海外の反応サイトや、外国人YouTuberの動画を見ていると、欧米人は日本食を盲目的にヘルシーだと思っているようで、つい先日には牛丼をヘルシーだと言っているイタリア人もいました。
一方で、アジア系の人からは日本の料理は炭水化物が多すぎると指摘されることもあります。
焼きそばパンなどがその例で、日本では炭水化物に炭水化物という組み合わせの料理がとても多くあるのです。
海外では主食として扱われるイモ類も、日本ではおかずとして扱われることが多くなっています。
日本の中華料理では、ラーメンにチャーハンに餃子などといった組み合わせもありますが、中国人が見たら『主食と主食と主食じゃないか!』などとビックリすること請け合いです。(中国では餃子は主食)
こういった各国における食文化の違いは、国ごとの肥満率にも大きな影響を与えていると考える人は多いことでしょう。
それ以外にも肥満率の問題は、経済状況の影響や、人種による太りやすさ太りにくさなどに由来すると考える人が多いようです。
このことについては以前にも簡単に書いていますが、日本食をヘルシーと思ったり日本人は人種的に太らないなどと思っている外国人(主に西洋人)がとても多いので、ここで1度深く検証してみたいと思います。
https://www.globalnote.jp/post-3951.html
↑こちらのサイトに、2016年における191カ国の男性の肥満率データがありましたので、このデータを引用し、地域ごとの肥満率の調査をしていきます。
データを全部示しても意味不明かと思いますので、各地域ごとの肥満率の上位3カ国と下位3カ国を書きだし、地域による肥満率の差を見ていきます。
各地域ごとの肥満率(男性)
北米
アメリカ:11位、35.5%
カナダ:17位、29.5%
メキシコ:39位、24.3%
北米地域の国は、どこも肥満の人が多いようです。
中米・カリブ海諸国
上位3カ国
バハマ:37位、24.4%
コスタリカ:66位、21.1%
ドミニカ共和国:68位、21.0%
下位3カ国
セントルシア:119位、12.0%
アンティグア・バーブーダ:121位、11.6%
トリニダード・トバゴ:123位、10.8%
中米・カリブ海地域の国は、北米ほどではないにせよ肥満傾向にある人が多いようです。
南米
上位3カ国
アルゼンチン:23位、27.3%
チリ:33位、24.9%
ウルグアイ:33位、24.9%
下位3カ国
ペルー:108位、15.2%
エクアドル:110位、14.9%
ボリビア:112位、14.5%
南米の肥満率は、北米と中米・カリブ海諸国の中間ぐらいとなります。
ヨーロッパ
上位3カ国
マルタ:18位、29.2%
ハンガリー:19位、28.2%
イギリス:24位、26.9%
下位3カ国
イタリア:75位、20.1%
スロベニア:78位、19.4%
アルメニア:95位、17.1%
ヨーロッパの肥満率もかなり高く、北米の国々に迫るような値となっています。
旧ソ連圏(バルト三国は除く)
上位3カ国
ベラルーシ:59位、22.1%
ウクライナ:60位、22.0%
ジョージア:81位、19.2%
下位3カ国
キルギス:113位、14.0%
ウズベキスタン:114位、13.8%
タジキスタン:121位、11.6%
旧ソ連では、ヨーロッパに含まれる国の肥満率が高く、中央アジアに分類される国の肥満率が低いことが分かります。
中東
上位3カ国
クウェート:12位、33.3%
カタール:13位、32.5%
サウジアラビア:14位、30.8%
下位3カ国
シリア:70位、20.9%
イラン:80位、19.3%
イエメン:119位、12.0%
中東は意外に肥満率がかなり高く、アジアの中では特質した高さとなっています
南アジア
上位3カ国
パキスタン:135位、6.0%
モルディブ:137位、5.8%
ブータン:149位、4.7%
下位3カ国
インド:178位、2.7%
ネパール:178位、2.7%
バングラデシュ:184位、2.3%
南アジアの人々は総じて痩せています。
東南アジア
上位3カ国
マレーシア:116位、13.0%
ブルネイ:118位、12.5%
タイ:130位、7.0%
下位3カ国
カンボジア:178位、2.7%
東ティモール:181位、2.6%
ベトナム:191位、1.6%
東南アジアも南アジアほどではないにせよ基本的に痩せていて、ベトナムの肥満率の低さは世界1となっています。
東アジア
モンゴル:94位、17.5%
北朝鮮:133位、6.1%
中国:136位、5.9%
日本:147位、4.8%
韓国:156位、4.4%
民族的な乖離が多少あるモンゴルを除き、東アジアの国々も南アジアや東南アジアと同様に肥満率が低くなっています。
東アジアの中でモンゴルの次に肥満率が高いのが北朝鮮になっていますが、本当なのでしょうか?
オセアニア
上位3カ国
ナウル:1位、58.7%
クック諸島:2位、52.6%
パラオ:3位、51.8%
下位3カ国
バヌアツ:74位、20.2%
ソロモン諸島:89位、17.9%
パプアニューギニア:98位、16.6%
世界的に見て圧倒的に肥満率が高いに南洋諸島の国々で、肥満率の高さTOP10は全て南洋諸島の国となっています。
この地域の中で東南アジア系に近いパプアニューギニアは、多少肥満率が低くなっています。
北アフリカ
リビア:32位、25.0%
エジプト:54位、22.7%
アルジェリア:76位、19.9%
モロッコ:78位、19.4%
チュニジア:82位、19.1%
スーダン:163位、3.8%
北アフリカは主にコーカソイド系の人が暮らす地域で、ヨーロッパと近い肥満率となっています。
しかし、この地域で唯一の黒人国家であるスーダンの肥満率は低く、他の国と明確な差があることが分かります。
サブサハラアフリカ
上位3カ国
南アフリカ:105位、15.4%
ガボン:124位、9.6%
ジブチ:125位、8.6%
下位3カ国
エチオピア:188位、1.9%
ルワンダ:188位、1.9%
ウガンダ:190位、1.8%
サブサハラアフリカとはサハラ砂漠以南のアフリカ諸国で、基本的に黒人が暮らす地域となります。
これらの国々は総じて肥満率が低く、もっとも高い国は白人系の人が多く住む南アフリカとなっています。
女性の肥満率
上記のデータ作成があまりに大変だったため、女性による国別の肥満度は上位10カ国と下位10カ国だけの紹介とします。
※女性の皆様すみません。m(_ _)m
上位10カ国
ナウル:1位、63.3%
クック諸島:2位、59.2%
パラオ:3位、58.8%
マーシャル諸島:4位、57.3%
ツバル:5位、56.2%
ニウエ:6位、55.1%
サモア:7位、55.0%
トンガ:8位、54.5%
ミクロネシア連邦:9位、51.5%
キリバス:10位、50.4%
引用元:https://www.globalnote.jp/post-3954.html
女性も肥満率の高い国TOP10も、男性と同じく全て南洋諸島となります。
下位10カ国
中国:182位、6.5%
シンガポール:183位、6.3%
ネパール:184位、5.4%
インド:185位、5.1%
バングラデシュ:186位、5.0%
東ティモール:187位、4.9%
カンボジア:188位、4.8%
韓国:188位、4.8%
日本:190位、3.7%
ベトナム:191位、2.6%
引用元:https://www.globalnote.jp/post-3954.html
女性の肥満率の低い国TOP10は、全てアジア(東アジア、東南アジア、南アジア)地域となります。
男性では7カ国がアフリカの国でしたので(残り3か国はアジアの国)、男女による差異が若干あるようです。
地域ごとで肥満率の違いが出る要因を探る
人種による違い
以上の調査結果を見れば、肥満率に地域的な差があることは間違いなく、人種的な差もあるように感じます。
しかし、男女共に肥満率TOP10を占める南洋諸島の国々は、元々台湾の原住民がフィリピンを経由し南下し、マレーシアやインドネシアの方面からくる人と混血しながらたどり着いたとされています。(南洋諸島の南東部であるポリネシアの場合)
台湾の原住民において肥満率が高いという調査結果はなく、それ以外のフィリピン、マレーシア、インドネシアのいずれの国の人も痩せているのです。
人種が肥満率に影響しているというのなら、このことは明らかに矛盾があるように思えます。
※ミクロネシア(南洋諸島の北部)へは、フィリピンやポリネシア北部から人がやってきたと思われる。
以前にも書いていますが、アメリカに住むアフリカ系(黒人系)の人々は肥満の傾向があり、サブサハラアフリカ(主に黒人が住むアフリカ地域)の国々に住むアフリカ人は総じて痩せている事実から考えるに、肥満率と人種や民族に大きな影響はないと思われます。
食文化による違い
外国人が日本食をヘルシーであると考えたり、日本人が痩せている理由を、魚食文化(魚介類食文化)に原因があるのではないかと考える人が多いようです。
しかし、魚を多く食べる南洋諸島の人は、上記した通りとても太っています。
また、魚文化と無縁なアフリカの国の肥満率も低くなっています。
そもそも日本料理と中国料理やその他のアジア料理は全然違う料理なのに、南アジアから東アジアまでの地域は総じて肥満率が低いのです。
このような中東や中央アジアを除くアジア地域の肥満率が低いことを米食文化に求める人もいます。
しかし、ヨーロッパの中で米をよく食べる(ついでに魚介類もよく食べる)スペインの肥満率は24.6%(35位)で、ヨーロッパの中で特別に低いということはありません。(むしろ高い)
そして、肥満率の低いアフリカの国々でも、そんなに米を食べられていません。
以上のように、地域による食文化から考えても、肥満率の地域格差の説明は出来ないのです。
経済状況による違い
肥満率が低い国々は、アフリカや東南アジア、南アジアに多くなっています。
これらの地域は経済力の低い国が多い地域であるため、食糧事情が悪いという可能性が考えられます。
しかし一方で、東アジアの経済的に豊かな国々は、中南米の貧しい国々よりも肥満率は低いのです。
このように、経済的な格差からも地域による肥満率の差は説明できません。
まとめ
以上諸々ことを踏まえると、人種、食文化、経済状況のいずれの理由も肥満率に大きな影響がないように見えます。
これらの要因が複合的混ざりあっているという可能性もありますが、
食に対する考え方
肥満に対する考え方
などといった精神面のほうが、太るか太らないに対して大きく作用している気もします。
男性の肥満率では下位10カ国中7カ国がアフリカの国でしたが、女性の肥満率では下位10カ国が全てアジアの国でした。
アフリカでは太っている女性が男性に好まれる聞いたことがあるので、こういったことが肥満率に影響している可能性も考えられます。
それ以外の地域でも、中南米でも痩せているよりもお尻が大きい女性が男性に好まれる傾向があるそうで、そこまで太っていることに抵抗がない可能性があり、そういったことが地域による肥満率に影響を与えているのかもしれません。
それ以外で肥満率に地域差が出る要因として考えられるのが運動量です。
国ごとの運動量のデータは分かりませんが、南洋諸島の人はのんびりしていてあまり動かずによく昼寝をしているという話もあるので、食生活や人種よりも運動量のほうが太る太らないという問題に強い影響があるとも考えられます。
自分も昔は痩せの大食いタイプでしたが、普通の人が見たら引くぐらいの激しい運動を毎日していたので、食生活と肥満率が全然関係していないことを実体験として経験しています。
これらの結果を考えると、欧米人が単純に日本食を食べても痩せることはないでしょう。
当然、痩せる人もいるでしょうが、その理由は日本食ではなく、痩せようとする意識的な部分に強く影響されているかと思われます。
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