原発に対する日本人と外国人の感覚的違い

社会問題
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海外の反応サイトで、年代別の日本が使用している電力の比率が話題となっていました。
そこでは福島第一原発事故後に一気に原子力発電の比率が減ったことと、その代わりに主に使われている電力が石炭を使った火力発電だったことが注目を集めていて、二酸化炭素の排出量が多いと言われる石炭を使った火力発電を原子力発電の代わりに採用していることに不満の声が挙がっていました。
当然、原子力発電が減った分は再生可能エネルギーに変わるべきと考えているのでしょうが、日本の場合は自然災害を伴う事故で、ある日突然に余儀もなく原子力発電が使えなくなったことは考慮してもらいたいと思います。

現在の日本人は、原子力発電について外国人とは少し違う考えを持っています。
その理由は、日本人が原子力発電にまつわる様々な矛盾を深く知ってしまった世界で唯一の国民だからです。
福島第一原発事故が起こった後の日本では、原子力発電にまつわる様々な問題が連日メディアで取り上げられました
原子力発電の本質的な問題から、政治や官僚組織あるいは電力会社といった日本固有の問題などなど、とにかく原子力発電というものについての報道が散々された結果、日本人は世界の中で異様に原子力発電の問題についての知識がある状態となっています。

ということで、今回は原子力発電の問題を考えていきたいと思います。

事故のリスク

人類が原子力発電を初めて以降、2回の重篤な事故が起きました。
1回目が旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故、2回目が日本で起きた福島第一原発事故です。
1957年のウラル核惨事(旧ソ連)およびウィンズケール原子炉火災事故(イギリス)、1979年のスリーマイル島原発事故(アメリカ)までも合わせれば、計5回重大な事故が起きたとも考えられます。

重篤な原発事故が起こると、放射能汚染により半径数十kmの範囲が数十年に渡り使用できなくなり、完全な更地に戻すことは100年経っても不可能かもしれないようなレベルに陥ります。
イギリスにあるウィンズケール原子炉1号基は、1957年に起きた大規模な火災事故の影響で現在に至るまで封印され、2037年まで問題が解決されることはないそうです。
このように、原発の事故は1回起きただけで国家体制が揺らぐほどのダメージを受けるのです。
福島第一原発事故の場合は、格納容器が爆発するような破滅的な状況が連鎖的に起こり、東京も含む半径250km圏内からの避難すらも想定される100年に1回でも起きたらヤバいレベルの事故となる一歩手前でした。

原発事故のリスクをもう少し具体的に考えてみましょう。
現在、アメリカには96基の原子力発電を行う原子炉があります。
もしこの原子炉が100年に1回事故を起こすリスクがあるとした場合、96基あるのでほぼ毎年事故が起こることとなります。
1,000年に1回のリスクなら約10年に1回の事故、10,000年に1回のリスクなら96年に1回の事故が起きる計算です。
人が作り人が運用していく設備で、10,000万年間重大な事故が起きない保証なんて出来るわけもありませんので、今のまま原子力発電が運用され続けたら、それなりの頻度で事故は起こるものと想定されます。
そして実際に人類が原子力発電を始めてから約70年間で、2度の重篤な事故が起きました。
原子力発電は絶対に安全などと国や電力会社は言うかもしれませんが、そんなことないと歴史が証明しているのです。

最終処分場の問題

原子力発電を運用していく上で最大の問題は、俗に言う“核のゴミ”と呼ばれる放射性廃棄物が永遠に作り出されてしまうことです。
現状、この放射性廃棄物を最終処分場となっている場所は、世界で唯一フィンランドのオンカロ処分場しかありません。

強い放射能を帯びた使用済みの高濃度核燃料が、天然のウランと同程度の放射能レベルになるまでは10万年程度の時間を擁します。
10万年先の未来となると人類が存在しているかも疑わしく、環境も大きく変わっているかもしれないような遥か遠い話となります。
当然、放射性廃棄物はコンクリートやステンレスなどで固められて処分されるのでしょうが、そんな数百年ほど前に開発された人工物が10万年後にどうような変化をしているかなんて誰にも分からない話です。
そこで、そのような処理を加え更に10万年先でも安定しているであろう地層に埋める『地層処分』という方法で放射性廃棄物を処分するというのが、現在に出来うる最善の処分方法となります。

しかしこの地層処分が大変で、日本のような地震大国では10万年先まで問題は起こらないなどと言い切れる場所はあり得ません。(太平洋の端にある島などに可能性はあるが)
結局、人類が原発事業を初めて70年で出来た最終処分場はオンカロしかないのです。
世界で原子力発電所のあるほとんどの国は、この放射性廃棄物の問題を先延ばしにしながら原子炉を運用し続けています。

原発は環境の良い安いエネルギーなのか?

原子力発電は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素をほとんど出しません。
この話だけを聞けば、確かに環境に優しいエネルギーと感じるかもしれません。
しかし事故が起きたときの放射能汚染のことを考えれば、決して環境に良い電力ではなくなります。
なにせ半径数十kmが数十年に渡り使えなくなるレベルの話ですから、その環境負荷は相当なものです。

また事故のリスクと放射性廃棄物の最終処分の問題まで考えれば、エネルギーあたりの価格も安いとは言えなくなります。
では、なぜそんな環境にも悪くコストパフォマンスも良くないエネルギーを、先進国はこぞって使おうとするのでしょうか?
それは、一時的に限れば原子力発電は確かに環境に良く安いエネルギーだからです。
ただし、このことは後世に莫大な負担をかけることで成り立っており、大きな問題を抱えていると言わざるを得ません。

こういった原発をめぐる様々な矛盾に、日本人は気付いてしまっています。
普通に生活をしていたら、原発の事故リスクや放射性廃棄物の最終処分に関する計画なんて考える機会はないでしょうから、海外の方はこういったことを根本的に分かっていませんし、日本人も福島第一原発事故が起きるまではこんなことを考えていませんでした。
しかし幸か不幸か日本人は、原子力発電ことを深く考える機会を得てしまったのです。
そのため、今後、日本が積極的に原子力発電を使っていくことは考えづらい状況となっています。
その代わりになる電力が地球温暖化に悪影響のある石炭であってもです。

福島第一原発事故後に原子力発電を推進してきた政党が実権を握ったこともあり、行政や電力会社に原子力発電を完全に捨てきれずイマイチ再生可能エネルギーの活用も進んでいないのが日本の現状ですが、国民的には原発の拒否反応はかなり強いものがあります。
以上、日本人の原子力発電に対する考え方などについて考えてみました。

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