前回は、『外国人の大人でも楽しめるお勧めの連続アニメTOP10(男性向け)』を紹介しましたが、今回は単品ものアニメ(劇場版アニメ)のTOP10を紹介したいと思います。
※連続アニメの劇場版と見なされる作品はランクから除外としています。
10位:『サマーウォーズ』
監督:細田守
『サマーウォーズ』は面白くて出来もいいのですが、作中、重要なポイントとなる『花札』が外国人に(場合によっては日本人にも)わかりづらいところがマイナスポイントです。
そして、そもそも劇中で行われる花札のゲームが『こいこい』であることには、大きな違和感を感じざるを得ません。
花札の『こいこい』は、ビデオゲーム(主に脱衣系のゲーム)に採用され広まっていったルールで、麻雀で言えば2人対戦麻雀のようなかなり邪道な花札ゲームなのです。
『サマーウォーズ』は、日本の旧家を舞台とした話なのですから、花札をするのなら基本的な花札ゲームである『花合わせ』なのではないかという違和感がどうしても拭えませんでした。
まあ、ほとんどの人は花札に対して思い入れも知識もないので問題ないのですが、個人的にはどうしても気になってしまうポイントでした。
9位:『となりのトトロ』
監督:宮崎駿
『となりのトトロ』は貧しいながらも心豊かに暮らしていた高度成長前の日本の風情や風景がうまく描かれた素晴らしい作品だと思います。
おそらく日本以外の国でも、かつての風情や風景を懐かしむ感覚はあると思うので、外国人が見ても楽しめるはずです。
内容は子供向けなのですが、大人の人には、作中のおかしなものを見たと主張する子供への大人たちの対応に注目してもらいたいと思います。
『となりのトトロ』では子供たちが次々と不思議な経験をしますが、そのことを否定する大人は1人もいません。
脳の発達などの影響からか、おかしな体験をしたと言いだす子供は現実世界にも多いのですが、この際の対応として『となりのトトロ』はとても参考になると思います。
8位:『蛍火の杜へ』
監督:大森貴弘
『蛍火の杜へ』は44分の中編アニメなのですが、十分見ごたえがある作品となっています。
少女漫画原作なので男性向けではなく、個人的に絵(少女漫画風の絵)も苦手なのですが、心地よい切なさ漂うストーリーは秀逸です。
ハッピーエンドではないバッドエンドでもない終わり方は、少女漫画ならでは良い部分なのかもしれません。
7位:『バンパイアハンターD』(劇場版)
監督:川尻善昭
『バンパイアハンターD』は、海外でも評価の高い名監督・川尻善昭監督が描いた吸血鬼物のダークファンタジーアニメなのですが、アニメに限らずダークファンタジーの1話完結型映画として、ここまで上手く仕上がっている作品はなかなかないと思います。
国籍に関係なく楽しめる作品なので、外国人の方でもストーリーがは入りやすいでしょう。
6位:『もののけ姫』
監督:宮崎駿
『もののけ姫』は、自然と開発という現在の人間における根源的な葛藤を見事に描いた傑作です。
宮崎監督が初めて引退をかけて作った作品ということで、同監督作品の中でも気合の入り方が一味違い、ストーリーも重厚なものとなります。
宮崎作品の中では、もっとも大人向けの作品と言えるかもしれません。
5位:『君の名は。』
監督:新海誠
『君の名は。』は、おそらく監督を含めた製作者たちですら、ここまで上手く仕上がるとは考えていなかったと思います。
脚本も演出も音楽も、全てにおいて予想を上回るものができ、製作者たちが想定していた以上の作品に仕上がった結果、日本の映画史上2番目の興行成績をあげたと個人的には考えています。
こういったことを感じる作品は稀にあります。
このブログの記事ですら自分で考えていたより上手くまとまったと思う時があるぐらいですから、映画などの制作現場では、このような現象が度々起こっているのでしょう。
もし『君の名は。』に、このような製作者たちの予想を上回る仕上がりという現象が起こっていなければ、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』程度の作品にしかならず興行収入も同作品程度だったかもしれません。
ティーンエージャー向けなので順位は若干低めですが、出来は凄まじく良い作品です。
4位:『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』
監督:押井守
ジャパニメーションの傑作と言われる『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』は普通に面白いのですが、それは原作の面白さであり、劇場版で特質する良さ音楽ぐらいしかないと言えます。
押井守監督には、原作の面白さを超えるような何かを期待したのですが、それはなかったと言わざるを得ません。
その点を考えても『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』素晴らしい作品で、あの時代にネットとの融合などという発想を抱いていた原作者の士郎正宗は、本当にすごい人だと思います。(原作が完結したのが1991年のことである)
3位:『かぐや姫の物語』
監督:高畑勲
名匠:高畑勲監督の遺作となった『かぐや姫の物語』は、とても素晴らしい情緒的なストーリーが楽しめる作品です。
水彩画のような絵で描かれたアニメも作品に合っていますし、何よりも、日本最古(一説には世界最古)といわれる小説を原作にして、ここまで素晴らしい映画に仕上げたことは圧巻です。
最後の場面で特定の宗教を想像してしまうような演出だったところが残念なポイントですが、高畑監督が8年の歳月をかけて作っただけのことはある名作アニメと言えるでしょう。
2位:『おおかみこどもの雨と雪』
監督:細田守
『おおかみこどもの雨と雪』は、設定的にツッコミどころも多々あるですが、大人が観ても(大人のほうが)十分感動できる作品となっています。
また、とてもきれいに再現された自然の風景も素晴らしく、雨が山の中を駆け巡るシーンは実写以上の大自然を感じる名シーンだったと思います。
1位:『千と千尋の神隠し』
監督:宮崎駿
私が『千と千尋の神隠し』を初めて観終わった際の感想は、”これは反則だ”というものでした。
これをやられたら、この後生まれるアニメは太刀打ちできないと感じたのです。
全てのものに神が宿るという日本独自の宗教の神道を理解していないとわかりにくい部分はありますが、その点を考慮しても1位の座は揺るぎません。
エンターテイメント色の強いハリウッド映画と、情緒的なヨーロッパ映画を同時に見たような感覚に浸れる『千と千尋の神隠し』は、事実、アカデミー賞の長編アニメ賞と金熊賞(ベルリン国際映画祭グランプリ)を同時受賞した唯一の作品となっています。
その他ランク外のお勧めアニメ
『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』
監督:押井守
連続アニメの劇場版なのでランクインさせませんでしたが、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は個人的に3本の指に入るアニメ映画だと思っています。
『うる星やつら』を知っていないと楽しめない部分が大きいため外国人向けではありませんが、原作漫画や連続アニメにあるドタバタした部分を残しながら、ちゃんと映画作品になっている演出はすごいの一言です。
エンディングが流れる瞬間まで楽しめるこの作品は、押井守監督の最高傑作と言えるでしょう。
『ルパン三世 カリオストロの城』
監督:宮崎駿
『ルパン三世 カリオストロの城』は、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』と同じく連続アニメの劇場版なのでランクインはさせませんでしたが、アニメでもハリウッド映画のようなエンターテインメント作品が作れることを証明した歴史的なアニメ映画と思います。
また、最後に去っていくルパンたちの姿が爽快でカッコ良くて最高なのです!
ルパン三世のイメージが変えたとまで言われる作品で、以後のルパン三世アニメは大なり小なりこの作品の影響を受けています。
『パプリカ』
監督:今敏
『パプリカ』は、正直ストーリーはイマイチなのですが、平沢進が手掛けた音楽は最高で、物語そのものを最後の壮大なエンディング曲の前フリと考えれば、十分楽しめる作品と言えます。
『AKIRA』
監督:大友克洋
劇場版の『AKIRA』が面白いことは確かなのですが、『AKIRA』の世界は2時間で収めることは不可能で、中途半端な内容になっている感は否めません。
そして、そもそも大人向けな作品ではないということでランク外とさせていただきました。
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