なぜ日本にキリスト教は根付かないのか? 実は意外に多い日本のキリスト系(ミッション系)学校について

教育
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なぜ日本でキリスト教が広まらないのかという疑問が、海外の反応サイトで話題になることが度々あります。

実際に日本においてキリスト教が広まっているという事実はなく、2017年に文化庁が行った調査によると、日本国民におけるキリスト教徒の割合は1.1%と言われています。
お隣の韓国では30%程度の人がキリスト教徒で、キリスト教が韓国においてもっとも信者の多い宗教となっていますし、台湾でも4%から5%の人はキリスト教徒です。
フィリピンに至っては90%以上の人がキリスト教を信仰していますし、宗教への弾圧が強いと言われる中国でも6000万人程度の人がキリスト教を信仰していると言われ、これは人口比で言えばおよそ5%弱になります。
以上のように、日本は周辺国と比べてもキリスト教を信仰する人の割合が著しく低いのです。

しかし、教育現場においては少し事情が違います。
日本には2017年時点で604校の私立大学がありますが、その内76校がミッション系と言われるキリスト教を母体とした大学となっているのです。
有名所で言えば、

・上智大学
・青山学院大学
・立教大学
・同志社大学

などがミッション系の大学となっています。
日本の大学は、私立大学以外にも86校の国立大学と90校の公立大学がありますが、これらを加味しても1割近くはミッション系の大学であるということです。
文化庁の調査では日本人の48.1%が仏教を信仰しているとのことですが、仏教系の大学46校でキリスト系よりだいぶ少なくなっています。

更に日本の私立中学は2017年時点で775校ですが、この内、少なくとも171校はミッション系の学校で、比率で言えば2割を超えます。
これは仏教系私立中学の3倍以上の数値です。
大学進学率や私立中学への入学率、更には小学校や高校におけるミッション系学校の存在や、それらミッション系の学校に重複して進学している可能性など諸々考えると、現在の日本では1割程度の人が人生で1度はキリスト系の教育を受けていると思われます。
しかし、冒頭示したとおり日本のキリスト教徒の割合は1.1%でしかないのです。
つまり日本人の多くは、キリスト系の教育を受けてもキリスト教を信仰しないということです。

ここで少し日本におけるキリスト教の歴史を振り返ってみましょう。
日本とキリスト教の関わりは、1549年、イエズス会のフランシスコ・ザビエルが布教のために来日したのが始まりとされます。
当時の日本は、日本の歴史上最大の内戦である戦国時代の真っ只中であったため、厳しい状況の置かれていた人たちの心にキリスト教はすんなりと入り込み、九州地方を中心にキリスト教は広がりました。
しかし、豊臣秀吉が日本を統一し戦乱が収まると、キリスト教は弾圧され一気に廃れてしまいます。
それ以降、日本でキリスト教が広く信仰されたことはありません。

世界的に見てキリスト教の信仰率が低い国には他の宗教があるわけですが、日本では先に紹介した仏教の他、文化庁の調査で46.5%の人が信仰しているとされる神道もあり、キリスト教の必要がなかったものと思われます。
となると、日本のミッション系学校の多さのほうに不思議さを感じます。

しかし日本にミッション系の学校が増えたのには明確な理由があるのです。
戦前(第二次世界大戦前)の日本の学校教育は、他の国と比べて著しく遅れていたようなことはありませんが、女性への高等教育については西洋各国に比べて遅れていました。
そのため、日本女性への高等教育を目的としてキリスト教を母体とした学校が多数設立され、現在も女子校などにミッション系の学校が多くなっています。
ウェディングドレスを着て教会で結婚式をすることは、戦後の日本女性が憧れる古典的な例なのですが、このようなことも女性の教育面にキリスト教が深く関わったことが影響しているからかもしれません。

以上、日本のキリスト教とキリスト系(ミッション系)学校について考えてみました。

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