『Good Morning』の意味は本当に『おはよう』なのか?

言語
この記事は約4分で読めます。

前回の記事で言語における翻訳の問題を書きましたが、今回はこの問題についてもっと深堀りしていきたいと思います。
『Good Morning』を日本語に翻訳する場合、ほとんどの日本人は何の疑問もなく『おはよう』と訳すと思いますし、実際に教育現場でもそう教えています。
しかし、『Good Morning』は本当に『おはよう』でしょうか?

『Good Morning』は直訳すれば『いい朝』という意味で、『いい朝ですね』という会話文だったものが挨拶言葉に転用されたとものと想定されます。
つまり、『Good Morning』は朝の良し悪しを言い表しているわけです。
一方、『おはよう』は漢字で書けば『お早う』であり、元々は『今日もお早いですね』みたいな会話が省略され挨拶言葉になったと想定されます。
つまり、『おはよう』は朝の早さ遅さを言い表しているわけです。
挨拶言葉であることを無視すれば『Good Morning』は『いい朝』であり、『おはよう』は『It’s early』となるはずです。

『Hello』も単純に『こんにちは』とは訳せません。
『こんにちは』は漢字で書けば『今日は』で、『今日は〇〇ですね』みたいな会話文が略されてものであり、英語にすると『Today is』ということになります。
『Hello』のほうはただの掛け声が元になっているので、日本語に直訳することは出来ないようです。

こうやって考えてみると、日本語と英語は挨拶ですら単純には訳せないことが分かります。
そもそも言語はその国の文化とも深い関わりがあり、そういった部分まで理解して初めて正確に言葉の意味が分かるもので、完全な翻訳などはそもそも不可能といっても過言ではないのです。

文章で見ても、日本語の『愛してる』は『I Love You』と訳されますが、実際の『I Love You』は『私はあなたを愛する』なはずです。
日本語は主語を省略することが多いので『I』と『You』の意味が丸々消えてしまっていますが、言語的にはこういった部分も理解する必要があるのかもしれません。
もっと細きことを言うと、『I Love You』の文法的に『私は愛するあなたを』です。
この文法(単語の順序)は、歌詞や台詞として使う場合に微妙な感情表現の変化が生まれ、翻訳が難しい場合があります。
例えば、

私は、あなたのことが・・・好きです。
私は、好きです・・・あなたのことが。

では、台詞などにするときの印象が大きく変わってしまう可能性があるのです。
このように、極めて簡単な文章でも完全に翻訳することは難しくなります。
ちなみに明治の文豪である夏目漱石は、『I Love You』を『月が綺麗ですね』と訳した逸話があることは有名な話です。

もう少し例を出しましょう。
ここ数年大ヒットしたアニメ『鬼滅の刃』の英語タイトルは『Demon slayer』で、意味としては『悪魔を退治する者』となり『鬼滅の刃』という独特な言い回しを全く再現できていません。
『千と千尋の神隠し』の英題は『Spirited Away』です。
『千と千尋の神隠し』の主人公である千尋(ちひろ)が、名前から漢字一文字をとられて千(せん)になったなんて日本人にしか分からない感覚(音読みと訓読みは日本独自)な上、神隠しも簡単には訳せるものではありません。
『Spirited』の元となっている『spirit』は神や妖精、精霊、幽霊などを含めた言葉ですが、これらをひとまとめにして神と称することは日本人的に大きな違和感を感じます。
この問題は多神教と一神教による『神』に対する概念の違いが原因で、宗教観なども含む難しい解釈が必要な問題であり、世界中の人が同じような感覚で理解することは出来ないと思われます。

同じジブリ作品の『風立ちぬ』の英語タイトルは『THE WIND RISES』です。
『風立ちぬ』は日本人ですら聞きなれない独特な言い回しなのですが、それを英語タイトルでは完全に言い表すことは不可能で、単純に『風が立ち上る』という意味の『THE WIND RISES』と訳されています。
このような『神隠し』や『立ちぬ』などといった日本語独特の言い回しを100%外国語に翻訳することは不可能なのです。
『鬼滅の刃』の『鬼滅』は造語ですが、文字1つ1つに意味のある漢字を使う日本語では造語が作り放題で、こちらもほとんどの言語で翻訳のしようがありません。

以上のように、翻訳というのは文字をそのまま外国語に直せばいい作業ではないですし、言葉だけを理解すればいいわけでもないのです。
逆に言えば、翻訳には相当の幅があってもいいものであり、個人的な特徴が出ても問題はないのかもしれません。
つまり『Great』という英語を『すごい』と訳そうが『すげぇ~』と訳そうが『ごいごいすー』と訳そうが、それは翻訳者の自由なわけです。

海外の反応サイトでも、サイトの管理人はもっと自由に翻訳をしても構わないと言えるでしょう。
ちなみに、私が自由な翻訳をモットーに実験的に作った海外の反応サイトは以下から見ることが出来ます。(;^_^A

日本の伝統文化に対する海外の反応

日本の伝統工芸、伝統芸能、和食などといった伝統的な文化に対する外国人の反応をまとめました。

スポンサーリンク
『アンサー海外の反応』の最新記事
スポンサーリンク

コメント

Translate »