関西国際空港を水没させるなどの大きな被害を出した台風21号が過ぎ去ったのもつかの間、今度は北海道でマグニチュード6.7の大地震が起き、各地で大きな被害が報告されました。
更に今年の日本の夏は、大阪での地震、西日本での水害、全国的な猛暑といった自然災害も起きています。
このような連日に及ぶ日本の自然災害に、
『日本に行ったら災害に遭うかも』
『日本には怖くて行きたくない』
などといった考えを持つ外国人が増えているようです。
しかし、この考えは正しいようで微妙に間違っています。
日本は確かに災害は多いですが、災害で亡くなる人はかなり少ないのです。
このことを各種データを使い証明していきますが、まず最初に『そもそも本当に日本は自然災害が多いのか?』という疑問について答える必要があるでしょう。
ということで、早速、各自然災害ごとで調べていきます。
最初に調べるのは、日本における自然災害としてもっともイメージが強い地震からです。
地震は、国連の関連機関が1980年から2000年までのマグニチュード5.5以上の地震回数を発表しています。
参照データ:災害リスクの軽減に向けて 開 発 に 課 せ ら れ た 課 題 – 国連開発計画
このデータによると、マグニチュード5.5以上の地震回数の上位国は以下の通りです。
【1980年から2000年までのM5.5以上の国別地震回数ランキング】
中国 :44回
インドネシア :34回
イラン :30回
日本 :24回
アフガニスタン:17回
トルコ :16回
メキシコ :16回
インド :13回
パキスタン :13回
ペルー :13回
更に、このデータを日本の面積当たりに示した方がいたので、こちらのデータも見てみましょう。
【日本の面積基準で見る1980年から2000年までのM5.5以上の国別地震回数ランキング】
コスタリカ :2.44
キプロス :2.04
アルバニア :1.84
エルサルバドル:1.80
ギリシャ :1.78
ベルギー :1.14
日本 :1.14
グアテマラ :0.83
ジョージア :0.76
フィリピン :0.72
参照データ:【全然】日本は世界一地震が多いの国なのか?【嬉しくない】
この10カ国の中で1番大きい国が日本で、日本が単に面積が大きいから地震が多いというわけではない様子がわかります。
2001年以降の地震はまとめられたデータがなかったので、
こちらのサイトにあったマグニチュード7.0以上の地震を国別の分けて(どの国か判断に困る島などを除く)、データを作成しました。
結果は以下の通りです。
※9月7日にフィジーで起こったM8.1の地震も加算しています。
【2001年から2018年9月7日までM7以上の国別地震回数ランキング】
日本 :13回
インドネシア :13回
ニューギニア :13回
ソロモン諸島 :10回
メキシコ : 9回
ペルー : 8回
チリ : 6回
中国 : 5回
ニュージーランド: 4回
ニューカレドニア: 4回
フィジー : 4回
21世紀以降は、スマトラ沖地震と東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)という巨大地震の影響で、インドネシアからソロモン諸島までのラインと日本で大きな地震が多くなっているようです。
以上のデータで分かる通り、日本は世界最大レベルの地震発生国であると言えます。
続いて、火山噴火について調べます。
噴火は地震以上に頻度が低いため短いスパンでのデータでは意味がなく、そのためなかなか使えるデータがありません。
そのため単純に活火山の数を調べました。
結果は、
【活火山の数の国別ランキング】
アメリカ :174個
ロシア :156個
インドネシア:130個
日本 :110個
チリ :106個
で、日本は4位になります。
上記の国の面積を示すと、
アメリカ : 9,525,067k㎡
ロシア :17,098,242k㎡
インドネシア: 1,910,931k㎡
日本 : 377,972k㎡
チリ : 756,102k㎡
となり、国の大きさを考えると日本の活火山の数が異常に多いことがわかります。
最後に、台風・ハリケーン・サイクロンについて調べます。(台風・ハリケーン・サイクロンは発生場所による名前の違いで、現象としては基本的に同じです)
調べるのは、1970年から2011年までの台風・ハリケーン・サイクロンの上陸数です。
【1970年から2011年の国別1年あたりの台風・ハリケーン・サイクロン上陸数ランキング】
中国 :6.90個
フィリピン :4.76個
日本 :3.83個
オーストラリア:3.67個
アメリカ :3.31個
ベトナム :3.26個
メキシコ :3.19個
インド :2.14個
マダガスカル :1.88個
ラオス :1.40個
参照データ:全海域における台風の統計解析
※中国には台湾のデータも入っていると思われる
ハリケーンの被害と言えばアメリカのイメージがありますが、日本はアメリカ以上の数の台風が上陸しており、世界有数の台風(ハリケーン、サイクロン含む)上陸国となっています。
更に近年の日本は、ヒートアイランド現象が原因と思われる夏の異常な暑さや都市部でのゲリラ豪雨なども頻発していますし、冬になれば毎問大雪が降る世界最高クラスの降雪国としても知られており、とにかく自然災害が多い国であることは間違いありません。
では、次に自然災害による死者数のデータを示します。
使うデータは、以下のサイトにある1996年から2015年の自然災害数の調査データです。
参照データ:Poverty & Death: Disaster Mortality 1996-2015 – PreventionWeb
世界では、1996年から2015年までに以下の自然災害で死者が発生しています。
【地球上で1996年から2015年までに起こった自然災害の種類と死者数】
地震 :748,621人
嵐 :239,125人
気温の異常:165,869人
洪水 :150,061人
干ばつ : 22,295人
地滑り : 17,674人
森林火災 : 1,472人
火山の噴火: 722人
土砂災害 : 357人
この死者数を国別で表すと上位10カ国は以下の通りになります。
【1996年から2015年までに起こった自然災害の死者数国別ランキング】
ハイチ :229,699人
インドネシア:182,136人
ミャンマー :139,515人
中国 :123,937人
インド : 97,691人
パキスタン : 85,400人
ロシア : 58,545人
スリランカ : 36,433人
イラン : 32,181人
ベネズエラ : 30,319人
日本は、2011年に東日本大震災という大地震と津波を伴う大規模災害があったにもかかわらず、上位10カ国に入っていません。
では、人口10万人あたりで表した場合はどうでしょうか?
【1996年から2015年までに起こった自然災害の10万人あたりの死者数国別ランキング】
ハイチ :2,461人
ミャンマー : 280人
ソマリア : 268人
ホンジュラス : 217人
スリランカ : 185人
ベネズエラ : 113人
インドネシア : 80人
ニカラグア : 70人
アフガニスタン: 57人
パキスタン : 55人
人口あたりで計算しても、日本は上位10カ国には入りません。
日本で多い災害である地震だけに限った場合でも以下の通りで、日本は上位10カ国には入らないのです。
【1996年から2015年までに起こった地震の10万人あたりの死者数国別ランキング】
ハイチ :2,384人
パキスタン : 48人
イラン : 44人
ネパール : 35人
アフガニスタン: 35人
トルコ : 28人
エルサルバドル: 20人
台湾 : 10人
アルジェリア : 7人
中国 : 7人
※こちらのデータは建物の耐震問題などを調べているのか、津波による被害のデータが入っていないようです。
日本の建造物は地震に極めて強く、地震による建物の倒壊で亡くなる人はかなり少なくなっています。
つまり、大規模地震の津波を除けば、日本は地震ですら人口あたりの死者数はそこまで多くはないのです。
以上の各種データが示す通り、日本は
『災害に遭う確率は高いが、災害で亡くなる人は少ない』
のです。
現実的に、大きな地震の際の津波にさえ気をつければ、日本の自然災害で亡くなる確率は極めて低く、実際に日本に来日中の外国人が自然災害で多数亡くなったなどという事実はありません。
更に犯罪率の問題も加味すれば、日本はとても安全な国と言えます。
日本で起こった自然災害の報道を見ると、ステレオタイプに『日本=自然災害が多い=危険』と思ってしまうかもしれませんが、実際は『日本=自然災害が多い=でも意外に安全』というのが実態ですので、外国人の方は今後も安心して日本に来日してもらいたいと思います。
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コメント
東日本大震災があったのに、日本が自然災害死者数上位10カ国に入っていないとは驚きです。