今月、オウム真理教の元幹部13人の死刑が執行され、海外の反応サイトでも大きな話題となっていました。
現在、先進国で死刑を執行しているの日本とアメリカの一部の州と言われており、またEUには加盟する条件として死刑制度の廃止があるため、海外の人は、日本がなぜ死刑制度を続けるのかと疑問に感じる人も多く見受けられました。(一方で、近年ヨーロッパの都市を対象としたテロが増えているため、凶悪犯に対し死刑を執行する日本を羨ましがる外国人も多く見受けられた。)
しかし、日本では80%以上の人が死刑制度維持を支持するとのアンケート結果も出ており、更に日本には自殺者多いという問題もあります。
これら日本の死に関する問題は、日本人の死に対する考え方・捉え方が他の国と違うことにあるとも思えるため、今回は日本人の死生観について考えていきたいと思います。
日本では、死者の弔いは基本的に仏教が担っているため、日本人の死に対する考え方には仏教がかなり影響していることは確実です。
しかし日本人の根底にあるのは仏教よりも神道であり、この神道の考えも日本人の死生観に大きく影響していることでしょう。
日本人は他国の人からは無神論者と思われがちで、日本人自身もそう思っている節がありますが、実際にはほとんどの日本人が無意識的に神道を信仰しています。
この神道は超多神教で他の宗教を認めるため、複数の宗教の信仰も認められ、日本人は日常的な部分では神道の考えが尊重され、死に関する部分では仏教の考えが尊重されるという二重の宗教構造になっているのです。(神道自体も仏教、儒教、道教など、他の宗教の考えが組み入れられている)
この2つの宗教の死生観を極めて簡単に説明すると、
仏教、現世の行いによって死後の世界や来世での人生が決まる(地獄や転生に対する考え方)
神道、現世の過ち(穢れ)は死を持って祓われ死者は神になるとされる(祓いや穢れに対する考え方)
ということになります。
つまり、仏教的に考えれば死刑囚は地獄に落ちることになるのですが、神道的解釈によれば死刑囚もA級戦犯も自殺した人もみんな神になるのです。
先程も記したように、日本人の根底にあり日本人の考えにもっとも影響している神道なので、自分と深い関わりのない死刑囚に対しては、神道的考えの方が強く影響している可能性が考えられます。
このような宗教的な背景が、日本の死刑制度に影響していると想像され、更に神道が基本的に日本でしか信仰されていない宗教であるため、先進国の中で日本だけが死刑制度を続けるという状況を生み(アメリカの一部の州を除き)、またそれが外国人には理解されづらいという状況を作っているものと思われるのです。
これらのことは日本の自殺の問題にも多少なりとも影響があると思われ、更に太平洋戦争における特攻隊などは、神道の影響が極めて強かった当時の状況を表す行動となっています。
以上、日本の宗教的な見地から、私なりに死刑制度や日本人の死生観について考えてみました。
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