません。
それはなぜかというと、K-POPミュージシャンがよりおいしい市場で勝負が出来るようになったためです。
その市場とは、言うまでもなくアメリカの音楽市場です。
エンターテインメントの本場と呼ばれるアメリカの音楽市場は、日本を遥かに超え圧倒的な世界1位(2017年に591億8100万ドル)となっています。
『少女時代』や『KARA』の時代には叶わなかったアメリカでの勝負が、現在のK-POPは出来るようになっているのです。
実際に、前記した『防弾少年団』も『BLACK PINK』もアメリカで十分に成功をしています。
そうなると、日本に向いていたK-POPの目はアメリカまたは世界全体に向くようになり、日本におけるK-POPブームが中途半端になることも当たり前です。
ましてや、日本でしか使えない言語(日本語)を覚えてまで日本に進出しようとするK-POPミュージシャンがほとんどいなくなるのも当然の話です。
同じ労力を費やすのなら、世界共通言語とまで言われる英語を覚えて、エンターテインメントの本場であるアメリカで勝負したほうが良いに決まっています。
つまるところ、日本で本格的なK-POPブームが起こらなくなったのは、K-POPがより成長し日本より上の世界で勝負するようになったためと思われるわけです。(K-POPの売上の半分は既に海外によるものである)
日本のアーティストが実力で国内の音楽市場からK-POPを駆逐したのではなく、K-POPのほうが日本の市場に目を見け向けなくなったのですから、日本の音楽市場的にはマイナスとなります。
日本人の中には、K-POPが日本で幅を利かせなくなって日本のアーティストにとってもプラスだと思っている人も多いかもしれませんが、それは完全に間違いです。
これで日本のアーティストが海外でバリバリに活躍しているのなら話も変わってきますが、そんな状況は全く起きておらず、現在において日本の音楽は世界の音楽市場でK-POPのライバルにすらなれていないのです。
ここ最近の日本のアイドル業界は、一斉を風靡したAKB48グループが著しく人気を落とし、男性アイドルの雄だったジャニーズ事務所は退所者が相次ぐなど、大きな変革の時期が訪れているように感じます。
この大きな変革後に生まれる日本のアイドルには、是非K-POPに負けないような世界に通じる存在になってほしいと思います。
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