鎮魂歌から読み解く日本の死生観

歴史・文化
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災害などで多くの人が亡くなった際、生き残った人々は鎮魂の思いを込め歌を歌うことがあります。
この歌について少し考えてみたいと思います。

アメリカで起こった9.11テロでの追悼式などでは、

Ave Maria(アヴェ・マリア)
Amazing Grace(アメージング・グレース)

などの歌が歌われました。
アメリカでは、この2曲が何かを追悼するときに定番曲となっているため、日本人でも聴いたことがある人は多いでしょう。
これらの曲は賛美歌と呼ばれるもので、宗教色の強い歌詞になっています。

一方、日本ではこのような追悼の場面で宗教的な歌が歌われることはほとんどありません。(お経は除く)
というよりも、(自然災害が多いにもかかわらず)日本では追悼の際に歌う歌が定まっていないのです。
そこで、実際に東日本大震災の際に日本の人々がどんな歌を歌ったのかを調べてみると、1つだけピンと来る曲がありました。
それは

『上を向いて歩こう』

です。
『上を向いて歩こう』は、『Sukiyaki』の名で世界的に知られるな坂本九の代表的な歌謡曲なのですが、東日本大震災の際に多くのアーティストがこの歌を歌いました。
追悼の際に、アメリカでは亡くなった人への鎮魂の想いを込めて上記した宗教色の強い歌を歌うわけですが、『上を向いて歩こう』はタイトルからも分かる通り、生き残った人たちに対する歌です。
この違いは、大きな差と言えます。

実は、このことを書くきっかけになった動画があります。
それは、ロシア人YouTuberの『あしや』(動画投稿時はAshiya名義)さんが投稿した以下の動画です。

この動画の中であしやさんは、日本で電車やバスの中にお墓やお葬式の広告があることに違和感を感じると主張しています。
確かに日本ではお墓の広告をどこかしこで目にします。
一方、ロシアでは死に関する話題はタブー視されており、他の西洋各国でもロシアとほとんど同じような感覚で死を捉えているようです。

日本における追悼の歌やお墓の広告などを総合的に判断すると、日本人は他の国の人々より死を重く受けとめていない傾向があるのかもしれません。
そしてそれが、自殺率の高さや死刑制度を廃止しないなどといったことに繋がっているのかもしないのです。

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日本人がなぜ死を重く受け止めない傾向にあるのかはハッキリ分かりませんが、想像するに、大勢の死者を出す自然災害が多い日本では、人の死を悲しんでいられないような状況が当たり前すぎたのかもしれません。
その結果、人の死を悲しむことより、生きた人が前を向いて歩くことに重きを置いたいう可能性は十分考えられます。

以上、東日本大震災から9年の日に追悼の意味を込めて、当記事を投稿させていただきました。

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